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Photo bywashizukami

じゃない不倫

    中臣モカマタリ

    なぜ、『夏色のナンシー』だったのか。今となっては、誰にもわからない。

    『ええじゃないか』というムーブメントがあった。江戸時代末期の1867年に日本各地で起きた民衆運動のムーブメントだ。「ええじゃないか」と連呼しながら、仮装や狂乱の踊りを繰り広げた。これは、幕末の社会不安や世直しへの期待を背景に、熱狂的な世相のうねりとなったものだ。

    今回のムーブメントも、似たようなものかもしれない。背景には、世界的な地政学的な不安定さによる社会不安があったともいわれている。ネット社会で、リアルな恋愛が乏しくなってきた中での反動という説もある。

    倫理にもとる、という倫理は、夫婦であれば倫理に反しないのであって、平安時代の一夫多妻制にも似た制度をうらやみ、障害のある恋こそ燃え上がるなどの理屈もつけて、不倫でたたかれた有名人などの恨みもあったのだろう、爆発的なムーブメントがインスタグラムから起こった。

    顔を隠した男女が、歌に合わせて踊るのである。
    「恋かなー、恋じゃなーい、愛かなー、愛じゃなーい」
    不倫を正当化したこれは、「じゃない不倫」運動と呼ばれた。

    それは、2027年に日本各地で起きた、はかない一瞬の盛り上がりであった。

    ❖早見優の『夏色のナンシー』(作詞:三浦徳子、作曲:筒美京平)の 
     JASRAC(日本音楽著作権協会)作品コードは 059-8875-6


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