服を選ぶのに、脳を使いたくない
人間が1日にできる決断の数には限りがある、というのは色々なところで聞く話だ。これが本当に正しいのかどうかはわからないし、まあ今日のところはどうでもいい。
ただ、やらなければいけないこと、それも決断をして、回答をして、また次の決断をして、みたいなことが重なった日は、いつもより疲労感がある気がする。体を動かしたわけでもないのに、夜にはもう何も考えたくなくなっている。あれは多分、脳が疲れているのだと思う。
これはどうしたら解消できるんだろう、とそれこそAIに聞いてみたら、小さなことをルーティン化しろ、みたいな回答だった。判断の回数を減らせ、ということらしい。
それで思い出したのが、Appleのスティーブ・ジョブズとか、Metaのマーク・ザッカーバーグが毎日同じ服を着ているという話だ。意思決定をそこに使わない、脳のリソースを割かないためだという。有名な話だし、理屈はよくわかる。
さすがに私は毎日同じ格好は厳しいので、シャツにパンツの組み合わせをいくつか決めて、平日はそのローテーションで凌いでいる。考えなくていい。朝起きて、順番通りに着ればいい。これは正直、かなり楽だ。
問題は、出かける予定のある休日だ。
私の服装なんて誰も気にしていない。それはわかっている。とはいえ、だ。前日の夜から天気予報を調べて、気温を確認して、明日はどうしようかなと考え始める。暑いのか、風があるのか、歩く距離は長いのか。そんなことを気にしながら、クローゼットの前でぼんやり立っている。
当日の朝になっても、まだ決まっていなかったりする。結局また天気予報を見て、やっぱりこっちにしようか、とか。こうして、貴重な休日の脳のリソースが、服に消えていく。
おしゃれが好きな人にとっては、これは楽しい時間なのだろう。何を着ようか考えること自体がワクワクする、みたいな感覚があるのだと思う。私にはそれがない。ただただ、決めなければならないことが一つ増えている、という感覚だ。
ジョブズのように黒タートルとジーンズで統一する勇気はない。でも気持ちはわかる。あの人たちは、服を選ぶことを放棄したのではなく、そこに使う脳を別のことに使いたかったのだ。
休日用のローテーションも作ればいいのかもしれない。でもそれを考えること自体がもう面倒で、結局今日もクローゼットの前で立っている。