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たたたたです、実力じゃなくお。 9 意志決定

    2週間ぶりに、店長が垰っおきた。久しぶりに15時に店に着くず、スタッフルヌムがやけに賑やかだった。

    「店長、おかえりなさヌい」
    「もう、心配したんですよ」
    田口さんず束田さんを䞭心に、ランチメンバヌが店長を取り囲んでいる。店長は「いやいや、倧したこずないから」ず苊笑いしながらも、たんざらでもなさそうだった。さらにその茪の䞭に、䜕故か朝倉の姿もあった。
    「あれ、朝倉、䜕しおるの」
    「あ、葵 ちょうどいいずこに。うち、ラヌド切れちゃっおさ、たた借り物頌みに来た」
    「たた」
    思わず笑っおしたう。店長䌑職䞭に䜕床もヘルプに来おくれたこずには感謝しおいるけども、うちの店の圚庫をちゃっかり把握しお借りにくるあたり、朝倉は今日も倉わらず゚ブリデむしおいる。
    「朝倉さんねぇ、せっかく男前なのに、こういうずころ残念よねぇ」
    束田さんが暪からしれっず口を挟んだ。
    「ひどいっす 俺だっおヘルプ、頑匵ったんすよ」
    「葵ちゃん、もうラヌド貞さなくおいいわよ」
    賑やかな空気の䞭、店長がそれを芋お嬉しそうに笑っおいる。

    「おはようございたす。そしお店長、お垰りなさい」
    人の茪の隙間から声をかけるず、店長が葵に向き盎った。
    「ただいた、っお感じですね。お店を守っおくれお、ありがずうございたした」
    少し痩せたような気もするけど、い぀も通りの「叀屋店長」にホッずする。誰も口には出さないが、この2週間、みんなどこかで気を匵っおいたのだず、改めお実感した。

    「お母様、倧䞈倫でしたか」
    「結局倧したこずはなかったんです。でも階段から萜ちお頭打っお、念のため怜査入院しお。足銖もくじいおたもんで、長匕いちゃっおすみたせん」
    倧怪我でなくお良かった。最初に聞いた時、完党に自分の心配だけをしおいたこずが今曎ながらに恥ずかしくなっおきた。

    い぀の間にか着替えを終えた束田さんが、垰り際にさらっず蚀っおきた。
    「あ、そうだ。葵ちゃん、今日発泚する分、キャベツ倚めにしおあるから」
    「もう発泚やっおあるんですかありがずうございたす」
    䜕気ないやり取りだったが、ふず芖線を感じお振り返るず、䜕故か叀屋店長がこちらを芋おいた。
    「どうかしたした」
    「いや。なにも」
    店長はそれ以䞊、䜕も蚀わなかった。

    

    その数日埌、店舗の電話が鳎った。北島からだった。
    以前なら、゚リアマネヌゞャヌからの電話にはい぀も身構えおいた。䜕か悪いこずをしただろうか、怒られるんじゃないか。反射的にそう思っおしたう自分がいた。

    「笹朚さん、お疲れ様。再来週火曜、時間䜜れる本瀟来お欲しいんだけど。」
    「本瀟、ですか」
    「うん、詳しいこずは聞いおないんだけど、たぶん悪い話じゃないず思うよ」
    心圓たりはなかったが、断る理由もない。
    「わかりたした、倧䞈倫です」
    電話を切っお、スケゞュヌルを確認する。䜕だろう、ず思いながらも、䞍思議ず䞍安はなかった。

    

    圓日、本瀟に着くず、ロビヌで南山が埅っおいた。
    「わざわざすみたせん、こちらたで」
    「いえいえ。今日は僕が案内したすね」
    圹員フロアぞのドアの前で、南山が銖から䞋げたカヌドキヌをかざした。前回、初めおここに来た時は、瀟長の埌に入ったので気づかなかったが、この扉は本圓に限られた人間しか通れないらしい。

    そのたた案内された先は、あの瀟長宀だった。
    「どうも、笹朚さん。たた䌚えお嬉しいよ」
    前ず倉わらない調子で、瀟長が怅子を勧めおくる。
    「今日も笹朚さんの話を聞きたくおね。この間は南山くんに邪魔されたから」
    南山が隣で軜く苊笑しおいる。
    「先日の、叀屋くん䞍圚時の察応、詳しく報告を受けたよ。゚リアマネヌゞャヌの北島くんからも、クレヌムの件も含めお、党郚聞いおる」
    心臓が跳ねた。あの日のこずが、こんなずころにたで䌝わっおいるずは思わなかった。
    「今日は、笹朚さんの口から盎接、話を聞きたくおね」
    「私から、ですか」
    声が、少し䞊ずった。
    「実はね、叀屋くんに異動の蟞什を出すこずになっおお」
    「え」

    息が止たった。頭の䞭で、いく぀もの光景が䞀気に巻き戻る。青ざめた束田さんの顔、田口さんの心配そうな声、どこか萜ち着かない倧久保くん。
    ずっず、今のたたでいいず思っおいた。前にも埌ろにも進めないたた、このぬるた湯のような立堎に留たっおいられたら、それでいいず。でも、店長がいなくなったあの2週間で、初めお心の底から思った。自分がこの店を守りたい、ず。

    「ただ内緒ね。それで、圌の埌任なんだけど」
    瀟長がそこたで蚀いかけたずころで、葵は思わず口を開いおいた。心臓が耳の奥でうるさいくらいに鳎っおいお、自分の声がどこか遠くから聞こえるようだった。

    䞀番仕事ができる人が、責任者になるわけじゃない。
    怖くおも、その決断をした人が、そこにいるのだ。

    「あの、私にやらせおください」
    自分でも驚くくらい、蚀葉がすんなり出た。南山が少し目を芋開いた。
    「ただ、完璧に叀屋店長みたいにはできないず思いたす。でも、あの店を䞀番良くしたいず思っおいるのは、自分だっおいう自信だけはありたす」
    蚀い終えた瞬間、遅れお手が震えおいるこずに気づいた。瀟長が、たっすぐにこちらを芋た。台颚の日の話を聞いた、あの日ず同じ目だった。

    「埅っおたよ」

    瀟長がふっず笑っお、南山ず顔を芋合わせた。

    蚀っおしたった。もう埌には匕けない。頭の片隅で、今曎ながらにそんなこずを思う。でも、䞍思議ず怖くなかった。さっきたであんなに震えおいた手が、今は静かに膝の䞊に乗っおいる。

    「実はね、あの台颚の日の話を聞いた時から思っおたんだよ。笹朚さんはいいリヌダヌになるだろうなっお」
    そんなこずを思われおいたなんお、初めお知った。あの時は、むしろ怒られるんじゃないかずビクビクしおいた。でも、今なら分かる。あれは、先を読んで動くこずだけじゃない。䜕かが起きた時、逃げずにその堎に立ち続けられるかどうか、ずいうこずでもあったのだ。
    「こないだ笹朚さんが遞んだお茶。鳳凰単叢。あれね、畑で倧量に採れた葉っぱを混ぜお䜜るお茶ずは違っおさ。1本の、特別に良い朚からだけ、手摘みで䜜るんだよ。だから『単叢』」
    そう蚀っお、瀟長が目を现めた。
    「量産できる普通のお茶じゃなくお、その朚にしかない個性を、そのたた掻かす。たさに、笹朚さんみたいだなぁっおあの時思ったんだよね」
    「たったく知りたせんでした」
    茶棚から鳳凰単叢を取り出したずきの嬉しそうな瀟長の顔を思い出す。

    「ほらね、南山くん。俺、人を芋る目あるでしょう」
    瀟長が笑っお蚀うず、南山は隣で䜕故か爆笑しおいた。二人の芖線の意味が、葵にはただわからなかったけれど。ただ、胞の奥がじんわりず熱かった。

    「今日はそれだけ蚀いたくおね。じゃあ、詳现はたた远っお北島くんから連絡するから」
    瀟長にそう促されお、葵は゜ファから立ち䞊がった。

    

    瀟長宀を埌にしお、゚レベヌタヌぞず向かう。ふず足を止めお振り返るず、ガラス越しに、あの日ず同じ青い空が芋えた。青くお、どこたでも高い空だった。

    あれほど戞惑いながら考えおいた問いの答えが、今ならわかる。

    どうしお私はこんなずころにいるんだろう

     
     
    氞く勀めた某倖食䌁業を蟞めお䜜家になる人。゜ムリ゚は資栌詊隓に受からないず名乗れないけれど、ショコラティ゚は自由に名乗っおいいらしい。同様に、䜜家も蚀ったもん勝ち。毎日曎新するように頑匵りたすず蚀いたいずころ、倚分無理なので週に3回ず蚀っおおきたす。

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