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言えるしあわせ

    とある精神科病棟でナースエイドを生業とするNAKAKO。
    患者さんを勝手に心の家族認定する悪いクセがある。

    今回は、心の父Mさんのお話。

    Mさんは、何故そういう対応だったのかはわからないけど
    ほぼ1日ナースステーションで過ごされていた。

    看護師さん達が座るテーブルに
    リクライニング車椅子で一緒に座っていた。

    パソコンから流れる動画や音楽を聴き
    食事もそこで摂り
    時には背もたれを倒し眠っていた。

    色素が薄いのか、日本人離れした顔立ちで
    若い頃はさぞかし女泣かせの男前だったのだろうと思わせる容貌。

    まぁ、なにしろ昭和頑固オヤジ世代なので
    時には癇癪を起こしたりして
    看護師さん達はなかなか大変そうだった。

    でも、突然満面の笑みになってみたり
    ビートルズの曲を歌いだしてみたり
    タオルで姐さんかぶりしてみたり
    お茶目な一面もあった。

    NAKAKOはいつからか

    「Mさん、おはようございます。今日もよろしくお願いします」

    「Mさん、さようなら。また明日」

    と挨拶するようになった。


    Mさんは少し笑って

    「おはよう」

    「また明日」

    そう返してくれていた。

    特に「また明日」は、仕事の疲れも吹っ飛んだ。

    考え事をしていて、ついつい黙って通り過ぎようとすると

    「コラ!黙って通り過ぎるヤツがあるか!」

    と怒られたものだった。


    Mさんは来る早々に他の病棟に移動する事が決まっていた。
    まだ日にちは少しあるけど、ご挨拶できるのも転棟の前日までかぁ~…

    ところが

    移動先の病棟が突然空いたのか、Mさんの転棟が早まったのだ。

    突然いなくなったMさん。


    「寂しいなぁ~」

    思わず呟いたら、看護師さん達がみんな苦笑いしていた。

    そうとう対応に苦慮してきたのだろう。

    それでも、NAKAKOにとっては心の父。
    いつも元気をくれる人だった。


    また明日
    それは突然言えなくなる時がある。


    明日もまた会いたい人に

    いつも一緒にいてくれる人に

    感謝しながら今日も伝えよう。


    「また明日」


     
     
    とある精神科病棟でナースエイド(看護助手)を生業としているオバサンです。 仕事でも家でも色々やらかしてます。 仕事や日常の事、過去の出来事、そのとき思った事などを自分なりの目線で綴っています。 笑っていただけたら本望です。 気まぐれ更新ですが、よろしくお願いしますm(_ _)m

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