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金持ちジュリエット

    中臣モカマタリ

     今流行りの転生によって蘇ったのはいいけれど、過去は変えられないと知って、ジュリエットは落胆する。4百年経っても名前が残っているのは嬉しいことだし、ビノシュという女優さんはいるものの、今の世でジュリエットといえば、まあ、自分のことだ。

     しかし、運命や歴史が変えられないのなら、何を使命として転生してきたのだろう。キャピュレット家の資産運用が良かったのか、金だけは、うなるほどある。

     ロミオのほうは、転生していないらしい。そうだよね。彼って、パリスとティボルトを殺している、いわば人殺しだもの。そしてついに、ジュリエットは使命を見い出す。

     ジュリエットは、ロビー活動で金をばらまきはじめる。その金は政治家を動かし、世の機運を醸成していき、やがて、社会運動にまで発展する。
     ジュリエットが今世での命の終わりを迎えるとき、彼女は届いたばかりの本を抱いて満足そうに微笑んだ。

    本のタイトルには、こう書かれている。

    「ジュリエットとロミオ」

                                  了

    (本文408字)

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