
バリウム検査は遠い未来の話だと思っていた
親や教師や上司から聞いてきた噂のバリウム検査。
まさか自分がその当事者になるとは夢にも思わなかったが、私も30代半ば。
そろそろ自身の健康のためにも、若年層検診だけでは不安を覚えてきた矢先。
年に一度の健康診断でバリウム検査が追加されるとは。
今回はその時の所感を記していく。
前日:いつも通りの健診という思い込み
会社勤めであれば年に一回必ず実施されるであろう健康診断。
謎に健診結果の見栄え良くしたいという思いから、20代の頃は前日は早めに寝たり、身体を絞ったりもした。
今やそういった初々しさはどこへやら。明日健診面倒だなという気持ちが強かった。
前日の食事は21時まで。当日は食事は摂らない。
こういった健診の注意事項というのはこれまでと同様であった。また、色々と立て込んでいた私は、直近になっても健診の案内によく目を通すことはなく、せいぜい注意事項と実施の日時を確認するのみだった。
当日:そんなの聞いてないけど?
さて、健診当日。私は例年通りクリニックに向かう。
着替えを済まし、身体測定やら聴力検査を受け、苦手な人もいるであろう採血も淡々とこなす。よしよし、早めに終われば新作の映画でも観に行けるな、と脳内でほくそ笑んでいたところで、
「じゃあ次はX線検査ですね」
これには思わずWhy?である。
なんだそれは。聞いたことがないぞ。
いや、正確には聞いたことはあったが、私とは無縁の検査だと思っていた。だってかの有名なバリウム検査のことであれば、少なくともそれは若年層健診には含まれていないから経験する必要がなかった。つまりは私もそんな年になってしまったという現実に突き落とされる。
若干のショックを実感し、言われるがまま検査の行われる部屋に通される。
「X線検査はされたことがありますか?」恐らく何らかの技師的な職の方が私にたずねてくる。
先ほどまでの余裕はどこへやら。私はおずおずと「いいえ」と答えた。
指示されるがままにCTスキャンを行うような可動式ベッドの前に立たされる。
次に手渡されたのが粉薬と少量の牛乳っぽい液体。
バリウム検査を受けたことのない方のために一応説明をすると、なんでもこの粉は発泡性があり、これを飲むことで胃を膨らませ、細部まで撮影できるようにするようだ。
ともかくもこの粉が凶悪で、飲んだ瞬間からゲップが出そうになる。「唾を飲み込んでこらえてくださいね」とお姉さんの笑顔。内心白目であった。
さらに渡されたのが300mlくらいの液体が入っている紙コップ。
それは・・・うん、見た目はボンドだね。
ボンドのような粘度に色。それを半分くらい飲むように指示される。味は乳製品のような味がして意外と飲みやすい。
体勢を変え、間髪を入れず全てを飲む。この時点でお腹の違和感がすごい。
それからベッドに搭乗すると、室内型アトラクションの始まりと言わんばかりに右に左に傾き、自分で回転するよう何度も指示され、とにかくこれを5分ほど必死にやった。何をしているんだろう、自分はというお約束を頭に浮かべながら。
終了した時は気持ちが悪く、ゲップは出るはめまいはするはでなんですかこの地獄は。おまけに人生で初めて下剤を飲んだ。どうなるんだろう怖い。
放心状態で帰り支度をしながら、そういえば、と昔上司が言っていた言葉を思い出す。
クリニックの近くに美味いステーキ屋があって、健康診断の後は必ずそこに寄るのだと。
見た目がボンドのような液体を飲んだ後ぐるぐる回され、下剤を飲むという条件は一緒ですよね?と疑いたくなるタフさだ。私には到底できないだろう。
今後の健康診断が憂鬱だ
下剤を飲んだ私は悩みに悩んで自宅に戻ることにした。
映画を観に行こうものなら2時間は席に拘束される。その間ぎゅるぎゅるきたらたまったものじゃない。
案の定その日はトイレとお友達をしていた。このときばかりは自分の英断を褒めるべきだ。
ともかく「大人」はこんな辛い経験をしていたのかと身をもって知った。皆普通に健康診断を終えて職場に戻ってくるものだから、バリウム検査を甘くみていた。
来年以降も付き合っていかなくてはならないバリウム検査。
健康のためには仕方なしと割り切るも、苦手なものがひとつ増えた瞬間に変わりはない。