「早くして!」の5文字で、私はどこまで伝えたつもりだったんだろう
朝、私はよく「早くして!」と言っている。
ごはんを食べていても、着替えていても、とにかく「早くして」。
毎朝のことなんだから、そろそろ分かるでしょ。
そんな感覚だった。
でも最近、お兄ちゃんへの声かけを少し変えた。
「早くして」じゃなくて、「バスに遅れちゃうから、早くしよう」。
すると「やばいやばい」と言いながら急ぎ始めた。
明らかに反応が違う。
待て待て。そもそも「早くして」って、何を伝えてるんだ?
何を早くするのか。どのくらい早くするのか。なんで早くしなきゃいけないのか。
よく考えたら、何も言ってない。
「急いで」もそう。
「ちゃんとして」もそう。
「しっかりやって」もそう。
大人は普通に使っているけど、どれも結構曖昧な言葉だ。
「ちゃんとして」と言われたら、何をどうしたら「ちゃんと」なのか。
「しっかりやって」と言われたら、どこまでやれば「しっかり」なのか。
子どもからしたら、分からなくてもおかしくない。
逆に、大人はなんでこんな曖昧な言葉で分かるんだろう?
「早くして」と言われたら、その場の状況を見て「時間がないんだな」「今は急ぐところなんだな」と勝手に意味を足している。
「ちゃんとして」だって、その場で何を求められているのか、なんとなく察する。
言葉だけで分かっているというより、今までの経験で足りない部分を埋めているんじゃないか。
「早くして」の中に入っているもの
大人同士なら、「早くして」だけでもだいたい通じる。
朝なら、時間がない、このままだと遅れる、今は急ぐところ。
そのくらいは言われなくても分かる。
私は36年分の経験を使って、「早くして」の意味を勝手に補っている。
でも、お兄ちゃんはまだ7歳。
36年分の経験で理解している私と、まだ一桁しか生きていない子どもが、同じ土俵で「これくらい分かるでしょ」は無理な話だ。
私には「早くして」の5文字から見えるものが、お兄ちゃんにはまだ見えていない。
だったら、その足りないところを言葉にすればいい。
ただ、全部説明する必要はない。
「早く起きないとごはんが遅くなって、ごはんが遅くなると着替える時間がなくなって、そのあと……」
そこまで言ったら、今度は何が大事なのか分からなくなる。
今のお兄ちゃんに必要だったのは、一番大事な「なぜ」を一個だけ足すことだった。
「バスに遅れちゃうから、早くしよう」
短い。でも、「なぜ」が一個入ってる。
それだけで、「今なんで早くしなきゃいけないのか」が分かる。
その先まで分かるようになるのは、また次の段階でいい。
そのうち経験が増えていけば、「早くして」の5文字から受け取れるものも増えていくんだろう。
「早くして」で全部伝えているつもりだったけど、ちょっと言葉が足りなかった。そこは反省している。
次に「なんで分からないの?」となったときは、一回だけ考えてみたい。
この子に、分かるところまで伝えたっけ。
とはいえ、朝は忙しい。そりゃイライラもする。
だから多分、明日の朝も言っちゃうんだよね。
「早くして!」って。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「早くして」って、考えてみるとなかなか難しい言葉ですね。
