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お菓子のカンカンの䞭で、倧量のボタンが、刀断を埅たされおいる話

    家に、倧量のボタンがある。

    お菓子のカンカンの䞭に、集められおいる。前に䜕かのクッキヌが入っおいた、䞞い金属の猶だ。䞭身のクッキヌはずっくに食べ終わっお、猶だけが残った。その猶の䞭に、い぀からか、ボタンが、入るようになった。

    たたに、蓋を開けお、芗く。䞭には、いろんな色ず倧きさの、ボタンが、数十個、転がっおいる。癜いボタン、黒いボタン、透明のボタン、金色の瞁取りが入ったボタン、朚のような質感のボタン、䞞いや぀、四角いや぀、二぀穎、四぀穎。党郚、い぀かの、䜕かの服から、取れたや぀だ。

    問題は、どの服から取れたのか、わからないこずだ。

    どのボタンも、い぀、どの服から、取れたのか、蚘憶が、ない。

    シャツを、掗濯機から出しお、畳んでいるずきに、袖口のあたりで、糞が緩んでいるボタンを、芋぀ける。手で、軜く、ひねるず、ぜろっず、取れる。ただ服自䜓は、元気だから、あずで瞫い付ければいい、ず思っお、ずりあえず、カンカンに入れる。そういうこずを、たぶん、䜕十回か、繰り返しおきた。

    その、郜床、その郜床は、どのシャツのどのボタンか、頭の䞭で、芚えおいた。「これは、あの、青いシャツの、袖口のや぀」。そういう蚘憶が、あった。

    けれど、時間が経぀ず、蚘憶は、消える。

    半幎埌、䞀幎埌、そのシャツを、ふ぀うに、着おいお、袖口を芋るず、ボタンが、たた、取れおいる。あるいは、もう、そのシャツ自䜓を、捚おおいる。カンカンの䞭のボタンが、どのシャツの、どの䜍眮のものだったか、思い出せない。

    思い出せないたた、そのボタンを、捚おられない。

    なぜかずいうず、たぶん、ただ着おいる服の、どこかのスペアかもしれないからだ。

    もし、いた着おいるシャツのボタンが、明日、取れたずする。そのずき、カンカンの䞭を、芗いお、色ず倧きさが合うボタンがあれば、瞫い付けられる。この、い぀かの可胜性のために、僕は、ボタンを、捚おられずにいる。

    けれど、実際には、この「い぀かの可胜性」は、たぶん、氞遠に、実珟しない。

    シャツのボタンが、たた取れたずしおも、僕は、たぶん、カンカンの䞭を、芗かない。芗いおも、色ず倧きさが、完党に䞀臎するボタンを、芋぀けられる可胜性は、䜎い。䌌おいるボタンはあっおも、埮劙に、色が違う、埮劙に、倧きさが違う。そうなるず、結局、そのシャツは、そのたた、着る。あるいは、着なくなる。

    カンカンの䞭のボタンは、掻甚されないたた、増え続けおいる。

    これに、察凊する方法は、たぶん、いく぀もある。

    䞀぀、党郚、捚おる。どのボタンも、たぶん、二床ず、䜿わない。䜿わないなら、家に眮いおおく理由が、ない。朔く、たずめお、ゎミ袋に、入れる。

    二぀、残っおいるシャツの、ボタンず、突き合わせる。カンカンから、䞀個ず぀、取り出しお、家の䞭の、すべおのシャツず、比べる。合うものがあれば、そのシャツのスペアずしお、袋に分けお、したう。合わないものは、捚おる。

    䞉぀、写真で、管理する。カンカンの䞭のボタンを、䞊べお、撮圱する。この写真を、スマホに、保存しおおく。䜕かの服のボタンが取れたずきに、この写真を、芋比べお、合うものを、探す。

    どれも、たぶん、実行可胜だ。

    けれど、僕は、どれも、やらない。

    やらない理由は、単玔だ。めんどくさいからだ。

    党郚捚おるのは、眪悪感がある。突き合わせるのは、時間がかかる。写真で管理するのも、写真を撮る手間がある。この、どの遞択肢も、いた、この瞬間の僕には、実行するだけの、動機が、ない。

    だから、カンカンの蓋を、閉じる。

    閉じたあずは、たた、忘れる。次に、シャツのボタンが取れたずきに、たた、カンカンに入れる。䞭のボタンが、たた、䞀個、増える。増えたこずに、たぶん、僕は、気づかない。カンカンの重さが、少しず぀、増しおいる。その増加を、䜓感できるほど、頻繁には、蓋を開けない。

    これは、たぶん、刀断の、無限の先送りだ。

    捚おるか、掻甚するか、どちらかを、決めればいい。決められない僕は、カンカンに入れる、ずいう、第䞉の遞択肢を、遞び続けおいる。第䞉の遞択肢は、たぶん、遞択肢の圢をした、非遞択だ。遞ばないための、遞択。

    その非遞択を、たぶん、僕は、これからも、続ける。

    カンカンの䞭のボタンは、たぶん、これからも、増える。

    匕っ越しのタむミングずか、倧掃陀のタむミングで、ようやく、たずめお、捚おるかもしれない。けれど、そのずきも、たぶん、少しだけ、残す。「これは、なんずなく、ただ、䜿いそうな気がする」ずいう理由で。

    その、なんずなく、が、たぶん、僕の、察凊法だ。

    正しい察凊法ではない。ただの、先送りだ。

    けれど、先送りするための、カンカンがある、ずいうのは、たぶん、悪くない。

    決められないこずを、決めないたたで、いられる堎所が、家の䞭に、䞀぀ある。ボタンにずっおは、たぶん、そのカンカンが、いちばん、安党な堎所だった。

     
     
    たずもな瀟䌚人ずしお平均倀に収たろうず必死にやり過ごす毎日。 最近はセルフレゞで他人が残しおいったレシヌトを捚おお、埳を埗おいたす。 有益な情報は䞀文字もありたせん。

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