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Photo byunhealthy46

記憶について

    記憶はどんどん薄れてゆくものです。
    人生最高潮に嬉しかったときでも、それはいっときのことなので、すぐに忘れてしまう。
    二度と、そのときの気持ちは味わえないものなのです。
    例えば、満月の夜に帰り道で隣家からふと洩れてきたベートーヴェン。
    部活を辞めようか悩んでいた状況と、そのピアノの音色と、それをやさしく見ていてくれているような月。
    あのときのあの気持ちは、そのときの状況下でしか感じられません。
    それがときにせつなくなるし、無力さも覚えます。
    分かってはいるけれど、どんどん記憶が薄れてゆくことに危機感と焦燥感を覚えます。

    一瞬であることにこそ美しさがあるのかもしれません。
    でも、だからこそ、わたしはその美を零さないように、ことばで掬って、かたちにしているのだと思います。
    その時のことばを見返して、その時の美を思い出して、浸っていられるように。


    忘れていくことは虫が食べ始めた結果だ

    靴の花火/ヨルシカ

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