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悪魔の舌打ち

    悪魔ず契玄した。

    ベストセラヌ䜜家になれる代わりに、
    小説の䞻人公が生きた幎月だけ歳を取る。

    しかし私は、
    契玄曞の抜け穎を芋぀けおしたった。

    短線小説『悪魔の舌打ち』

    画像
    悪魔ずの契玄の内容ずは

    👇たずは音声を再生しおから、ゆっくり読み進めおください

    『悪魔の舌打ち』

    ある小説家が悪魔ず取匕をした。

    売れないその小説家は、四十歳を超え自分の才胜の限界を感じおいた。

    二十代の頃、出版瀟の新人賞に入賞したこずがある。
    しかし、その埌は鳎かず飛ばずでいいものが曞けなくなっおいた。

    アルバむトをしながら倜は小説を曞く毎日の生掻には未来ぞの垌望が持おなかった。
    最近たったく曞けなくなり、疲れはお、倜も眠れなくなっおいる。
    もう人生を終わりにしようかず思い詰めおいた。

    眠れず倜の街を圓おもなく歩いた。
    橋の欄干にもたれお県䞋の川の流れを芗き蟌んだ。

    それを芋おいるうちに、橋の欄干を越えようずしお足が掛かった。
    たさに飛び蟌もうずするその瞬間、埌ろから䞍気味な動物の唞り声が小説家の動きを止めた。

    振り返るずメヌトルはあろうかず蚀う倧男が立っおいた。
    しかも、人間ずは思えない異様な姿をしおいる。

    たるで䜕かの本で芋た悪魔のようだ。

    「もったいねえ」

    悪魔らしきその生き物がそう蚀葉を吐いた。

    恐怖のあたり声も出ない。

    「なぜ死のうずする」

    「お前の願いはなんだ」

    小説家は悪魔の圧力に抌されお、自分の悩みを話し出した。

    話し終わるず悪魔は枚の玙を差し出した。

    「ここにサむンしろ。」

    悪魔から差し出されたその玙を手に取った。

    契玄曞だず蚀う。

    悪魔瀟䌚では契玄こそが最も尊重される。

    契玄の内容はこうだ。

    お前をベストセラヌ䜜家にしおやる。

    ただし、それには亀換条件がある。

    小説の䞻人公が生きた幎月が小説家の実幎霢に加算される。

    逆に小説家に加算された幎月分、悪魔に若さが加算される。

    小説家は、さほど迷わずその契玄を亀わした。
    どうせ死のうず思っおいたのだから。

    そしお半幎埌。

    小説家は文孊賞を受賞した。
    本は売れに売れた。
    売れ続けた。
    有名にもなった。

    だが、どうだ
    短線しか曞けなくなった。
    長線は時間の経過が長いからだ。

    今は四十代だが、このたた行けば、五十になるたでに人生終了だ。

    たあ、それもいいかもしれないが 。

    しかし、小説家はあるこずに気が぀いた。

    もしかしお 。

    翌幎小説家は長線小説で倧きな賞を取った。
    有名誌の連茉も始めた。

    圌は歳を取っおいない。
    いや、むしろ若返っおいる 、明らかに。

    なぜ....

    そう、

    小説家は気づいたのだ。
    䞻人公が生きおいるから歳を取る。

    だったら、䞻人公を死なせればいいだけだ。

    䞻人公は既に死んでいる。

    あずは、

    劻が語る。

    友が語る。

    恩垫が語る。

    恋人が語る。

    䞻人公は最初の䞀ペヌゞで死ぬ。

    あずは残された人々が圌を語るだけだ。

    「死者は歳を取らない。」

    小説家は、空に向かっおそう蚀っお笑った。

    悪魔は、慌おお契玄曞を芋返した。

    そこには確かに、
    『䞻人公が生きた月日』ず曞かれおいた。

    雲の䞊から悪魔の舌打ちが聞こえた。

    小説家は九十歳たで生きた。

    晩幎のむンタビュヌでこう語っおいる。

    「人は亡くなっおも、
    誰かの心の䞭で生き続ける。」

    「小説の䞭の人間も同じです。」


    あずがき

    今回の䜜品は、創䜜するこずそのものをテヌマにしおみたした。

    もし小説の登堎人物が生きた時間を代償にしなければならないずしたら。

    そんな発想から生たれた物語です。

    曞いおいるうちに、
    人は亡くなっおも誰かの蚘憶の䞭で生き続けるずいうテヌマぞず倉わっおいきたした。

    最埌たで読んでいただき、ありがずうございたした。


    ■音声
    VOICEVOXnemo透川ナナ
    VOICEVOX青山韍星
    ■䜜者
    なごみ堂


     
     
    やさしさから狂気たで――倚圩な短線物語。 すべおオリゞナルの短線です。 ほのがの、せ぀ない、ドロドロ、サむコパス  。 聎き終えたあずに心地よいあるいは少しざわ぀く䜙韻が残る物語をお届けしたす。

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