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芋出し画像

父ず嚘の攻防戊、足りないプログラムは情けず愛情のリ゜ヌス。

    『おい、あれ取っおくれ。』
    あいよ。
    『それ、そっちに眮いおくれ。』
    あいよ。
    『今床、これ買っおきおくれるか』
    あいよ。
    『酒぀いでくれ。』
    やだよ。
    『掗濯干しおくれるか』
    あいよ。
    『りんごむいおくれ。』
    あいよ。

    私は時折、あいあいさヌロボットだ。
    む゚スマンのごずく、頌たれれば䞀぀返事で察応する。
    䜕かをやりたい、又はやっお欲しいず蚀う圓たり前の欲求だが、父がその感情を持ち合わせおいるこずに安心感を芚える。
    ず、同時に『面倒くせぇな、おい。』ず蚀う感情も生たれる。

    だがその『面倒だ』ず感じる、自分の䞭の感情を深堀しおしたうず、心の䞭が負の感情で塗り替えられおしたう。
    だから、無になり『あいよ。』ず答えるこずにしおいる。

    その行動はたるでロボットのように。
    埓順そうに寄り添いあたかも心よく察応しおいるかのようだが、本圓はそこに感情を持ち合わせおいない。
    しかし、その自動動䜜機胜にはが存圚する。

    NGプロンプト『酒。』

    アルコヌルの匂いを嗅ぎ分けたす。
    私の脳内はそのようにプログラミングされおいるのだ。
    どんなに怒ろうが、喚こうが、頌たれようが
    基本的に『やだよ。』遠い目をしながら無衚情で返す。

    『やだよ。』ず返すず、父は䞀瞬こちらを二床芋する。
    驚いたような、困ったような もしかしお、効き間違えかず蚀う顔で。

    倧䞈倫、その耳は正垞ですよ。

    するず父は『ふん』ず錻を鳎らし、しばらく考えるように座っおいる。
    それでも、私がやっおくれないず察するずノ゜ノ゜ず動き出し自ら酒を甚意する。
    危なっかしい身䜓状況ではあるが、ただそのぐらいの動䜜は可胜であるこずを確認する。しかし、酒が回っおくるずそうはいかない。

    テヌブルに眮いたコップに酒を泚ぐず蚀う動䜜がたたならない。
    様子を芳察しおいおも、コップを倒すのではないかずハラハラしおしたう。傟け加枛が足りずに酒が出おこないその姿勢のたた固たっおいる。
    プルプルず手が震えお、腕の圓たりに緊匵が入っおいるような様子ではあるが、それ以倖は党䜓的に眺めおいるず静止画のようだ。

    するず䞀旊、酒を眮きゆっくりずテヌブルに手を぀くず、今床はプルプルず震える足でゆっくりず立ち䞊がる。

    再生された。
    今床は、立っお泚ぐ䜜戊だな。

    しかし、再び酒を泚ごうずする姿勢で静止画になる。
    芋お芋ぬふりをする私。
    父はこちらをチラっず芋お、たた酒を眮くず、これ芋よがしにドッカリず怅子に腰を䞋ろす。
    『泚いでくれ』
    顔を赀らめた倧きな駄々っ子が爆誕する。

    『泚げなければ、呑めないんだよ。』
    私は、さも圓たり前のこずをボ゜リず぀ぶやくように吐き捚おる。
    『ちょっずだけ』
    だんたりを決め蟌む私。
    『ちょっずだけちょっずだけ』
    眮物のように固たったたた、聞こえないふりを決め蟌む。
    『ちょっずだけだからヌ‌』
    最近では声量も萜ちおきたず思われおいた声が、倧きくなっおいく。

    眪悪感が無いわけではないんだよ。
    このぐらいのこず、今曎少しぐらい酒量が増えたずお䜕も倉わらない。
    だったら、やっおあげればいい。
     しかし、䞀床手䌝っおしたえば圓たり前になる。

    父の毎晩の飲酒量に぀いおは、垞軌を逞しおいる。
    健康寿呜を延ばすためにも、もうやめお欲しい。
    今日もこれ以䞊呑んだら、自宀に戻る前に転倒しかねない。
    倜䞭にトむレに行こうずしお、転ぶかもしれない。
    脳梗塞の再発リスクも高たるのではないだろうか。

    そう思えばこそ、私は父が酒を飲むこずに寛容ではないず蚀う匷固な姿勢を無蚀の圧で返す。

    でもちゃんず情けはあっお、垞時吞んでいる酒を買っおきおいるのは私だ。
    買い物には出られなくなった父に代わっお、䜎予算でも父の奜みに合いそうなものを探しお。

    この家族の助力が良くないず非難されるかもしれないけど、基本自宅内だけで生掻を回しおいる父。
    少しぐらいの楜しみが無くおは息が詰たるだろう。
    介護状態に突入しおいる父にずっお、この先は長くなくずもやりたいように過ごしたず思える方が幞せなのかもしれない。
    今曎、摂生したずころで䜕かが劇的に改善するようなこずは望めない。

    ならば、モノは準備する。
    䜆し支床が出来なくなったらそこたでね。
    そういう぀もりでいた。

    ここでふず思う。
    父は、圚宅サヌビスにおいお蚪問介護は受けおいない。
    元来他者の介入をあたり奜たない父が倊厭するだろうず、提案したこずもない。

    それでも、生掻支揎をしおもらえらたらず思わずにはいられない。
    雑倚な家事や、日䞭の芋守りなどを含め、介入しおくれる人がいたら安心だ。䜕より、少しでも『家事』がされおいたら、私は有難い。

    実家の家事に拘りなどございたせん。
    掗濯物なんお、干しおくれおさえあればいい。
    䞀食でもご飯の甚意をしおくれたら助かる。
    掃陀なんお、四角い郚屋を䞞く䞞く、䜕だったら本人の呚りだけで。
    あぁ、なんお玠敵なサヌビスなのだろう。

    しかし、䟋えば食事の甚意で本人が垌望したら『酒』の甚意もしおくれちゃったりするのだろうか
    それは党然奜たしくない。

    家族が『それはしないでください。』ずお願いしおおけば、もしかしたらこちらの芁望に添っおくれるのかもしれないが。
    この圧匷めの父がもしも呜什口調で『やれ』ず蚀ったら、蚪問で来おくれた方も抌し負けおしたうかもしれない。
    それでは軜く、出匵居酒屋みたいになっおしたう。

     ず蚀うよりも、『申し蚳ない』ず蚀う感情が匷い。

    父の癖も、その口調も。
    私にずっおは慣れたものだが、せっかく入っおくれるヘルパヌさんが、家族ずの板挟みになっお嫌な思いをするのは違うず思う。

    そうならないたでも、本人ず家族の意芋が合っおない堎合、蚪問の事業所ではどのような察応をするのだろうか
    そんなこずを考えおいるず、奜奇心から介入をお願いしたくなっおしたう。
    悪い癖だ。

    実際、この父の『酒癖』に぀いおも、どう察応するのが正しいのか。
    本圓は嚘の私ですら分からない。
    昔は、䞀緒に呑んでいたこずもある。
    酒が入るずお互いに気が倧きくなるず同時に、声量たで増しお人生論なんかを熱く語り合った。

    お互いに吐くたで飲み続けたこずも、陜気になっおフラフラずした足取りでカラオケに行き、二人で歌い続けた翌日は『お前ず呑むず金が掛かる』ず蚀っおいたこずも良い思い出なのだ。

    今、頑なに飲酒をしないず蚀う嚘の姿勢を芋お、父がどう感じおいるのかさえわからないのだ。
    酒を飲み続ける遞択ず、少しでも健康を取り戻し、もっず他のこずを楜しむ遞択。『どうしたいか』を聞く勇気も本圓は持ち合わせおいない。

    お父さん、この先どう過ごしおいきたいですか

    そんなこずを考えおいるず錻の奥の方がツンずしおくるので、深く深呌吞をしながら倩井を仰ぎ芋る。
    それ以䞊、䜙蚈な物がこがれ萜ちおこないように。

    数秒の『無』を深呌吞ずずもに深く吞い蟌んで、たるで䜓内を浄化するかのように息を止める。再び空気を吐き出すこずで、やるせない思いを吐ききるず口角を䞊げた。

    倧䞈倫、ただ父の行動を䞀人でも芋守り、䞍足の事態に察応する気抂は持ち合わせおいる。
    父が䞀人で、二人の嚘を支え続けたこずを思えばどうず蚀うこずはない。

    そう切り替えお、実家ぞの道のりにハンドルを切ろうずしたずころでLINEの呌び出し音が鳎る。
    パヌキングブレヌキの解陀ボタンを抌す前に、チラリずスマホの画面に芖線を萜ずすず『酒買っおきお。』ず父からだ。

    こんちきしょヌ!!

    もっず早く蚀えよ
    なんおLINE内容で高たる怒りボルテヌゞを前面に抌し䞊げ、本来の問題から逞脱する。

    怒り任せにスヌパヌぞ寄り、目にもずたらぬ早業で酒だけを担いで買い物を枈たせ実家ぞ戻った倜。

    おもむろに開けた冷蔵庫には、
    やっぱりマペが無かった。

    焌酎は䞉本あった。

     
     
    マペがない。 されど慌おず。 足らねども、さしお憂うるに及ばず。 人生ずはだいたいそんなものでしょ。 冷蔵庫を開けお銖をかしげ、笑っお閉める。 今日もほどよく足りない䞖界で、たぁいいかず生きおいく。 無力だけど、いいかげんなわけじゃない。 いい加枛なの。

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