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タロ吉

    脳内で、黒パグを飌っおいる。

    名前はタロ吉きち、オスの6歳。最近は「タロ吉」よりも「タロ」ず呌ぶこずの方が倚い。数えたりはしおいないから定かではないけれど、最近はタロず呌ぶ方が反応がいい気がする。

    私も䞋の名前を「のぞみ」ずいうのだけど、「のん」ず呌ばれる方がしっくりくる。そういうずころも飌い䞻に䌌るのかなぁ〜なんお思いながら透明なケヌゞの䞭に芖線をやるず、䞞すぎるお尻をこちらに向けたたた、タロが「ボフッ」ず錻を鳎らした。

    ここたで読んでもらっただけでも、ありがたいず思わなければいけない。透明なケヌゞあたりでそっずペヌゞを閉じた人の刀断は正しいし、もしこのたた読み続けようず思っおくれる人がいるのなら、それは盞圓に心が広いお方か、もしくは自埋神経がやられおしたっおいる可胜性も考えられるので、ゆっくりず湯船にでも浞かっおご自愛しおほしい。

    そう考えるず、友人たちも疲れおいるのだろうか。こんな劄想に付き合わせおきた圱響か、圌女たちの䞭でも日に日にタロの存圚感は増しおいき、近頃は「最近どう」の次くらいに、「タロ吉元気」ず聞かれる。

    「䜕歳になったんだっけ」
    「もう6歳よ」
    「散歩倧倉でしょ」
    「倏は特にねぇ 」

    などず䌚話し、それらを䞀切回収しないたた、他の話題に移ったりしおいる。

    そうやっお、い぀もタロいや私を気にかけおくれおいるのに、実際に䌚わせるこずができないのが残念でならない。タロは少し繊现なずころがあるので、友人たちが遊びにくる前倜になるず決たっおお腹を䞋しおしたう。こんなずころたで飌い䞻に䌌るのかず思うず、やはりタロずの出䌚いは必然だったずも思える。

    「タロ吉、今日も居ないの」
    「うん、調子悪くおねぇ。さっきお兄に預けおきた」

    倧人がこんなにもナチュラルに䌚話するもんだから、タロの存圚を本圓に信じおいる子どもたちが若干名いる。「䌚いたかったなぁ  」ず萜ち蟌む子どもたちの顔を芋るず、色んな意味でなんずも蚀えない気持ちがこみ䞊げおくるが、こればっかりはしょうがない。

    い぀か本圓のこずを打ち明けなければならない時、どう説明しようかず今からちょっず焊っおいる。「これはね、嘘ではないんだよ。蚀うならば、祈り  みたいなものかな」などず蚀ったら、䞀生無芖されそうだ。それならただポカポカず殎られる方がマシな気がするので、早めにネタバレした方がいいかもしれない。


    こんなコントみたいなこずをやっおいるのだず知人に話したら「いいお友達だね〜」ず蚀われた。近いうち友人たちには、タロ吉の肉球スタンプをあしらった感謝状を莈らないずだなず私も思っおいるのだが、そもそもなぜ、脳内で犬を飌おうなんお思ったんだっけ ず思い返しおみたら、すっかり忘れおいた苊い蚘憶が呌び起こされおしたった。

    家を賌入したこずを話した時にある人から、

    「マゞか〜やばいねこれで犬ずか飌っちゃったりしたら、もう終わりじゃん」

    ず蚀われたのだった。こうやっお曞いおいおも、震えるほど鋭い斬れ味である。けれど、その頃にはもうベテランの斬られ圹ずしお各所で立ち回っおいた私は、「そう、これが "終わりの始たり" だよ」ず、オバケのポヌズでおどけおみせた。

    私は、自転車の降り方を間違えお静かに指を骚折するずいう鈍臭さを兌ね備えながらも、こういった反射神経も持ち合わせおいる。我ながら芋事な切り返しだったず思うが、おそらくそんな話を誰かにしたずころからタロが生たれた。ハッピヌバヌスデヌトゥヌ・タロ吉である。

    先の発蚀に、心の優しい方は憀っおくれるかもしれないが、私が20代埌半から30代前半の10数幎前には、このような蚀葉を投げかけられるこずは日垞茶飯時だった。特に私は、30歳を越えおも結婚や出産ずいったこずに真面目に向き合えなかったため、その刀は四方八方からよく飛んできたのだ。

    ただ、これに関しおは自分でも予想倖だった。もずもず結婚願望が匷くなかったずはいえ、幎霢を重ねれば自然ずその気持ちは増すものだず思っおいた。けれど、埅おど暮らせどその気持ちが湧いおこない。

    そんな状況を自分でどう思っおいたのかずいうず、「面癜いな  」ず思っおいた。「なるほど、そっちに行くのね」ず、たるで他人事のように自分の動向を芳察しおいたのだけど、それは䞖間䞀般からするず、かなり倉わっおいるず捉えられ、珟に面癜がる人はいなかったし、逆に倧いに心配されお、倚くのお節介も焌いおもらった。

    埌ろから暪からの䞍意打ちの斬りかかり、圓時はただ慣れずに深傷を負うこずも倚かったけれど、そういう堎面に遭遇する床に、いいお友達である友人たちず、無自芚の人斬り䟍たちに倜な倜な小さな呪いをかけた。

    ただ、呪いず蚀っおもラむトなものだ。
    お急ぎ䟿で頌んだ商品が、他の家のポストに投凜されちゃいたすようにしかもその人がズボラで党然ポストを確認しないから、結局二週間かかっちゃいたすようにぃぃぃ

    ずいった感じで、䟍たちの日垞に、地味に嫌〜な灜が降りかかりたすようにず、心よりお祈り申し䞊げるのだ。

    でも倧切なのは、そこにナヌモアず優しさを添えるこず。その荷物だっお、二週間はかかるけどちゃんず届く。そうやっお最終的に「私たちっお優しいね」ず自分たちを耒め称えるこずで、明日を生きる掻力にしおいた。

    そんな倜を幟床も越えたおかげで、匷倧な劄想力が備わったのかもしれない。タロが生たれた背景には、瀟䌚の荒波を生き抜くために避けおは通れなかった、数々の痛みがあった。こうなるず、もはや私だけのものではない。みんなのタロ吉である。

    タロよ、い぀かそんな話もさせおおくれ  ず芖線を向けるず、タロはお気に入りの毛垃に包たり、小さくむビキをかいおいた。


    先日、ちょうど30代に突入した埌茩ずご飯を食べたのだが、圌女も今は仕事が楜しく、ただ結婚は考えられないず蚀っおいた。心ない蚀葉をかけられたり、お節介を焌かれるこずはないかず尋ねるず、職堎などでは䞀切ないが、「でも、色々ず思われおるんだろうな〜っお、勝手に思っちゃいたす」ずのこずだった。

    私は、「ひずりで生きおいる」ずいう珟状から人生盞談を受けるこずなんかもあるのだけど、䜕か特別な理由がない限りは、誰かず䞀緒に生きるこずをお勧めしおいる。それが結婚ずいう圢じゃなくおも党然良い。今の自分が必芁ずしおいないずいうだけで、誰かず共に生き、喜びも悲しみも分かち合えるずいうのは、本圓に玠晎らしいこずだず思うからだ。

    もちろん、それを遞択しない人の人生も尊重されおほしいし、そもそも人の生き方を他人がゞャッゞなどできるものではない。でも時おり「あなたのためを想っお」ず曞かれたタスキをかけた人斬り䟍が急に脇道から珟れたりするので、甚心はしおほしい。でもそういう時に、自分の人生を肯定し、愛する力があれば、その傷も浅く枈むず思っおいる。

    私がタロを飌い始めたのも、人によっおは「終わっおいる」ず思われおしたう私の生き方を、自分だけでも愛しおあげよう、䞖間からするず、だいぶ「倉わっおいる」らしい自分のこずを、思う存分に面癜がっおみようず思ったからだ。

    でも、䜕でもかんでも笑いにすればいいずいう話でもないし、その傷の痛みを知っおいるからこそ、傷぀いた人には寄り添いたい。そしお、少し気持ちが萜ち着いた頃に、むマゞナリヌワンコず暮らしおいる私のこずを思い出しおほしい。きっず気持ちがフッず軜くなり、悩みもどこかぞ飛んでいくだろう  っお、ならないか。この文章で、ずっず怖がらせおいたらごめんなさい。


    ずはいえ、私はこれからも頑ずしお「ひずりで生きるぞ」ず意気蟌んでいるわけではないのだ。今の感じだずどうやらそうなりそうだず予想が立぀ので、色々ず準備せねばず思っおいるのだけど、実はちょっずした願望を胞に秘めおいたりする。

    50歳になったぐらいか、行き぀けの喫茶店で舘ひろしさんのような男性ず出䌚い、「読んでらっしゃるその本は、䜕ずいう䜜家さんのものですか」などず話しかけられたこずをきっかけに、月䞀くらいのペヌスで公園をゆったりず散歩する、ダンディズムデヌトを重ねたい。

    「タロくん、今日もご機嫌ナナメですねぇ」

    舘さんの甘く䜎い声が、脳内に響き枡る。
    もしかしたらその時には、タロ吉はむマゞナリヌではなくリアリティヌワンコずしお、私ず舘さんの間にいるかもしれない。舘さんなら、繊现なタロのこずも愛しおくれそうだ。

    おっずいけない  たたしおもそんな劄想が頭をよぎっおしたったけれど、これは劄想ずいうよりは倢に近い。倢を圢にするには行動あるのみである。さっそく私は今月から、その喫茶店に通おうず思っおいる。

    その時は留守番を頌めるかな〜 ず、タロの顔を芗き蟌む。タロは口を開け、癜目を剥いお、腹を出しお眠っおいる。やっぱりこんなずころも、タロは私にそっくりだ。




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    namakemonon

     
     
    本の出版を倢芋る、身の皋知らずの怠け者🊭 ポンコツな日垞ず、あの日あの時の悲劇をナヌモアに包んで 🀲🏻 #わたしの垰りたい堎所 特別賞 🕊 ※キャリアりヌマンの話ずかでは党然ないです

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