
「歌物語 冬」 #9『雪が降る町』
music:ユニコーン
同棲している彼氏と彼女。
こたつ。
12月30日 夜
彼氏「今日から休みだね」
彼女「何しようかなあ」
彼氏「久しぶりに実家に帰ろうと思ってるよ」
彼女「福岡に?」
彼氏「もう5年ぐらい帰ってないよ」
彼女「そうかー。私は面倒くさいなー」
彼氏「テレビ点けたらやってるだろうね」
彼女「何を?」
テレビを点ける。
彼氏「ほら、帰省ラッシュのニュース」
彼女「大体新幹線の乗車率って120パーセントだよね」
彼氏「きりがいいしね」
彼女「今年は帰省客も分散しなそうだから今日と明日がピークだね」
彼氏「そうだねー」
12月31日 昼
彼女「結局帰らなかったね」
彼氏「疲れて戻ってくるだけだしね」
彼女「あ、元旦の食べ物どうする?」
彼氏「市場とか行ってみる?」
彼女「何買うの?」
彼氏「新巻鮭とか?イクラとか?」
彼女「それどうするの?」
彼氏「お茶漬けに入れるとか?」
彼女「なんかもったいない」
彼氏「ウーバーにする?」
彼女「なんか大変だよね、配達員」
彼氏「セブンあるし、冷凍パスタあるし、明日考えようか」
彼女「元旦なのに?そうしようか」
12月31日 大晦日 夜
彼氏「紅白も最近若返ったね」
彼女「うちの親も紅白は知らない人ばかりだと言ってた」
彼氏「お年寄りは三人の中年が出る番組観るんじゃない?」
彼女「日本の大晦日もザワついてきたね」
彼氏「子供の頃思ってたけど、紅白の勝ち負けの基準ってなんなの?」
彼女「けん玉を頑張ったかどうか?」
彼氏「それ、本人の努力と関係なくない?」
その時、除夜の鐘が鳴る。
彼女「除夜の鐘!外、雪が降ってる。積もったら雪だるま作ろうか」
彼氏「アナか。それに宮城にはたくさん雪降るでしょ」
彼女「確かに。雪も見飽きたよ」
彼氏「そう言えばさ、子供の頃大晦日の0時ちょうどにジャンプしたらその年の最初に、地球上にいないことにしなかった?」
彼女「しないよ」
彼氏「大気圏の外に出ないとまだ地球なのにな」
彼女「どうでもいいよ。それより初夢って今日見る夢だっけ?」
彼氏「明日らしいよ」
彼女「まじ?去年、一富士、二鷹、三茄子って言うけど、鷹の夢見たの」
彼氏「いいじゃん。去年の話だけど」
彼女「でも鷹に連れ去られる夢だった」
彼氏「去年の夢だろ」
彼女「まあ、いいことも悪いこともなかったけど」
彼氏「あ。おもしろ荘始まってるじゃん」
彼女「やばっ」
1月1日 元旦 昼
彼女「近くの神社でも行く?」
彼氏「そうだね、あそこなら空いているだろうね」
帰り道。
彼氏「やっぱり大凶だし。大凶って結んでくんだっけ?持って来たけど」
彼女「不吉だから結んだ方が良かったんじゃん?私、末吉」
彼氏「末吉と小吉ってどっちが良いんだろう」
彼女「タイトルで決めない方がいいよ。中身だよ」
彼氏「中身はなんて?」
彼女「励めば合格するでしょうって」
彼氏「どこか受験するの?」
彼女「うーん。フラワーアレンジメントの資格でも取ろうかな」
彼氏「うちに花ないじゃん。代わりに仕事頑張れよ」
1月2日
彼氏「初笑いが二日も続くと何も笑えなくなるね」
彼女「明日で冬休みも終わりだしね」
彼氏「小学校の夏休みの宿題が残ってる感じだよ」
彼女「私は7月中に終わらせたから余裕」
彼氏「会社の資料作り、途中だったんだよな。何作ってたんだろ」
彼女「すぐ思い出すよ」
彼氏「思い出したくないよ」
1月3日 昼
彼氏「ついに冬休みも終わるよ!」
彼女「毎年のことじゃん」
彼氏「今年の冬休み、何かしたっけ?」
彼女「神社行った」
彼氏「大凶だった」
彼女「昨日冷凍パスタ食べすぎた」
彼氏「まさかの大盛りだったね」
彼女「年末年始ってみんな楽しいのかな?」
彼氏「俺らと同じだよ」
彼女「こんなだらけたカップルいないよ」
彼氏「来年は宮城の実家に二人で行こうか」
彼女「それってプロポ?」
彼氏「来年のことだから」
彼女「あ。大凶だったじゃん」
彼氏「中身が大事だよ」
彼女「おみくじにはなんて書いてたの?」
彼氏「待ち人現れずって」
彼女「…」
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