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【役者メシ】第2話『〜勇猛な紅は熱波を越える〜』

    【あらすじ】

    祝儀園哲朗(30歳)は高校を卒業後役者を志し上京。
    オーディションやワークショップ等受けるが独特の空気感、 引っ込み思案な性格からかパッとせず舞台役者として細々役者生活を送っていた。
    なんとなくダラダラ続けていた28歳の時、彼はふと入った劇場で観た自由な表現の舞台に衝撃を受け、彼は役者仲間と共に4人の劇団を旗揚げした。
    最初は客5人から始まった劇団だったが彼の書く独特の世界観は唯一無二の物語であり次第にSNSで拡まりプチ人気劇団になっていった。
    そんな時一人のキャスティングの女性が彼に声をかけたのがきっかけで初めてドラマの撮影現場に呼ばれた。
    緊張や戸惑いもある中で男は最も感動する出会いがあった。

    それは現場で出された弁当『現場メシ』だった。

    名もなき舞台役者からしたら弁当が出る事が信じられない事だったのだ。そこから他の映像の現場に呼ばれるたびに違う『現場メシ』に感動していきながら役者としても成長していく、名もなき役者の物語である。

    ①今までにない「飯もの」【現場メシの魅力】
    ②視聴者が興味深い【撮影現場の裏側】
    ③なんか気になる男【名もなき役者の成長】

    この三本柱でお届けする『ほんわか飯もの業界教養ドラマ』である。

    【人物関係表】

    祝儀園哲朗(30)
    名もなき舞台役者。
    なんかぬけた雰囲気で華はなく社交的じゃなくて妄想が趣味で金はないくせに酒は飲む。
    ただこの男が『現場メシ』の弁当を食べる様子は自然と共演者やスタッフを惹きつけていった。

    濵田恵美子(28)
    キャスティングスタッフ。
    小劇場が好きでたまたま祝儀園の劇団を知りそこから興味をもつ。

    吉村誠(32)  
    社交的なイケメン役者。

    茅原隆太(28)  
    明るいひょうきんな役者。

    栗野繁(30) 
    真面目なコワモテ役者。

    内山エミ(21)
    制作スタッフ。

    倉持裕子(42) 
    ヘアメイクスタッフ。

    高山昌大(48) 
    ドラマ監督。

    伊藤健(42)
    ドラマ助監督。

    高畑愛海(26)
    録音部スタッフ。

    宮之城裕(63)
    録音部スタッフ。

    寺山健介(52)
    ドラマプロデューサー。

    高幡美穂(58) 
    祝儀園がいきつけの居酒屋『えみ子』女将。

    影ナレ(72)   
    祝儀園の疑問や思った事に説明や突っ込みをしてくれるナレーション。

    第2話『〜勇猛な紅は熱波を越える〜』

    1○とある撮影現場
    スタッフ、共演者は哲朗をにらんでいる。
    哲朗は台詞が出てこず焦っていた。
    監督やスタッフは「なんだよあいつ」「ほんとに役者かよ」などと呟いてる。
    共演者も「おいおい勘弁してくれよ」「台詞覚えてないのかよ」などと呟いてる。
    追い込まれ汗ダラダラの哲朗。
    その時目が覚めベッドの上でホッとする哲朗。

    ナレ「役者の多くは見た事あるだろう夢だ」

    2○ドラマの撮影現場

    AM7:00。
    忙しく動くスタッフを見ている哲朗。

    哲朗「(…朝からみんな元気だな…これを夜中までってすごすぎるだろ)」

    ナレ「スタッフは役者より早く現場に入り撮影準備をして、撮影が終わると役者は先に帰りスタッフは機材の撤収、積み込み作業が終わってようやく帰る。そこから事務所に機材を戻しに行く場合もある。睡眠時間が2、3時間はざらであるが、それも時代と共に変わっていけばいいが」

    哲朗に声をかける男。

    吉村「おはようございます!本日は宜しくお願いします」

    哲朗「あ、はい、宜しくお願いします」

    吉村「ちょっと早すぎましたかね?あと3人来るんでしたよね。揃ってから控え室に移動って感じですか?」

    哲朗「…え⁈いや、わからないです」

    吉村「えっ…ああ!もしかして演者さん⁈すいませんてっきり制作さんかと思って。あ、制作さん来ましたね」

    内山「おはようございますー!すいませんこっちでーす」

    吉村「あ、もう行っちゃっていいみたいですね!いきましょう!」

    吉村颯爽と去る。

    哲朗「(…おれやっぱ役者顔じゃないのかぁ。てかすんげーイケメンだったな)」

    ナレ「このどこかぬけたようなツラ構えの、ぼーっとした男の名は祝儀園哲朗。小劇場で活動している舞台俳優だ。泣かず飛ばずの俳優人生だったがふと観た舞台に感銘を受け自ら独特の世界観の劇団を旗揚げした。そこからコアなファンだけに人気の劇団に成長した。前回と同様祝儀園の劇団のファンであるキャスティングの濵田の紹介で連続ドラマの脇役。撮影現場2回目の哲朗、どんな現場になるんだろうか」

    3○控え室

    吉村は元気よく挨拶しているが哲朗はその後を少しペコペコしながら控え室へ。

    内山「えっとじゃあ衣装メイク済ませてからリハにいくので、じゃあ吉村さんからお願いします」

    吉村「はい!」

    吉村メイク室へ。

    内山「じゃあマネージャーさんはどうぞあちらでお待ち下さい」

    哲朗「はい…えっ、いや、出演する、者です…」

    内山「ええ、ああ!すいません失礼しました。(持ってる出演者情報を見ながら)えーと、しゅく?」

    哲朗「あ、祝儀園哲朗と申します」

    内山「祝儀園さん!すいません、ではこちらでお待ち頂いて吉村さん終わったら次お願いします(電話くる)はい、いやまだ1人…あーいや、お2人ですね」

    制作の内山、電話しながら出て行く。

    哲朗「(…俺、絶対役者顔じゃないじゃん…)」

    ナレ「華がない顔という事だ」

    壁に貼ってある一日のスケジュール表を見つける哲朗。
    【昼食】の文字を見つけ少しニヤける。

    哲朗「(また弁当食えるかな…)」

    ナレ「この男はそれが1番気になるようだ」

    男が入ってくる。

    茅原「おはようございます!」

    哲朗「お、おはようございます」

    茅原「白木役の茅原です」

    哲朗「あ、赤沼役の祝儀園と…」

    茅原「祝儀園⁈祝儀って良いっすね!なんか今日縁起良いっす!宜しくです!」

    哲朗「あ、はい…(ひょうきん顔だな)」

    また男入ってくる。

    栗野「おざっす」

    茅原「おはようございます!」

    哲朗「おはようございます…(こわい顔きた)」

    栗野「黒沢役の栗野です!未熟もんですがどうぞ宜しくお願いします」

    茅原「こちらこそ宜しくお願いしますー!」

    哲朗「はい、宜しくお願いし…」

    倉持「えー祝儀えんさんお願いしまーす」

    哲朗「祝儀ぞのです」

    倉持「あ、失礼しました。メイクお願いします」

    ナレ「初対面の役者同士の挨拶は制作や助監督が紹介してくれる事もある」

    哲朗メイクされてる。

    哲朗「(やっぱ慣れないな…化粧されるって)」

    4○撮影スタジオ

    オレオレ詐欺の寂れたアジト。

    哲朗「(おーなんか悪い雰囲気だ)」

    伊藤「じゃあシーン36、オレオレ詐欺軍団の白木、黒沢、青柳、赤沼が追い詰められるシーンのリハからいきます」

    哲朗「(おれだ)」

    ナレ「現場では役名で呼ばれる事が多い」

    伊藤「そしてシーン37、探偵のカンが警察を引き連れて逮捕にくるとこまで。カン役の五代さんはリハはスタンドインでいきまーす!」

    哲朗「(…スタンドイン?)」

    ナレ「メインの役者の代わりに身長、体型の似た代役が入り、動いたり台詞を言ってカメラ位置などを確認する事だ。役者がやる事が多いがスタッフがやる事もある」

    伊藤「じゃあ白木さんと黒沢さんが言い合いになって空気が悪くなって青柳さんが止めに入る、その時青柳さんは白木さんの上手に立ってください。そしたら抜けに座ってる赤沼さんも入るから」

    吉村「はい!」

    哲朗「(…抜け?)」

    ナレ「カメラから見て役者の後ろ側、背景の事だ」

    伊藤「んで次のカットは切り返して赤沼さんナメの3人の言い合い。そこに赤沼さんも立ち上がり3人に詰め寄りながら台詞。皆んなで言い争いしてるとこにカンが来て逮捕。赤沼さんだけその場を逃げ去る。じゃあリハいきまーす」

    ナレ「リハーサルは役者の動きを確認、そしてそれに合わせてカメラやマイク、照明などをセッティングする時間だ」

    全員セッティングにとりかかる。

    哲朗「(…え、台詞言いながら詰め寄るって…どこまでだ?てか俺ナメって何だ?3人に舐められるのか⁈)」

    ナレ「奥にいる人物を撮影する時、少しだけ手前にいる人物も入れて撮影する事だ」

    哲朗スタンバイ位置に促され、そこに録音部の女性がくる。

    高畑「すいません、マイクつけさせてもらっていいですか?」

    哲朗「あ、はい」

    少し緊張しながらピンマイクをつけてもらう。

    高畑「ありがとうございました」

    哲朗「こちらこそ…いや、はい」

    ナレ「女性にピンマイクをつけてもらうのに慣れていないと、この距離は少し照れる」

    伊藤「それじゃあシーン36頭から青柳が止めに入るとこまで台詞下さい」

    高山「よーいあい!」

    吉村「俺たちの居場所がバレた!」

    栗野「マジか…どーすんだよ!」

    茅原「逃げるしかねえだろ、このままじゃ捕まるだけだ!」

    栗野「逃げるってどこにだよ、だいたいお前のせいだろ!あそこでとちったから、逃げちまったからこーなったんだろ!」

    茅原「なんだよ、お前だって情報漏らしただろうが!」

    栗野「俺じゃねぇよ!」

    吉村「おいもうやめろ!どっちにしろもうサツが向かってる、早めに逃げねぇと」

    栗野「お前がチクったんじゃねーのか⁈」

    吉村「ふざけんな!そんな事するかよ!」

    伊藤「はいカット!」

    高山「うん、今の感じいいんでそのまま本テスいって回しましょうか」

    3人「はい!」

    伊藤「じゃあセッティング整ったら本テスいきまーす!」

    スタッフ動きだす。

    哲朗「(…あんな熱い感じなんだ)」

    ナレ「台本を読んで自分が思ってた感じと違う事は、たまにある」

    哲朗「(てか本テスって何だ?)」

    ナレ「本番テストの略で、本番さながらに各所が動きを確認する事だ」

    セッティング整う。
    伸ばしたガンマイクを見つける哲朗。

    哲朗「(うわー長え…マイクってあんな伸びるんだ)」

    奥の方にいる録音機器の前に座って、ヘッドホンをつけてる録音技師を見つける。

    哲朗「(あのおっちゃんが録音チームのボスかな…なんかドシっとしてるもんな…てかこれ声出したら聴こえるのか⁈)」

    ナレ「ピンマイクの送信機のスイッチがオンになっていたら、録音技師の耳には声が届く。昔はそれで悪口を聞いてこの人とこの人が仲悪いと知る事もあったそうだ」

    高山「はい、カット!」

    伊藤「プレビューします」

    哲朗「(プレビュー?)」

    ナレ「今撮影したシーンをチェックする事だ。芝居、音、照明もろもろのチェックだ」

    伊藤「はい、オッケー!じゃあ次青柳さんに2人が詰めるシーンいきます。じゃあこのカットは赤沼さんお休みで」

    哲朗「あ、はい」

    哲朗スタジオのはじから見ている。

    哲朗「(なげー…あんな伸ばして腕きついだろうな…)」

    ナレ「伸ばせば伸ばすほどきつくなるが、経験を積めばそれを軽減させる持ち方がわかってくる」

    哲朗「(あのおっちゃんは座ってるだけだな…)」

    ナレ「そんな事はない。少しでも雑音や異変があったら反応し、おっちゃんがガンマイクを持つスタッフに指示を出す」

    伊藤「はい、オッケー!じゃあ切り返して赤沼さんナメいきます。赤沼さんお願いします」

    哲朗「は、はい!」

    哲朗パソコンの前の椅子に座る。
    もろもろセッティングしながらもう1人音声スタッフがガンマイクを持って来る。

    哲朗「(こっちにも来た)」

    セッティング整い哲朗のすぐ上にガンマイク。

    伊藤「はい、ではテスト!シーン36カット3」

    高山「よーい、あい!」

    3人揉めてる。

    哲朗「(机を強く叩き立ち上がる)…これだから不良上がりは困る」

    栗野「なんだとてめー!」

    哲朗「(ゆっくり歩きながらガンマイクに言うように上を向いている形になる)いいですか?簡単な事ですよ。居場所がバレた、もう警察が向かって…」

    伊藤「あいカット!赤沼さん上を向いて喋りすぎてるなぁ、もっと自然でいいよ」

    哲朗「あぁ、すいません」

    ナレ「慣れてないとマイクの位置を気にする役者もいるが、役者が自然なお芝居ができるようジャマにならず声を拾うのが録音部である」

    高山「じゃあもう一度、よーいあい!」

    3人揉めてる。

    哲朗「(机を強く叩き立ち上がる)…これだから不良上がりは困る」

    栗野「なんだとてめー!」

    哲朗「(前に進みながら)いいですか?簡単な事ですよ。居場所がバレた、もう警察が向かってる、しかし…」

    伊藤「カット!赤沼さん下手に寄りすぎて奥かぶっちゃうから、もうちょい上手歩きましょうか」

    哲朗「は、はい。…えー上手、上手」

    ナレ「上手下手は舞台でも使う言葉で、映像はカメラ越しに見ての上手下手になる」

    徐々に緊張が増す哲朗。

    高山「よーい、あい!」

    哲朗「(前に進みながら)いいですか?簡単な事ですよ。居場所がバレた、もう警察が向かってる、しかし我々は捕まらない方法…それは、もう一つ事件をつくればいいんです」

    茅原「どーいう事だよ⁈」

    哲朗「このビルの入り口は一つしかない、つまり警しゃつ…あ、すいません」

    伊藤「カット!赤沼さーん勝手に自分で芝居止めない!」

    哲朗「え、あ、すいません」

    ナレ「テストは各持ち場のスタッフが役者の動きや流れを把握する為に行う。少し噛んだくらいで止めてたら時間がかかる」

    スタッフが話し合っている。

    伊藤「えー今のカットは午後にまわして、先に五代さんスタンドインでのカメラ位置行きます!」

    ナレ「この状況は役者にとってはいたたまれない気持ちになる」

    スタッフスタンドインでのリハが進む。
    哲朗は落ち込んでいる。

    伊藤「では昼休憩明け14時から再開します!」

    内山「じゃあ弁当用意してますので皆さん控え室にお願いしまーす!」

    5○建物内

    哲朗を慰めながら歩く3人。

    茅原「大丈夫ですよ!現場2回目なんだから仕方ないすよ!」

    哲朗「いえ…」

    吉村「まあ監督も連ドラ初みたいだから気合い入ってますね」

    栗野「祝儀園さんに迫られた時、結構ぞくっとしましたよ!」

    茅原「午後はブチかましましょう!」

    哲朗「…はい…」

    3人控え室入るが哲朗入れない。

    哲朗「(小学生以来優しくされるとなんか泣きそうになる…食欲ないしトイレにいようかな…)」

    茅原「うわー!すげ!」

    栗野「え、何これ⁈」

    哲朗「(…やっぱ弁当嬉しいよな。だけど今の俺にはそんな資格…)」

    吉村「初めて見た!えー!」

    哲朗「(…ん?初めて⁈)」

    哲朗恐る恐る中を見る。
    するとそこには黒い容器の弁当が並んでいる。

    哲朗「(…な、な、なにあれ⁈)」

    中に入り弁当を手に取る。

    哲朗「(お、お、重い!なんだこの弁当⁈)」

    辺りからシューシューと音に振り向く哲朗。

    哲朗「(べ、べ、弁当から…煙⁉︎大丈夫ですか⁈弁当)」

    吉村「祝儀園さん、横の紐を引っ張るんです、そしたらこの下の水が蒸発して弁当を温めてくれて5分待ったらほっかほかになるみたいです」

    茅原「テレビでなんか見た事あるけど食べるのは初めてだな」

    栗野「俺もだよ!」

    哲朗「(…嘘だ!レンジでチンしか温める方法はこの世界にない!)」

    哲朗椅子に座り紐を恐る恐る引っ張る。

    哲朗「(……何も起きない、不発だったか。そりゃそうだよ弁当が自分で温まるなんて、それもうノーベル賞じゃん。みんなの…弁当は…故障…か何か…⁉︎)」

    哲朗の弁当から音がし湯気が出始める。

    哲朗「(う、嘘だろ⁈本当なのか⁈弁当を水蒸気で温めてるのか⁈もし本当なら世紀の発明と言われた蒸気機関車の再来じゃねーかよ!なぁ、答えてくれよ!)」

    ナレ「誰に言ってるんだ」

    吉村「なんかプロデューサーの寺山さんが現場で出す弁当にはこだわりがある方らしいですよ!…祝儀園さん⁈」

    哲朗ジッと弁当を見ている。

    哲朗「(約束の時間だ…俺は別に温まってなくても怒りゃしない。俺は弁当がタダで食べられるだけでも幸せなんだ)」

    哲朗フタを開けようとするとフタが温かい。

    哲朗「(あ、あ、あったけー!本当だったんだ、お前嘘ついてなかったんだな⁉︎悪かった、疑った俺を許してくれ!お前の顔、見せてくれー!)」

    哲朗フタを開ける。
    そこには大きく横たわった焼き鮭。

    哲朗「(しゃーーーーけーーーーーーー!湯気の中からしゃーーーけーーー!おいおい俺がシャケ好きな事なんで知ってんだよ!さんま、サバ、ホッケ、シャケの焼き魚四天王の中で1番好きなのがシャケってなんで知ってんだよ!)」

    ナレ「売れない貧乏役者にとって弁当が出るということは嬉しいものである。しかもこの男にとってこの温まる弁当は衝撃的だ」

    吉村は手を合わせ目を閉じながら深々と頭を下げる哲朗を不思議そうに見ている。

    哲朗「(ではシャケ弁当、否、温まったシャケ弁当いただきます!)」

    哲朗シャケを割ると湯気が立ち込める。

    哲朗「(わーー中までホックホク!誰が釣ったシャケですか⁈ありがとうございますー!では、いただきまーす!(一口食べる)んーうまーー!何これ⁈温かくて塩加減最高でボリュームも凄いって三本の矢じゃん!毛利元就にこれ食べさせたいです!)」

    ナレ「落ち着け」

    茅原も哲朗を見ている。

    哲朗「(あーごめんなさい、シャケの美味さに驚いてご飯いくの忘れた!(シャケを食べ)んーー!やっぱり最高!神様シャケを産み出していただきありがとうございます!おーっとあぶねあぶねご飯いかなきゃ(ご飯すくい食べる)んーこれこれ!シャケの塩加減にご飯の旨味、相性最高ダンケシェーーーン!」

    ナレ「落ち着け」

    栗野も哲朗を見ている。

    哲朗「(え、まってシャケの下にのりいるじゃん!じゃあご飯ごと一気にいかせて頂きます。(食べる)んーのりとご飯、もう付き合っちゃえよ!)」

    3人顔見合わせながら哲朗を見ている。

    哲朗「(嘘でしょ⁈唐揚げいるじゃん!衣隠して肉隠さずかよ!(唐揚げ食べる)んーしっかり醤油が染み込んでます!ねえ玉子焼きもいんじゃんかー!まって、はい!ここでクイズです。この玉子焼きは甘いやつでしょうか、それともしょっぱいやつでしょうか⁈シンキングタイムは2秒!)」

    吉村「祝儀園さん…祝儀園さん!」

    哲朗「…えっ、は、はい!あ、すいません…なんか俺言ってました⁉︎」

    3人笑う。

    茅原「いやそうじゃなくて、祝儀園さんめちゃめちゃ美味そうに弁当食べますね!」

    栗野「なんか見てるこっちが弁当食べてるのに腹減ってきましたよ」

    哲朗「すいません、めちゃくちゃ弁当美味くて感動して…」

    吉村「いや最高ですね!祝儀園さんおもしろいです!さっきと別人でしたよ!」

    茅原「そーですよ!祝儀園さんらしく思いっきり芝居もやればいいんですよ!」

    哲朗「……そーですね、ありがとうございます」

    栗野「午後も頑張りましょうね!」

    哲朗「は、はい!」

    ワイワイしながら弁当食べはじめる4人。
    影からプロデューサーの寺山が4人を覗いている。

    6○撮影現場

    高山「よーい、あい!」

    哲朗「(前に進みながら)いいですか?簡単な事ですよ。居場所がバレた、もう警察が向かってる、しかし我々は捕まらない方法…それは、もう一つ事件をつくればいいんです」

    茅原「どーいう事だよ⁈」

    哲朗「このビルの入り口は一つしかない、つまり警察はそこを使うしかない。その近くで新たな事件を捏造するんです、そうすれば警察の目は一瞬だがそっちに向く、そのすきに我々は逃げればいいんです!時間がないすぐに外部に連絡を!」

    高山「オッケー!じゃあ次!」

    撤収中、哲朗に録音技師の宮之城が近づく。

    哲朗「(…え、嘘⁈まさか俺の心の声聴こえてた⁈)」

    宮之城「…オンリーもらいます」

    哲朗「…オンリー⁈」

    ナレ「オンリーとは声だけの録音の事である」

    高畑ガンマイクを哲朗に近づける。

    伊藤「オンリーでーす、お静かにお願いします」

    高山「シーン40カット5、よーい、あい!」

    哲朗「うわー、足ぐねった!ちょ、ちょっと待ってくれー!足絶対ぐねったって!待ってって!ねー!結構ヤバいやつだからー!」

    3人笑ってる。
    寺山もニヤリと笑う。

    高山「オッケー!」

    7○居酒屋

    赤提灯の小料理屋『えみ子』のカウンターで1人飲む哲朗。
    そこにキャスティングの濵田からメール。

    濵田『祝儀園さんお疲れ様でした!現場いけずすいません!でも制作から後半良い感じだったと連絡きました! 寺山Pも好印象だったのでまた呼ばれるかも⁉︎笑 また機会あればよろしくお願いしまーす!』

    哲朗「…次はどんな弁当なんだよ…」

    ナレ「この男は撮影現場に呼ばれる事よりもどんな弁当なのかを楽しみにしてるようだ。ちなみに売れない酒飲み貧乏役者は、何故だか酒を飲む金だけはあるようだ」

    哲朗「それにしてもあのシャケでかかったな…あんなでかいやつはなかなか…」

    高幢「はい、ブリカマの塩焼きだよ」

    哲朗「…でか!ブリカマ!変化球の焼き魚だね。じゃあおかあさん芋のお湯割り!焼酎とお湯半々ね!」

    ナレ「この売れない酒飲み貧乏役者の男が、日本を代表する役者になるのは…まだまだ先の話しである」

    哲朗「おかあさん、俺ね今日ドラマの撮影してきたんだけどさ、あの渋い役者の五代さんいるでしょ?あの人と共演したんだよ!なんかもっと真面目な人かなーと思ったけど休憩中に性格悪い有名人教えてくれてさ、めっちゃ現場盛り上がったんだよね!」

    ナレ「ドラマや映画の情報解禁前に他の人に言うのは、もちろんご法度である」


    【つづく】

    #創作大賞2026 #エンタメ原作部門  

     
     
    08年初舞台を踏み役者のみならず脚本/演出も手掛け観た事ない物語で笑いや涙を誘う作品の評価は高く役者としても幅広い表現に定評がある 近年ではiPhoneで撮影はじめ全てを行うスマホ映画にも挑戦し『野ざらされる人生へ』は「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2023」にノミネートされる

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