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Photo byspinel3

歴史:隋時代の僧侶天台智顗が日本に与えた影響

    天台智顗ちぎという古代中国の僧侶が、日本に絶大な影響を与えていることをご存知でしょうか?
    中国南北朝時代に生まれ、隋朝初期に亡くなっています。
    中国史、日本史、日中関係史、仏教史と非常に広い範囲に影響を与えた歴史上の人物で、彼の残した絶大な影響は、現代の日本においても強く残っています。

    隋の煬帝が帰依した高僧

    中国史が好きな人に「天台智顗は隋の煬帝が帰依した僧侶」と言えば、それはヤバいほどに地位が高い僧侶であろうという想像が付くでしょう。
    煬帝が皇太子時代、華南の統治を担当していたときのことですが、天台智顗にお願いして菩薩戒、あなたは立派な仏教徒ですよという証明の儀式をしてもらっています。この出来事を「晋王受戒」と呼ぶそうです。

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    天台宗の公式サイト「高祖天台智者大師」より

    ここにある遣隋使の小野妹子に「慧思禅師使用の『法華経』を日本に伝えさせた」とある「慧思禅師」とは天台智顗の師匠です。
    自分が帰依した高僧の師匠が愛用していた経典を他国に託すという行為は、宗教の影響を無視した歴史学、政治力学の視点のみで考えてはダメで、そこには宗教的な情熱があったと解釈して欲しいと思います。

    リンク先の天台宗の説明を読みますと、煬帝が帰依したから有名なのではなくて、凄い高僧だったから煬帝も帰依したということがわかります。
    煬帝が熱心に帰依をしていた様子が大変によくわかる内容となっています。

    経典ランキングを作った!

    天台智顗が後世に与えた影響についてです。
    彼は仏教経典のランキングを作りました。中国語に翻訳された仏教経典がたくさんあるなかで、どれを信じたらいいの?という問題に答えるためです。

    結論
    1位:法華経

    このランキングの結果が中国と日本の仏教の流れを決めました。
    天台智顗とあるように、日本の天台宗の起源は天台智顗です。
    その天台智顗の教えを日本に伝えて弘めたのが伝教大師最澄であり、その教えに従って法華経を信じています。
    さらに強烈に法華経を信じて突き進むのが日蓮宗です。
    そして日蓮宗とは喧嘩別れ(不正確な用語だと思いますが、ごめんなさい)して完全独立したのが創価学会です。
    現代日本においても法華経こそが最高最上の仏教経典であると信じている人が数百万人はいます。これらの人々が法華経こそが最高の仏教経典とする根拠は、天台智顗の経典ランキングによって最上位に位置づけられているからです。

    聖徳太子が遣隋使を送って本格的に仏教が日本に伝来することになってから、現代日本に至ってなお、天台智顗の経典ランキングが生きています。
    このように考えると「隋の煬帝が皇太子時代に帰依した僧侶」という中国史好きの人が喜びそうなキーワードのレベルを遥かに超えた影響を今に与えていることが理解できるでしょう。

    実はランキングは間違ってた

    天台智顗が膨大な知識学識から導き出した法華経が最高位という結論ですが、残念ながら完全に誤っていることが、現代の仏教学では判明しています。法華経というのは、仏陀釈尊、お釈迦様の死後数百年を経過した頃、当時のインドの仏教界で色々あって、今では大衆部と言われる人々がお釈迦様の名前で創作した仏教経典の一種であることが、歴史的事実として判明しています。
    ですので天台宗のホームページにも書かれている天台智顗と師匠の慧思禅師との運命的な出会いである「霊山同聴」という逸話も、お釈迦様は法華経を説いていないので、残念ながら慧思禅師の妄想になってしまうのです・・・

    23才の時、当時高名な光州大蘇山の慧思(えし)禅師を訪ね入門を許されました。禅師は「お前とわたしは昔インドの霊鷲山(りょうじゅせん)でお釈迦さまの『法華経』を一緒に聞いたことがある」と不思議な因縁を語り、再会を喜んだのです

    天台宗の公式サイト「高祖天台智者大師」より

    悲しいかな、天台智顗は(というより当時の中国仏教界全体が)どうやらインドにおける正確な仏教史、思想の発展史を知らなかったのです。

    まとめ

    ざっと時系列で並べてみます。

    • 天台智顗という学識高い立派な僧侶が隋朝初期に実在した

    • 天台智顗に隋の煬帝が皇太子時代に帰依した

    • 天台智顗は経典ランキングを作成して法華経が最上とした

    • 天台智顗の没後に、煬帝が隋の皇帝になる

    • 煬帝は聖徳太子が派遣した遣隋使に法華経を託す

    • 伝教大師最澄が天台智顗の教えを日本に弘めるため天台宗を創立

    • 法華経を強烈に信じる日蓮宗ができる

    • 現代日本は法華経を最上と信じる創価学会に大変多くの信徒さんがいる

    古代中国の南北朝時代から隋の時代を生きた僧侶が、ここまでの大きな影響を日本に与えていることに驚きませんか?

    そして最大の問題は、天台智顗が最上とした法華経は、そもそもお釈迦様が説いていなかったということであり、ということは隋の煬帝からもオススメされて聖徳太子の時代から本格的に始まった日本の仏教導入は最初の時点からアレだったということです。

    現代日本は政教分離を真剣に実践している国であり、我々現代日本人はその教育で育った人間ですから、歴史を学ぶ時、どうしても宗教を完全除去して政治や軍事、人物群像劇を見ます。それ故に宗教が政治や人々の生活に与える観点を見逃し、当時の人々が宗教的な動機で行った行為も宗教を完全無視した現代日本人の理屈で説明・理解してしまいます。偉そうに言っているボクも同様に罠にハマってしまいます。
    これは現代日本を生きる歴史好きな人々の全員が気をつけなければいけないポイントだと思っています。

    書籍と過去のnoteへのリンク

    天台智顗の時代

    自分のnoteからいくつか


     
     
     
    阿含宗という教団の雑魚キャラ末端会員信徒です。 普通の方々が、まず知る機会が無いであろう事を書いて、何かを考える機会を得ていただければいいなあと思って細々書いてます。但し仏教関連は相当に濃い内容となっていますので、読者側にそれ相応の知識が必要です。

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