
別人34号
先日、仕事帰り
ああ今日も頑張って働いた
缶ビールでも買って帰ろう
と思い自宅近くのコンビニに寄った
バイクを駐輪スペースに停め
コンビニの入口へ向かって歩き出したところ
突然、道路側から男性が一人
近づきながら声をかけてきた
「おお!Nくんやん!」
僕は少し驚き、その人を見た
その人は僕と同年代らしき雰囲気ではあるが
この様な言い方は大変失礼ながら
若い顔に対して
若干違和感を感じる程にハゲていた
しかし別に
時々そういう方は見かけるし不思議もない
そして僕は思った
で、誰やねん
そう
僕はその人が誰か分からんかった
昔から僕は人の名前と顔を覚えるのが非常に苦手
しかし長年その様なことであるため
この様なシチュエーションにおいては必要に応じて適当に話を合わせる事が可能
さらに話の内容等から
その人物が誰であるか正確に推理することもできる
僕は瞬時に推理を始めたコナンくんのように
この人はまず僕のことを知っており
明らかに同世代
親しげに話しかけつつ
僕のことを「くん付け」で呼んできた
と言うことは
普段から僕を呼び捨てにしていた先輩等でないのは確か
親しい友人達も僕を呼び捨てにするが
親しい友人の顔はギリギリ分かる
そしてこのコンビニには場所的に地元の人間意外あまりこないと思われる
以上の情報から
あまり親しくはなかった同級生
もしくは後輩
のいずれかであると推理したコナンくんのように
とはいえここまで顔に見覚えがないのも珍しく
やはりこの人が誰であるかを特定するには至らなかった
僕はせっかく笑顔で声をかけてくれた中
大変失礼ながらお名前を尋ねてみることにした
僕「あ!えっと〜。ごめんな。誰やっけ…?」
禿「おい!マジか!タカギやん!中学の」
え、タカギ?
誰?
僕「あー!タカギくんや!ごめんごめん!」
そう言いつつも
僕は全く心当たりがなかった
一瞬の間に
必死に中学校時代の記憶を遡った
するとタカギ(仮)は
非常に恥ずかしそうにしながら言った
仮「いや、でもしゃーないわ。俺めっちゃハゲてもうたしな」
すまん、そこちゃうねん
恥ずかしい思いをさせておいて何やけども
仮に君が
めっちゃハゲてもうてなくても分からんねん僕は
少し心が痛んだが
その時僕はついに思い出した
え、もしかして
二年生の時同じクラスやった
確か…軟式テニス部のタカギくんか?
いやしかし引っかかった
かろうじて朧げに思い出したタカギくんの顔とは
どう考えても別人のように思えた
もしかして
何らかの理由から整形したとか?
そしてそれは本人にとっては当たり前なので
言うのを忘れてるとか?
いや分からない
しれっと確認してみようかとも思った
僕「2年の時な!同じクラスやったな。テニス部やろ?軟式の」
タ「そうそう!でも部活は陸上部」
は?
ほな誰やねん貴様
知らんぞ
知らんに1000万bet
クッソこうなったら
皆が前向きな理由でする訳でもないと思う
なので大変失礼かもしれんがこの際確認しておく
僕は若干
明るくポップに聞いてみた
僕「タカギくんて、もしかして…整形とかした?」
タ「えぇ!なんで知ってんの?」
え?やっぱりそうか
ほな分からんやんけそんなん
しかしタカギくんはそう言いつつ
明らかに不思議そうな様子に変わった
アカン、やっぱり聞かん方が良かった
失礼やったか
そう思ったその時
タカギくんは
目の下と鼻の間あたりを指さして言った
タ「ホクロ取った」
は?
知らんねんそんなん
顔覚えてないのに
貴様のホクロの位置覚えてないねん
僕が聞いたのはもっと大掛かりなやつや
ハゲもホクロも関係ないねん
誰やねん
僕「あーそうか。なんか昔と雰囲気違うと思たわ」
タ「すごいな、そんなん気付いたのNくんくらいやわ」
まあそうやろうな
実はまだ貴様が誰か思い出してないけどな
僕「おー、ほなごめん。ちょっと急ぐし行くわな」
タ「おー、またなー」
タカギくんが誰やったんか
全く判明しなかった
しかしなぜか
あの人が誰やったのか非常に気になった
もしかしたら最近映画等でありがちな
別の次元から来たタカギくんの可能性もある
そのため僕の朧げな記憶だけではなく
どうしても写真を確認しておきたかった
家に帰るや否や
本棚の奥で埃をかぶっていた卒業アルバムを引っ張り出した
僕が思うタカギくんなら3年生の時はクラスが違ったはず
そう思いつつ探した
そして見つけた
よく顔を見た
当時とは別人なのか、もしくは別人に見えたのか
またその理由を探した
しかし写真に映る顔は今日会った人と同じやった
え?
どういうことか
少し混乱したが穴が空くほど写真を見て
なぜ別人に見えたのかについて
ある一つの仮説が浮かび上がった
そしてそれはおそらく正しい
仮説とは
そう
ハゲてたからやと思う