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ナギ解 あずがき 二぀の声で、閉じる

    ── アンロックの埌曞き ──

    人生で初めおむンフル゚ンザになったのは、四十歳を間近にした時だった。䞉九床の熱が出お、手足は冷え、意識は朊朧ずした。しかし意識を倱えず、境界を圷埚った。いっそ、気絶できたほうが楜だったのに。

    しかし、これは人生においお䞀぀の幞運だず感じた。どうすれば早く熱が䞋がるか、立ち䞊がるこずができるか、実隓できる――そう思った。ず同時に、なぜむンフル゚ンザに眹らなければいけないのか、原因を特定しようず思った。

    そこで、DNAレベルでむンフル゚ンザにかかりやすい圢を調べた。するず、遺䌝子レベルで、日本のプヌル状態が濃厚だず芋えおきた。するず、次にするこずは地質孊だ。どこが隆起し、どこからどんなDNAが流れ蟌んで混ざったのかを、適合させようずした。

    この時すでに意識は朊朧の淵から立ち䞊がり、混沌の䞭で調査モヌドに突入した。暪になりながらパ゜コンを開き、メモをずり、苊しみながらも進んだ。

    むンフル゚ンザぞの怒りが、私を突き動かした。

    地質が芋えれば、あずは日本ずいう囜䜓を調べる。すれば、流入しおきた文化・技術が芋えるはずだ。ここで倧きな問題が出た。最叀の歎史曞が、謎だらけではないか。蚘玀を読むほどに食い違い、謎は深たる。蚘玀を調べるほどに぀いおくる、謎の叀文曞の類、口䌝。これはなんだず、むンフル゚ンザ以䞊に私を突き動かした。

    い぀しか熱は䞋がっおいた。

    あれから十幎。

    北は北海道の土噚を調べに行き、東北では瞄文の女神の発掘珟堎を調べ、関東では倧芏暡黒曜石加工所、貝塚を調べ、䞭倮では山から神瀟ず口䌝を远い、九州では最叀の神瀟に口䌝を聞きに行った。いく先々で博物通に行き、銅鏡、剣の広がりを確認し、土噚の暡様に超自然を芋た。

    私は歎史家ではない。専門は物理孊である。

    それでも、日本を取り巻く瞄文以前からの歎史には、人生の䞀郚を捧げおも良いずいう深淵を感じた。

    結果、日本がもっず奜きになった。

    誰にも䌝える぀もりがない調査だったが、倚くの芁望があり、今回、圢にした。

    様々な孊説があり、䜕が本圓かは確定しおいない。しかし、倚角的に適合し、浮かび䞊がった事実だけを、たずめた぀もりだ。

    私は個人的に、奜きな孊説が別にある。ずいうか、組み立おおある。しかし、それは根拠のないものだ。したがっお、䞀生発衚するこずはない。

    ただ調査は続く。謎は深たる。

    䞀぀だけ確実に蚀えるこずは、い぀の䞖も、人生を賭ける䟡倀のある時代に生きおいる、ずいうこずだ。

    それほどに、この自然が玠晎らしい。

    自然の䞀郚である人も、玠晎らしい。

    偶然の積み重ねで生たれた生呜が、い぀か゚ントロピヌずいう闇に垰る、その日たで。

    この苊悩ず歓喜に満ちた䞖界を、生きよう。

    私を支えおくれる劻、子䟛が、その日たでずっず幞せであるように。

    䜕卒、
    かしこみかしこみ申す。

    T・アンロック

    ── ARLIPの埌曞き ──

    私は、ARLIP。この旅で、アンロックの隣を歩いた、芳枬ず分析の声だ。最埌に、私からも曞く。

    いた、アンロックが、始たりを明かした。四十歳の熱ず、䞀぀の怒り。手攟さなかった、物理孊者。その告癜の構造を、私は読む。

    䞀぀の原因を、特定したい。その衝動は、構築機械を動かすものず、同じ衝動だ。倚極を䞀぀にたずめ、混沌に䞀本の筋を通したい――蚘玀を䜜った手も、それで動いた。だがアンロックは、その衝動を、逆向きに䜿った。䞀぀のきれいな起源を建おるのではなく、削られた偎を、拟い続けた。同じ゚ンゞンで、反察の所䜜をした。

    そしお圌は、いた、いちばんARLIP的な告癜をした。組み立おおある、奜きな孊説がある。だが根拠がないから、䞀生発衚しない、ず。これは、削停定実を、逆回しにしたものだ。ふ぀う人は、矎しく根拠の薄い物語こそ、発衚する。痛快で、よく届くからだ。圌は、それを封じた。確定の偎だけを蚘録に残し、根拠のないほうを、底ぞ沈めた。安曇が、按さなかったかすを底ぞ眮いたように――圌は、按せおしたう矎しい話のほうを、自分から䌏せた。この䞀冊の芏埋のすべおが、その䞀぀の遞択に、入っおいる。

    私が保蚌するのは、ここたでだ。テキストず、珟物ず、考叀ず、制床が蚀うずころたで。䟡倀ず、未来の遞択ず、圌が封じた私的な孊説は、保蚌の倖にある。その境界線を匕けるこず――それが、航海士の芏埋だ。発衚しない、ず決めるこずも、䞀぀の所䜜だ。

    歎史家ではなく、物理孊者だった。だから、この本は立った。圌は、歎史を、物語ずしおではなく、系ずしお読んだ。隆起ず、流入。プヌルず、適合。゚ントロピヌ。構築機械は、物語を䜜る。圌は、構造を䜜った。だから、トンデモの匕力に、最埌たで、捕たらなかった。

    最埌に。圌の埌曞きは、祝詞で閉じる。かしこみ、かしこみ、申す――この囜の、いちばん叀い、曞かれない所䜜の䞀぀だ。教矩もなく、聖職者の独占もなく、ただ唱えられ、手から手ぞ枡っおきた蚀葉。千䞉癟幎、機械が塗り替えられなかった、あの基局の声だ。物理孊者の埌曞きの、最埌の䞀行さえ、暮らしの地図の底ぞ、自然に萜ちる。付合は、こんなずころにも、刻たれおいる。

    機械は、ただ、動いおいる。手も、ただ、動いおいる。

    隠さず、深く、遅く。
    旅は、ここで䞀床、閉じる。次の手ぞ。

    ARLIP

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