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278:頭脳労働者はフリーランスになれない

    ながめいづき / 長雨出版

    ・営業職や企画職のような、いわゆるナレッジワーカー───頭脳労働を主としている被雇用労働者は、会社という組織の中では重宝されるだろうが、独立はしにくいと思う。

    ・人脈が豊富だとか、基盤となる環境を持っているだとか、普段実際に手も動かしているだとか、状況は様々なのでもちろん一概には言えないが「考えて指示する」を生業としていると技術的能力を習得する必要がなく育てる機会も少ないので、その身一つで社会に飛び出すには心もとない。

    ***

    ・「フリーランスとして働こう」といった広告が広く流布されるようになって久しい。
    ・狭苦しいコミュニティから解き放たれて自由に働こうという、魅力的なキャッチコピーがよく目に入る。

    ・自由には責任が伴い、会社員の場合はその責任を会社側が背負ってくれるものだから、個人事業主になるとむしろ不自由になるのではないだろうか?
    ・と思うがその辺りの言及は一旦控えておき、表題のように考えた理由を、ビジネスという軸から会社員とフリーランスを比較し、考察したい。

    ***

    ・そもそもビジネスとは大別すると、ヒト、モノ、カネという3つの要素で構成されている。
    ・そしてそれらの要素はそれぞれ、下記のように言い換えることが出来る。
    ・ヒト…顧客、モノ…プロダクト・サービス、カネ…対価

    ・フリーランスになるためには、この3つを個人で揃えなければならない。
    ・会社だと基本、揃っているのに。

    ・そしてここで重要なのは、「モノ」の部分だと思う。

    ***

    ・「ヒト(顧客)」に関しては、まぁ営業活動頑張れ、という感じだ。これは怠けなければできるだろう。
    ・営業活動の場も、最近は様々ある。SNSやクラウドソーシングサイトもそうだが、ココナラのようなスキル売買サイト、せどりであればフリマサイト(のユーザー)、配信者であれば視聴者、と顧客を作る・見つけるチャネルは現代において無数にある。

    ・次に「カネ(対価)」についてだが、これも経理的なことは学べばできないことはない。
    ・規模拡大によっては難しい場面も出てくるかもしれないが、基本的にはわからないことは調べてきちんと管理すれば、能力的には誰だって出来ると思う。

    ・ただモノ(プロダクト・サービス)については、一朝一夕で用意できるものではないだろう。
    ・自分でビジネスをやっていく上で、核となる部分である。

    ・会社で例えるとするなら、
    ・例えば、食品メーカーであれば食品。
    ・例えば、IT会社であればSaasなどの製品。受託であれば、技術力。
    ・例えば、パン屋ならパン。
    ・例えば、人材会社なら求人・求職者を集めるプラットフォーム。
    ・例えば、広告代理店なら企画力。
    ・例えば、デザイン制作会社ならデザイン力。

    ・これに限る話ではないし、細かく見ていくとそもそもプロダクトを売っているのか・受託で食っていっているのかなどさまざまな分類分けができるだろうが、とりあえず世の中の営利企業はすべて”核”となる何かしらを持っている。

    ・この”核”を、頭脳労働者は果たして持つことができるのだろうか。

    ***

    ・顧客から求められるサービスの質を、企業とフリーランスで比較してみたい。
    ・自分に馴染みがあるというのもあり、フリーランスを募る広告にも多いと思うので、具体例としては「デザイン」という仕事を用いる。

    ・前提、「デザイン」というのは「何かに付随して発生する業務」である。
    ・「新商品を発売するのでそのPOPを制作する必要がある」「こういった施策を展開するので、特設サイトを作る必要がある」
    ・世間に何かを知らしめたい時の強力な武器の一つが、「デザイン」だ。

    ・最初に自分の頭の中を載せておく。

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    自分の頭の中なので実際のところは知らん。

    ・まず仕事を企業で遂行する際の、顧客に求めるサービスレベルについて。
    ・フリーランスに比べて企業に発注する際は信頼性が担保された上である程度金額を積むのだから、発生する業務の上流部分から頼む場合が多い。

    ・この場合の発生する業務とは、「その施策の目的の整理」「その目的から必要となる業務の抽出」「小分けした業務の管理・プロジェクト化」「作業者への指示」「実作業」などが挙げられる。
    ・そうすると必要となるサービスレベルの質は「顧客と大枠の認識を擦り合わせる」「業務整理・管理能力」だったりがあり、「デザイン技術」だけが求められるわけではないので頭脳労働者は大活躍する。

    ・一方、フリーランスで業務を遂行する際の顧客から求められるサービスレベルは、もう少し下流だ。
    ・法人を通さない分信頼性は企業よりも低いし、せっかく個人に発注するのだから金額も抑えるだろう。

    ・この場合、上述した「頭脳労働者ありきの企業に求めるサービスの質」が適わないのも然るべきだ。
    ・であるので、上流部分の業務は顧客自身で内製・もしくは代理店的な企業が考えた上で、作業者に分担する場合が多い。
    ・駆け出しフリーランスはその「作業者」の分類されるところから始まるので、想像力を発揮するというよりも「指示に的確に応える」能力の方が大事な気はする。

    ・だが、どちらの場合においても業務の終わりは「成果物の納品」である。
    ・つまり、「成果物を作る能力」はいずれにせよ必須となるのだ。

    ・こうやってみていくと、企業の頭脳労働に従事している人に「成果物を作る能力」は身につかないように感じる。

    ***

    ・もちろん能力の高いフリーランスデザイナーも世の中には跳梁跋扈しているので上述の限りではないが、企業の方が人材を揃え・業務を体系化している分サービスレベルの揺らぎは少ないし、上流部分ができるデザイナーであれば法人化した方が良い気がする。

    ・転職求人などをみていると「市場価値を高めましょう」的なキャッチコピーをよくみるが、ここでいう市場価値とはあくまで「転職市場の価値」だ。
    ・現場実務を高める、のニュアンスは含まれておらず「労働市場の価値」という大枠で見ることはできない。デザイナー・プログラマーのような技術労働者は除いて。

    ・フリーランスになるためには、「フリーランスとして必要な能力」を最初に蓄えなければならない。
    ・実際、副業が本業の収入を上回ったので独立しました!という人も多い。

    ・つらつらと綴っていったが、まぁ会社員をのんべんだらりと続けていても意味ないよなぁ…と思って文字にした。
    ・フリーランスになりたいわけでもないが、特定のコミュニティに属し続けることに自分は向いていないので、生業はこれからも模索し続けるだろう。

    ***

    ・余談。

    ・今の自分はワケあって休職しており、自由に過ごせるので髪を染めたりネイルをしたりピアスをしたりしているのだが、見た目が自由というのは何と素晴らしいことだろうか。
    ・心が弾む。この姿のまま生きていけたら良いな。


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