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忘华の片隅の䜏人

    【序章朮】

    朮颚が3月の終わりを告げる
    ——少し、遅れおいる気がした。


    春の海は

    腐った呜ず
    生たれたばかりの呜の匂いがする。

    砂浜には
    砕けた、小さな痕跡。

    埮かに感じる、死の匂い。

    それなのに——


    朮颚はどこか、母のようで。

      少しだけ、気持ち悪い。


    必死に挔じ分けおきた、
    「束本 幞垌」(た぀もず こうき)が
    砂粒のように、こがれ萜ちおいく。


    ある堎所では、よく笑う

    ある堎所では、期埅を背負う


    散らばっおゆく僕は
    朮隒に玛れお、境界線を倱う。


    「僕を芋おほしい。けれど、 芳ないでほしい」

    「忘れおほしい。けれど、 ひずりにしないで」


    矛盟した祈りも
    足元で砕ける波ず共に、流されおゆく。


    ここでは、等身倧でいられた。


     噚を、倱っおいき

    空癜が、生たれる。


    息を朜めおいた感情が、じわりず滲む。


    "

.誰かに、期埅しおみたい。"

    喉の奥が、少し苊い。


    誰かに䌝えるようなこずじゃないんだ。


    けれど
    やめる気はない。

    ———



    【第䞀章 空垭】

    䜕者でもなくなりそうな僕。

    波の音ず、
    スマヌトフォンの着信音が、匕き戻す。


    そっず、息を吐き、
    腹に手を眮く。

    感情に、錠がかかる音が胞に響いた。


     いける。


    ゆっくり通話ボタンを抌す。

    「 もしもし、ちな぀ちゃん、どうしたの」


    「 んヌずね」

    「なんか、誰かの声が聞きたくお」

    少しだけ、也いた声を拟う。


    「そっか。」
    「じゃあ、俺が䜕でも聞くよ。」


    数秒埌、聞こえたのは
    ほんの少しだけ、䜎い声


    「 .いや、あのさ」

    「私っお䜕がしたいんだろうね。」


    これは、長くなるや぀だ。


    「あヌ、俺以倖の男の話でしょ。」
    「ちなっちゃんは可愛いし、倧倉だねヌ」


    「なんか、耒められおる気がしないな」


    「 たぁ、 そういう関係じゃなくない」


    䞀拍おいお

    圌女は軜く笑う。


    「そだね。」

    「そのスタンスのこうき、奜きだよ。」


    䞖界䞀軜い「like」だ。

    壁打ちのテニスに、
    少し䜓枩を添えたような蚀葉。


    それでも
    その軜さは、嫌いじゃない。


    「で、さっきの話なんだけど——」

    「うん」

    「私的に、なんか違くお .」

    「 .そっか。」


    気づけば、ずっず聞き圹だった。

    圌女は「䜕をしたいかわからない」
    ず蚀いながら、誰かの話を続けた。


    「じぁ、たた明日。」


    通話が切れたあず

    しばらく画面を眺めおいた。


    波の音の向こう。

    船がひず぀、静かに止たっおいる。


    僕らも
    持お䜙した若さを、繋ぎ止めるように
    「明日の倜」ずいう座暙にアンカヌを䞋ろした。


    “空垭”の明日に

    足だけは、向かわせるために。

    âž»

    次の日の倜。

    い぀もず同じバヌ。

    い぀もず同じ照明。

    マッチングアプリで知り合った名前
    プロフィヌル
    仕事
    趣味

    党郚、聞いた気がする。

    でも
    あたり芚えおいない。


    グラスの氷が溶ける音だけ、

     やけに静かに響いおいた。


    ———

    店を埌にし、
    僕らは、次の堎所ぞ向かった。


    音を閉ざした、重たい扉をあける。

    ホテルで過ごす倜。


    ここでの行為は
    満たされないディナヌに䌌おいた。

    甚意された空垭に、腰を䞋ろす。

    味も
    銙りも

    思い出そうずしお、やめた。

    ただ、
    空腹感が少し和らぐ。


    たぁ、それだけだ。


    それでも
    あの子は少しだけ、救われた顔をしおいる。


    
.それなら、それでいい



    寂しげなディナヌに、デザヌトはなかった。
    ひずりシャワヌを济びる。

    熱い湯が、俺を溶かしおゆく。


    そっず目を閉じた。


    昚日の朮颚が、
    僕の䞭で揺れおいる䜕かを、

     ゆっくり抌し䞊げおきた。



      .気づいおしたった。)


    あい぀の涙を、抱きしめながら
    満たされおいるのは——


    俺だ。


    誰かの空垭に座っおるあいだは、

    誰かを、救っおいる気になれた。


    それが
    少し、気分がいい。






     なんだそれ。





    どこか、噛み合っおいない。
     錠がずれおいく。



    湯気の向こうで、さっきたでの倜が
    茪郭を倱っおいく。


    ———

    静かな郚屋。

    圌女は䞀人、倩井を芋぀めおいた。



    「 ..こうきのこず、郜合よく利甚するの、
    ちょっず気が匕けるな。」

    小さく挏れた声は
    鳎り止たない、シャワヌの音に溶けた。


    圌の耳には、届かない。

    ———

    濡れた髪のたた、
    埌ろから抱き寄せる。

    少し慣れおいない、ぎこちない抱擁。



    それ以䞊は、もう必芁なかった。

    この倜に、意味はいらなかった。



    【第二章 也き】

    4月6日 火曜日

    若葉の颚が吹き抜ける講矩宀で、
    スマヌトフォンが震えた。

     ちな぀ちゃんからのメヌルではないのは確かだった。


    画面には、倧孊のキャリアセンタヌから
    就掻に向けた䞀斉送信メヌル。

    僕はその通知を、無機質にスワむプしお消す。


    就職掻動は、すぐに決着を぀けた


    最速で内定を掠め取ったのは
    東京の、名前を聞いおも誰もピンずこない、
    無難な䌁業。


    そこに情熱なんお、䞀ミリもない。

    ただ、揺るがぬ地元ずいう”安心”から物理的な距離を眮くための、劥協策だ。



    「おヌ、幞垌。おはよう」

    「おはよ」
    反射的に返す。


    「今日、倜飲み行かね メンツい぀もの」

    肩たで䌞ばしっぱなしの、髪を靡かせた
    サングラスの男が笑う。


    少し遅れお、芋慣れた顔が続いおくる。

    枅楚系ホストみたいな栌奜のや぀、ロックバンドに魂を売ったや぀、それに劙に安定感があるバヌテンダヌバむト。


    みんな我が匷い。

    若い゚ネルギヌを隠そうずもしない、この集団の䞭いるず僕は、倧孊生のたたでいられる。


    「この前の女の子の感想聞かせろよ」

    サングラス越しでも、
    少し䞋品な目をしおるのは䌝わっおきた。

    「おヌけヌ。バむト埌ならいいよ」


    「 じぁ、先飲んで埅っおるな。」
    最埌に、柔らかい声が返っおくる。

    䌚話のテンポが萜ち着いた
    バヌテンダヌバむトは、䌊達じゃない。


    適圓な誓いを亀わしお、圌らは隒がしく去っおいく。


    ちょっず、無茶な熱。

    そんな真っ盎ぐな生き方が、嫌いじゃない。

    âž»

    「こうきくん、こっち手䌝っおもらえる」
    「はヌい、今行きたす」

    倧孊近くの介護斜蚭。
    消毒液ず生掻臭が混ざった空間。

    ここも、埮かに生ず死が混ざった匂いが挂っおいた。


    ここでは”チャラさ”を消す。

    職堎の人たちから「玔粋だね」ず目を现められる、和らげなバむト君ずしお振る舞っおいた。


    この仕事に、瀟䌚貢献なんお高尚な志はない。

    向いおいるず分かったから、
    ただ淡々ずこなすだけ。

    絊料も、高くはない。


    けれど、排泄の介助をしお
    老いた重い䜓枩に觊れおいるずき

    奇劙な感芚になる。


    「  こうきさん、い぀も、ありがずうねぇ」
    震える手で、袖を掎たれる。

    明日をも知れぬ呜なのに——

    圌らの瞳には時折
    僕がずうに倱くした、"鋭い光"が宿っおいる。

    空っぜの若さを、抌し付けおしたいたくなる。


     その方が、軜くなれるから。

    優しさは䞀切ない。

    ———

    「 束本くん、ほんず優しいよねぇ」

    静かな䌑憩宀で、誰かがそっず蚀った。

    続けお、もう䞀人が蚀う

    「でもさ、なんか あの子っお、疲れおる顔しおない」

    「うん、たたに思うわ。」

    「私、この業界長くいるからわかる。
    優しい人ほど壊れるのっお早いのよね 」



    その頃、こうきは
    廊䞋の先でおばあさんの車怅子を抌しおいた。

    「  こうきさん、
    孫だったらよかったのにねぇ。」


    
.少しだけ、困った。


    なぜだろう。

    嬉しいはずなのに、
    どこかで、線を匕く。


    おばあさんをそのたた、郚屋ぞ芋送った。


    䌑憩宀の前。
    そっず、䞀息吐く。

    「今日もお疲れ様でしたっ」

    少し也いた笑顔で蚀った。

    ———

    バむトを終え、友人たちからの隒がしい通知を確認する。

    泥酔しお肩を組んだ写真や、意味のない連投。


    「  はは、こい぀ら、本圓に最高だな。」

    独り蚀がこがれる。


    シラフだず、このテンションは面倒くさい。

    けれど、この隒がしい通知の向こうにいる、
    圌らの枩床は、確かに僕の足を動かしおいた。


    軜く肩を回し

    也いた喉のたた

    熱気がこもる、居酒屋の扉を開けた。


    「 あれ、俺5日連続飲みじゃん、
    空虚な心臓より、肝臓が先に死ぬな。」


    【第䞉章 䜙癜】

    次は、***駅、***駅
.

    がんやり届いた、車内アナりンスで目芚める。


    たぶたず胃腞に、怠さを芚えながら、
    車窓から芋慣れない町を、秒速26mで芋送る


    どこかで聞いた話によるず、
    アルコヌルで荒れた胃腞の回埩には
    3日かかるらしい。


    なら、今日から飲んでいいっおこずだ。


    週末の昌䞋がりには、ちょうどいい理屈だった。


    自分の䜓ず心を、劎るための䞀人旅。


      今倜の宿で、晩酌するこずを決めたあたり
    あたり意味はないのかもしれない。


    倪陜がほずんど真䞊に来るころ、
    列車は目的地に぀いた。


    ドアが開く。

    湿った土の匂いず、錆びた鉄の匂いが混ざり合う。

    芋慣れない町が、急に近くなった気がした。


    3日ぶりのアルコヌルより前に
    この匂いが、肺に萜ちおきた。


    急ぐ理由はない、
    もずもず䞀人旅だ。

    改札を抜けながら、スマヌトフォンの地図を開く。


    これから、矎術通に向かう。
    ________



    静謐が挂う、矎術通の扉を開けた。

    叀びた玙ずむンクの匂いがする。


    掟手な色は芋えなかった。
    シンプルな䜜品が䞊んでいる。

    進むず、䞭心郚に簡玠ながらも
    手入れの行き届いた䞭庭が芋えた。

     ほのかな孀独ず、安心を芚える。

    ———

    どのくらい歩いたか。

    䜜品の姿も名前も、あたり芚えおいない。


    ただ芋えないはずの色は、胞に残った。

    そのたた、垰路に぀こうずした。


    ふず、展瀺宀の端にかけれおた、
    小さな䜜品に遭遇する。


    目立぀堎所ではない。


    むしろ、気づかれないように眮かれおいるみたいだった。


    䞍思議な䜜品だ。

    䜜品名 「䜙癜」

    䜜者の名前は芋圓たらない。
    ただ、キャンバスは、癜䞀色。

    近くでみるず、
    ほんの少しだけ凹凞があるようにも芋えた。


      ほんずに、ただ䜙癜なんだな。


    がんやりした気持ちのたた
    その堎を離れようずした。


    ふず、埌ろに気配を感じる。
    振り返るず、女の人が䞀人立っおいた。


    溶け蟌むような、透明感。

    ただ、鋭く穏やかな瞳をしおいた。


    壁の端の䜜品だから、避ける堎所もなかった。

    俺は軜く䌚釈するように䜓をずらしお、次の䜜品の方ぞ歩いた。

    すれ違う䞀瞬、圌女の暪顔が芖界に入る。

    知らない顔。
     そしお、どこか芋芚えのある暪顔だった。



    なんずなく垰るタむミングを逃した僕は、
    展瀺宀をゆっくり、呚回した。


    どのくらいか、がんやり歩いた。

    䜜品の圢も名前も、やっぱりほずんど芚えおいない。


    ただ、さっきの䜙癜が、思考に靄をかける。


    僕は、少し駆け足気味に戻る。



    壁の端に目を向けるず、

    あの子は ただそこにいた。


    同じ堎所で、同じ絵を芋おいる。
    鑑賞ではなく、䜕かを"玐解くように”


    癜いキャンバスず、圌女の暪顔が芖界に入る。

    あの子には、䜕が芋えおいるんだろう。


    俺には、ただの䜙癜にしか芋えないのに。


    【第四章 湯気】

    "䜙癜"をみる圌女を暪目に、矎術通を埌にした。


    思考の靄は、晎れなかった。


    でも きっず
    あの時間は圌女にずっお、心の拠り所だろう。


    螏み入っおいい堎所じゃない、気がする。



    西日の鋭い光が、目を刺した。

    明日をも知れぬ呜の灯火を、ふず思い出す。

    ——————

    「遠路はるばる、お疲れ様でございたした。」

    叀びた朚の匂いず、柔和な声の響きに、
    自分の垰る堎所だず錯芚する。


    巊手には晩酌甚の忘れ氎。
    右手には4号宀の鍵。


    僕は、駆け足で郚屋を目指す。

    早めに荷解きを終わらせお、
    枩泉ぞ向かうため———



    カコヌン  。
    芏則正しい音が露倩颚呂に響いおいる。

    腹に刺青がある僕は、
    久しぶりに倖で、身軜になれた。


    この宿を遞んだ理由の䞀぀だ。


    足先からじんわりずした枩もり。
    ゆっくりず、党身が包たれおゆく。


    䞀息぀く。


     この"無駄な時間"が、奜きだ。


    電車の移動時間。
    誰かず過ごす、寝れない倜。

    䜕か に向かっおいる。

    安心できる。


    頭ががんやりしおくる頃、
    無駄な時間に満足した。


    党身に行き枡った枩もりを
    冷たしながら、着替えを枈たせる。


    郚屋で、早めの晩飯を枈たせる。


    そのたた、準備を敎え


    寝床ぞ向かった .。


    ——————


    

..寝返りを、䜕床打っただろう。


    どこかの戞がきしむ音。

    芋知らぬ倩井。


     䞀人で過ごす寝られない倜だ。

    ——————

    午前1時

    寝られない僕は、倜颚を济びにでる。


    街頭だけが光る町。

    この近くに足湯があるらしい。


    誰のものでもない。
    招かれる必芁のない堎所だ。

    だから、そこに向かう。


    がんやりず光る湯気、埮かな枩泉の匂いに
    誘い蟌たれた。


    週末の芳光地。

    こんな時間でも、おばあさんず女性がいた。


    察角線䞊、それぞれ端に座っおいる。

    少し戞惑いながらも、おばあさんの斜め向かいに腰を䞋ろす。


    がんやり街を芋回す。

    しばらくしお、気が぀いた。


    奥に座る女性の暪顔。
    湯気に溶け蟌むような雰囲気だった。


    
.たた、芋芚えのある暪顔だ。


    【第五章 奥】

    足湯の枩もりが、埐々に䞊半身も満たす。

    おばあさんは静かに挂う湯気を連れお、
    この堎を去った。



    

.2人だけになる。


    せっかく、䌚えたんだ。
    圌女に聞きたいこずがある。


    
.い぀もの俺なら、話しかけない。


    でも、矎術通であの䜜品の元ぞ
    匕き戻ったこずが、頭をよぎる  .





    「  すみたせん、
    今日っお矎術通にいたしたよね。」



    圌女は、少しだけこちらを芋る。

    少し間が空く。


    「ああ、 癜い絵の前の人だ。」

    「どうしたした」

    湯気に溶けそうな声だ。



    僕の呌吞が、少しずれる。
    手は、もう腹に觊れおいた。


    「えっず その癜い絵、
    あなたには、䜕が芋えおたした」


    圌女の鋭い瞳は、ほんの少しだけ動いた。



    「  うヌん。奥行き ..かな。」


    「うたく、蚀えないけど。」



     あれ。

    あの癜い䜜品、どんな圢だったっけ。

    思い出せない。





       でも、確かに、觊れた気がした。






    そこからは、口が勝手に動いおいた。


    「 .あの凹凞の奥には、どれだけの色があったんですかね。」

    僕は、也いた倜空に呟いた。


    「いくらあっおもいい  っお思いたいな。」

    圌女も、同じ方を芋おいた。



    しばらく、䜕も蚀わない。


    包み蟌たれる湯気のせいか、
    
.芖界は、滲んでいた。




    「 私さ、絵を描く人生も、しおみたかったな。」

    優しい声が、沈黙を溶かす。

    圌女の茪郭が、わずかに浮かぶ。


    「 我慢しおるんですか、」



    「ううん、」

    「 この未緎も、党郚わたしだず思っおる。」



    「 きみは」



    「 逃げおきたした。」

    「 たぶん、逃げきれないです。」



    「そっか。」

    圌女は少し、目を现めた。



    頭で感じるよりも、
    足はふやけおいた。



    「  もう、そろそろ戻ろうかな。」

    そう告げた圌女の、暪顔を芋る。


    名前も、圢も、知らない。


    それでいいず思った。


    
..近すぎる、気がした。


    ———

    䞍芏則な倜颚が挂う町。

    圌女は䞀人、垰路に぀く。


    「あの子、私にちょっず、䌌おたな。」


    小さく挏れた声は、
    也いた倜空に溶ける。


    圌の耳には、届かなかった。


     同じように。

    ———






    【終章 䜓枩】

    朮颚が、䞀幎の終わりを告げる
    ——季節通りの、冷たさだ。


    冬の海は

    枯れたものず
    ただ消えきらないもの のあいだにある。

    砂浜には
    流れ぀いた、小さな痕跡。

    
.匂いは、もうほずんどしない。


    それなのに——


    朮颚は、錻の奥を鋭く刺す。

      少し、あくびをする。


    静かな波音が、すべおをがやけさせる。


     もう、数ヶ月埌には䞊京だ。

    "安心"を、自ら離れる。



    曖昧な䜓枩ず、がやけた匂い。


    名も、圢も、思い出せない。


    
.それでも、䜕かは残っおいる。



    それだけで、充分だ。

    ———

    がんやり思い出に耜る僕。


    波の音ず、
    スマヌトフォンの着信音が、匕き戻す。


    僕は、迷わず着信ボタンを抌した。


    「 お぀かれさん、ちな぀。」

    「お぀かれヌ」

    最った声を拟う。


    「来週の日曜さ、13時に集合でいい」


    俺の、前日の予定は 
    飲み䌚だ。

    「えヌ」
    「僕は、もう少しゆっくり向かいたいなヌ。」


    軜い笑い声が、返っおくる。


    「あれ、䞀人称"僕"だっけ」




    「そんなん、どっちでもいいだろ。」


    「 たあ、なんでもいいか」 


    盞倉わらずの軜さ、嫌いじゃなかった。



    「じぁ、14時ね。 コンサヌト楜しみ」


    たさか

    クラシックがお互いの趣味だったなんお。



    僕らはもう、お互いを繋ぎ止めなくなった。

    だから、芚えおいる。


    芪しい友ず過ごす、
    日曜に少し高揚する。

    #創䜜倧賞2026
    #゚ッセむ郚門

     
     
    衚珟の䞖界に憧れたした。 文に觊れおきた機䌚が少なく、挠然ず䞍安です。 初䜜品は䜜れたした。 二䜜目を取り掛かっおたす。 すごく楜しいです。

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