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Kanyeで学ぶHip-Hop〜第1回Through the Wire

    HipHopとRapの違い

    そもそもhiphopとRapの違いがわからない。
    簡単に説明するとrapは歌唱技法の一つ。hiphopは精神性。
    だからRapをすればhiphopになるわけではない。ファンモンがHipHopではない。fukaseがrapをしてもhiphopではない。逆に言ってしまえば、RapをしなくてもHiphopになる。
    J-DillaのDonutsはHiphopの名盤とよく言われるが、rapなんてしていないじゃん。


    Hip-hopの精神性とは

    結局精神性といってもよくわからない。そもそも精神性を言葉で説明することは難しい。なのでKanyeの曲を通して学んでいこう。

    Through The Wireから学ぶ

    ということで1曲目はKanye の初期の代表曲Through The Wire
    1st album "College Dropout"からのリードシングル

    Chaka Khanの"Through the Fire"を大胆にサンプリングした曲として有名だ。

    ということでまずはサンプリングについて。

    サンプリングとは

    サンプリングは元々は、サンプラーという楽器を使って、楽器以外の雨の音や車の音などを録音してそれをピッチ(音の高さ、速さ)を変えて演奏することから始まっている。日本でもYMOがサンプラーを利用して曲を制作している。

    hiphopでは過去の楽曲の一部分を用いて、それをループさせてドラムやベースの音を付け足しビートを量産していくようになる。そればHiphopにおける一般的なサンプリングということとなる。
    Jpopでは一般的な手法ではなく、パクリのように思われるが、世界的にはサンプリングは作曲技法の中のひとつとしての地位を既に確立している。美術でいうコラージュと基本的には同じ考え方である。過去の曲の一部分を素材として捉えて再利用する、再解釈をし、新しい意味を付与するという点がサンプリングの評価軸になってくる。


    hiphopはブラックミュージックである。ブラックミュージックとは一般的にアメリカの黒人音楽のことを指す。これには歴史的背景がたくさんあって難しいが、基本的にアメリカの黒人は高度な教育を受けられていない人が多かったという前提が必要である。その結果ブラックミュージックは西洋音楽の基本的な価値観である精巧な構造の曲や歌詞が中心ではなく身体性を中心とする音楽で発達していく。身体性とはダンスミュージックである。

    ダンスミュージックで大事なのはループである。何度もリズムが変わられては踊りづらいからだ。そうしてループするビートの元で音楽を作るようになる。そうなるとサンプリングという手法は非常に相性が良かった。かつ音楽を学んでいない人でも簡単にビートを作ることができた。(実はkanyeが出てくる2000年台初頭は実はhiphopのサンプリング時代は終わっていて1からビートを作ることが主流になっていたのだが、kanyeは復権させることとなる。)

    hiphopにおける引用文化

    サンプリングとhiphopはそもそも相性が良かったが、サンプリングにはもうひとつ意味がある。サンプリング元とのつながりを示すことである。基本的には過去の黒人ソウル音源がよく使われる。これは、過去のブラックカルチャーと地続きになっていることを示し、ブラックカルチャーの正当な後継者であることを示す意味合いもある。hiphopはhoodというような、仲間、コミュニティを重視する。その中でブラックというコミュニティの一員であることを示すことは重要なのである。ただ使えるからサンプリングするのではない。

    chaka khanのサンプリング

    サンプリングについては話すと非常に長くなってしまうので一旦話を戻す。
    今回のサンプリングはChaka khanである。

    chaka khanは70年台から80年台に活躍した黒人女性ポップソウル歌手である。基本的にサンプリングは60年台などのルーツ系のソウルを使う傾向にあるのでこのチョイスは少し意外なのである。そしてこのthrough the fireという曲はこの時代の人なら一度は聞いたことがあるぐらいの有名曲である。こういうのを大ネタという。大ネタをサンプリングするのはまずバカにされやすい。サンプリングは知られていない曲に日の目を浴びさせることを評価されやすいからである。さらに、サビの部分をまるまるサンプリングしてしまっている。これもなかなか見ない。まさに丸パクリであるとされやすいからである。普通は一部分切り取って順番を入れ替えたりして、工夫している感を出さないと批判されるから。

    ある意味これは評価されやすいサンプリングの真逆を言っているわけである。これは大胆なサンプリングと言っていいものであり、それこそ、こんなことができるというボースティング(自慢というhiphop文化の一つ)にもなっている。今回はこの超有名曲を早回し(早送り)してトライバルなパーカッションを追加している。それによって誰もが知っているメロディーだが、違った雰囲気になっている。そしてこの曲をサンプリングした1番の理由は題名である。through the fireの部分が早送りされることによって、聞き取りづらくなり、through the wireと聞こえてくる。through the wireとは「ワイヤーを通して」という意味だが、この時のカニエは自動車事故を起こし、文字通り顎にワイヤーが通っている状態であった。

    プロデューサーラッパー

    kanye westの希少性の一つであるプロデューサーラッパーについて。hiphopは普通ラッパーとプロデューサーは別の人がやる。歌えなくて楽器も弾けなくてもラップで大金持ちになれるのというストーリーもHiphop精神。kanyeはプロデューサー上がりのらっぱーというhiphopではめづらしい経歴であった。(特にこの時代は。kanye出現以降増えてくる)実際この性質がビートでも自分を表現できるというkanyeの特異性になっていく。

    正直ここら辺の話はNetflixのドキュメンタリーを見た方が非常にわかりやすい。

    少し長くなってしまったので今回はここまでにしておきます。

    第2回もあります。


     
     
    元はと言えばカニエウエストの曲を和訳してました。(今も) クラシックからhiphop。音楽全般好きです。最近はエレクトロ系。 映画も好き。あと旅行。理系ですが人文系も興味あります。 「人生は祭りだ。共に生きよう」 個人的なことを書くこともいいらしいのでもっと自由に

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