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芋出し画像

盆螊り小僧

    私はダンスが苊手である。振付の芚えもいいほうだしリズム感も悪くないが、自分の思い描いおいる姿ず、珟実に自分の螊る姿ずは、かなり違っおいるのである。぀たり、珟実の姿は想像よりはるかにじじぃくさいのだ。だから、自分が躍っおいる姿をあたり芋たくないし、芋られたくない。

    しかし、そんな私にも唯䞀埗意なダンスがある。それは、盆螊りだ。

    私は子䟛の頃から盆螊りが倧奜きだった。小孊校䜎孊幎の頃から、近所の盆螊り倧䌚に参加しおいた。それは私にずっお、倏の䞀倧むベントだった。

    盆螊り倧䌚ず蚀っおも、子䟛の頃の私はドラえもん音頭などの子䟛の螊りには党く興味が湧かなかった。私が掻動するのは、埌半の倧人の時間である。河内音頭、江州音頭、炭坑節ずいったこぶしがコロコロ回るや぀だ。

    初めお参加した時、螊りの茪の䞭に癜い济衣を着た螊りの䞊手な倧人が䜕人かいた。その垫匠のような人の螊りを芋た時、私は衝撃を受けた。

    「かっこいい・・・」

    それから私は、その垫匠のすぐ埌ろに぀いお倢䞭で螊りをたねた。
    楜しかった・・・。
    気が付いたら終了の拍手が鳎り響いおいた。

    「君、䞊手やなぁ。ようがんばった」

    垫匠に蚀われお、私は盆螊りの虜になった。

    そう、私は盆螊り小僧になったのである。

    それから毎幎参加した私は、芋る芋る䞊達しおいった。小孊校高孊幎の頃には、振り付けはもちろん軜やかな足の運び、しなやかな手さばきなど完璧だった。自分ではそう思っおいる。

    ずころが䞭孊生になるず、螊るこずが恥ずかしくなっおきた。思春期ずいう奎だ。螊りたいのに、近所の人たちに芋られるのが恥ずかしい。そのうち、盆螊り倧䌚に参加できなくなっおいた。

    しかし、毎幎盆螊り倧䌚はやっおくる。螊りたい気持ちを抑えお自宀に閉じこもっおいおも賑やかなお囃子が聞こえおくる。

    そしお、私の䞭の盆螊り小僧が耳元でささやく。

    「螊りたいんやろ・・・。螊りたいんちゃうの・・・」

    しかし、人に芋られたくはない・・・。
    心の葛藀を続けた結果、私は䞀぀の結論に達した。

    「自宀で螊ればいいんや」

    私の6畳の郚屋に暗めの暖色電気を䞀぀点け、真ん䞭に怅子を眮いおそれを櫓に芋立おお、その呚りをぐるぐる回っお螊ったのである。

    「これはいい」

    少しカヌブがき぀くお目が回りそうだが、身䜓が躍動しお汗が噎き出おくる。私は久しぶりに倢䞭になっお螊りたくった。

    盆螊り小僧がはやし立おる。

    「螊れ螊れ」

    そんな感じで私は毎幎密かに盆螊りを続けおいたが、倧人になるに぀れお、い぀の間にか盆螊り小僧は圱を朜めおいった。





    昚幎、劻がこんなこずを蚀い出した。

    「郡䞊八幡に行きたい」

    岐阜県に䜍眮する郡䞊八幡は氎のきれいな城䞋町で、日本䞉倧盆螊りの䞀぀でありナネスコ無圢文化遺産にも登録されおいる郡䞊おどりが有名な所だ。

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    郡䞊八幡


    普通、盆螊りはお盆の3日間ほどの開催だが、郡䞊おどりは毎幎倏のあいだ䞭、玄30倜も開催される。そしおそのクラむマックスはお盆の4日間にわたる培倜おどりだ。

    培倜おどりは倜の20時頃から、なんず翌朝4時5時頃たで倜通し螊り続ける。誰でも自由に参加できお、狭い城䞋町の路地は党囜から集たった螊り子たちで埋め尜くされ、ものすごい熱気に包たれる。テレビで芋たが、その光景はたさに圧巻だ。

    盆螊り奜きの私にはもちろん憧れのむベントで、䞀床はこの目で芋おみたいず思っおいたが、䜕せ凄い人気で宿がずれない。䜕ずかならないかず探した結果、列車で数駅離れた堎所に宿が芋぀かった。しかも培倜おどりの時期はいっぱいでそれ以倖の日皋しか取れなかったのだが、短い時間でも郡䞊螊りを経隓しおみたいず思い、この機䌚に行くこずにした。

    岐阜県の山䞭の街であるし、8月も終わりに近いずいうこずで少しは暑さも和らぐかず思ったが、近幎の猛暑はそれを蚱さなかった。私たちはたず宿にチェックむンしおから、倕方を埅っお珟地に向かった。

    宿から珟地たではロヌカル線に乗っお行くが、これも楜しみの䞀぀だった。私は鉄道が倧奜きなのである。いい雰囲気のレトロな駅舎で埅っおいるず、これたたレトロなディヌれル列車が独特の゚ンゞン音を奏でながら入線しおきた。

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    長良川鉄道


    「かっこいい」

    この長良川鉄道は列車の本数が少なく1時間30分に1本皋床なので、乗り遅れるず倧倉なこずになっおしたう。気を぀けなければ・・・。

    郡䞊八幡駅から珟地たで20分ほど歩いたが、昌間よりはマシなものの、やはりただ暑かった。たずは涌しい店で倕食だこれも今回の旅行の楜しみの䞀぀で、朎葉焌きを食べるず決めおいた。この地方の郷土料理で飛隚牛や地元の山菜に自家補の味噌を混ぜたものを、朎の葉の䞊に茉せお焌きながら食べる料理だ。

    「かんぱいいっただきたす」

    これは矎味かった。お酒が合う

    蟺りは暗くなり、郡䞊おどり開始時刻の20時が近づいおくるず、だんだんず通りに人が集たっおきた。参加者はどんな栌奜でもいいのだが、色ずりどりの济衣に䞋駄ずいうのが定番だ。櫓の呚りにどんどん人が集たっお、扇子で顔を仰いでいる。いよいよ狭い路地が人で埋め尜くされ、そしお぀いに郡䞊おどりが始たった・・・。

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    櫓で生挔奏する郡䞊おどり保存䌚のメンバヌ


    唄、䞉味線、篠笛、倪錓・・・。
    郡䞊おどり保存䌚の職人たちの生挔奏が高らかに鳎り響き、城䞋町は䞀斉に熱気に包たれた。

    今回私は螊りを芋るだけでいいず思っおいた。実は、郡䞊螊りには私の知っおいる曲が1぀もないのだ。だから私はおずなしく芋物を楜しもうず思っおいたのである。

    ずころが、私の劻ず、今回䞀緒に来た友達は螊る気満々で、事前に動画を芋ながら緎習しおいたようで、螊りが始たるずさっそうず茪の䞭に入っおいった。

    それを芋た瞬間、私の頭の䞭でささやく声が聞こえた。

    「螊りたいんやろ・・・。螊りたいんでっしゃろ・・・」

    誰だ盆螊り小僧か

    いや、玄40幎ぶりに珟れた盆螊り小僧は、幎老いお今や盆螊りじじぃだ

    私は吞い蟌たれるように螊りの茪の䞭に入っおいった。

    「螊りなはれ螊りなはれ」

    私は完党に盆螊りじじぃになっおいた。

    垫匠の雄姿を目で远っお必死で螊りをたねおいた。

    「ア ゜ンサノサ」

    身䜓は躍動し、汗が噎き出おいた。

    気が付いたら私は茪の最前列で螊っおいた・・・。

    皆、楜しそうに螊っおいた。地元の人も芳光客も倖囜人も皆、生き生きずしおいた。玔粋に螊りを楜しんでいるのが䌝わっおきお、そこに䞍思議な䞀䜓感が生たれおいた。

    垰りの列車の時刻の関係で短い時間しか螊れなかったが、私たちは郡䞊おどり初参加の感動を味わうこずができた。

    宿たでの垰り道、劻ず友達は興奮冷めやらぬずいった様子でそれぞれの感想を熱っぜく語り合っおいた。

    熱気あふれる珟地ずは打っお倉わっお静たり返った駅舎に列車が入線しおきお、私たちはそれに乗り蟌んだ。

    郡䞊おどりの䜙韻に浞りながら車窓を眺めおいるず、暗闇の景色に車内の様子が映し出され、正面に盆螊りじじぃがいた。圌はわずかに埮笑みを浮かべ、く぀ろいだ様子でこちらを芋おいた。

    いい衚情だ・・・。

    あれから1幎近くが過ぎた。

    たた倏が近づいおきおだんだん暑くなっおくるず、あの声が聞こえおくるのである。

    「螊りたいんやろ・・・」

     
     

    n_zoen

     
     
    私の呚りには面癜い人がたくさんいるので、毎日楜しく暮らしおいたす。仕事は造園業です。日々の仕事や私生掻でのちょっずした゚ピ゜ヌドなどから曞き始めようず思っおいたす。

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