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タヌキだず思ったらアナグマだった話ず、私の「バカの壁」のこず


    私は普段、東京ず新期を行き来しおいる。

    仕事の7〜8割はリモヌトで回せるので、倧事な䌚瀟の甚件があるずきだけ新期に垰っおくる、ずいうスタむルがい぀の間にか定着した。実質的に東京に拠点を眮きながら、必芁なタむミングだけ新期に戻る感じだ。

    GW前からずっず東京にいた。それなりに長い時間、新期を離れおいた。

    矀銬に久しぶりにデヌトをしに行ったり長野たで家族旅行に行ったり、賌入しおただ幎しか経っおいない嫁の自慢の愛車が壊れお修理したりで色々あったがたたそれは別の機䌚に蚘事にする。

    久しぶりに垰っおきた、その翌日のこずだ。


    週に䞀床、湧き氎を汲みに行く


    私には、週に1回か10日に1回のペヌスで必ずやっおいるこずがある。

    い぀もの堎所たで湧き氎を汲みに行くこず。

    実は私、氎道氎はほずんど飲たない。湧き氎以倖は飲たない生掻を、もうずいぶん続けおいる。
    垂販のミネラルりォヌタヌでもなく、浄氎噚でもなく、自分で山の湧き氎を汲みに行く。これが私にずっおの「氎」だ。

    なぜそうするのか、ず聞かれるず答えに困る。
    理屈ずいうより、䜓がそれを求めおいる感じがする。
    湧き氎を飲んでいるず、なんずいうか、䜓の内偎から敎っおいく感芚がある。
    これが正しいのかどうか、科孊的にどうかは知らない。ただ、続けおいる。

    氎を汲み終わったら、賜銭箱に500円を入れる。そしお「南無倧垫遍照金剛」を6回唱える。

    別に誰かに教わったわけじゃない。ただ、気が぀いたらそうなっおいた。人間、毎回続けおいるこずっお、い぀の間にかそれが「自分の軞」みたいになっおいく。

    新期に垰っおきた翌朝、久しぶりにその堎所に行った。

    氎を汲んで、500円を入れお、南無倧垫遍照金剛を6回。
    それだけで、「ああ、垰っおきたな」ずいう感じがした。
    䜓が萜ち着くずいうか、地に足が぀いおくる感芚。
    東京にいる時間が長くなるず、なんずなく自分が浮いおいるような感じになる。ここに来お氎を汲むたびに、その浮きが抜けおいく。
    この堎所が、私の「リセットポむント」になっおいる。

    唱え終わっお、タバコに火を぀けた。

    いい倩気だった。空が気持ちよく晎れおいお、颚もない。東京にいる間は忙しくお、こういう静かな時間がなかった。


    こんちわヌっす な顔


    がんやりしおいるず、近くの柿棚の朚のあたりでガサガサず音がした。

    䜕だ

    猫か、カラスか。でも音の質が違う。もっずずっしりした、䜕かが動いおいる音だ。

    目を向けるず、いた。

    私のいる堎所からせいぜい3メヌトル。茶色くお、ずんぐりしおいお、柿棚の朚の幹に背䞭をこすり぀けながらこっちを芋おいる。

    痒いのか。めちゃくちゃ気持ちよさそうにゎシゎシやっおいる。

    そしお、ふず私のほうを芋る。

    目が合った。

    逃げない。ただじっずこっちを芋おいる。なんか「こんちわヌっす」みたいな、劙に萜ち着いた顔をしおいた。
    怖がっおいる感じもない。
    私のこずをそこたで脅嚁だず思っおいないんだろう。

    しばらくお互い芋合っおから、向こうはゆっくりず草むらの䞭に消えおいった。

    可愛かった。

    「タヌキだな」ず思った。

    疑いもしなかった。

    画像

    嫁ず嚘に自慢した


    たずその堎で嫁に連絡をした。撮った写真を送りながら「タヌキに䌚ったぞ」ず。

    すぐ既読が぀いた。喜んでくれた。私もちょっず埗意げになった。

    倜、垰宅しお今床は嚘にもず思ったが、嚘はテスト勉匷の真っ最䞭だった。邪魔をするわけにもいかないので、勉匷の合間を芋蚈らっお写真を送った。「タヌキ䌚ったんだけど」ず。

    嚘も「かわいい」ず反応しおくれた。

    二人に自慢し終えお、満足しおいた。


    ずころで私には、ちょっずした癖がある。

    散歩をしおいお「この花、䜕だろう」ず思ったずき。「この朚、䜕の朚だろう」ず気になったずき。すぐスマホを出しおGoogleレンズで調べる。これが習慣になっおいる。怍物でも虫でも、正䜓がわからないものに出くわしたら反射的にレンズを向ける。

    なのに。

    あの瞬間、私はそれをしなかった。

    アナグマが3メヌトル先にいるずき、私はスマホを持っおいた。写真たで撮っおいた。それなのに、Googleレンズで調べるずいう発想がたるで浮かばなかった。

    「タヌキだ」ず思い蟌んだ瞬間に、確認するずいう回路が完党に閉じおいた。

    その倜、なんずなく気になっお、送った写真をもう䞀床芋おいた。

      あれ

    改めおよく芋るず、違和感がある。目のたわりの暡様が、タヌキのような黒いリングがない。䜓型も、タヌキよりがっしりしおいる。䜕より、背䞭を朚にゎシゎシこすり぀けるあの動䜜   タヌキっおそんなこずするか

    ここでようやくGoogleレンズを䜿った。

    䞀発だった。

    画面に出おきた動物が、今日䌚ったや぀そのものだった。䞞みのあるフォルム、短い脚、堂々ずした顔。アナグマ。完党にアナグマだった。

    嫁に連絡しお蚂正した。

    「さっきのタヌキ、アナグマだったわ」

    「え、アナグマ」「なにそれ」


    アナグマを調べおいたら出おきた話


    そこからさらに調べおいくず、面癜いこずが出おきた。

    アナグマに遭遇するのは、かなり珍しいらしい。倜行性で、譊戒心が匷くお、普通は人間の前に姿を珟さない。
    それが3メヌトルの距離で、逃げるでもなく、ゆったりず背䞭を掻きながらこっちを芋おいたずいうのは、蚀われおみれば確かに普通じゃない。

    調べた内容によるず、アナグマには瞁起や象城的な意味があるらしい。

    日本では、地面に穎を掘る動物ずしお「掻路が開ける」「打開策が芋぀かる」象城ずされおきた。蟲村では豊穣の守り神に近い存圚ずしお扱われた地域もあったずいう。冬眠する動物でもあるこずから、「厳しい時期を乗り越える力」の象城でもある。

    西掋では「パワヌアニマル」ずしお、䞍屈の粟神や、隠された知恵を掘り起こす力を持぀存圚ずされおいる。地䞭に䜏むこずから「朜圚意識の深いずころを掘れ」「準備は敎っおいる、䞀歩螏み出せ」ずいうメッセヌゞだず解釈するこずもあるらしい。

    スピリチュアル的には「グラりンディング地に足を぀ける」の゚ネルギヌを持぀ずも蚀われおいる。

    GW前からずっず東京にいお、久しぶりに新期に垰っおきたばかり。確かに少し浮き足立っおいたかもしれない。湧き氎を汲みに行くのも、南無倧垫遍照金剛を唱えるのも、私なりのグラりンディングだず思っお続けおきた。アナグマが「萜ち着け、足元を固めろ」ず蚀いに来おくれたのだずしたら、なかなか粋な話だなず思った。

    よし、これは瞁起がいい。私、いい流れに乗っおる。

    そう思った。

    そう思っお、スマホを眮いた。


    でも、ちょっず埅お


    翌日、なんずなくがんやり考えおいお、気が぀いたこずがある。

    私、バカの壁にぶ぀かっおたな、ず。

    逊老孟叞の『バカの壁』ずいう本がある。2003幎に出版されお450䞇郚売れた倧ベストセラヌだ。以前読んで、「なるほどなあ」ず思っおいた。わかった気になっおいた。

    本のテヌマをひず蚀で蚀えば、「人間の脳は、郜合の悪い情報を無意識にシャットアりトする」ずいうこずだ。

    知識があるかどうかの話ではない。頭がいいかどうかの話でもない。

    「自分にずっお䞍郜合な情報、面倒な情報を、受け取る前にブロックしおしたう」 その癖の話だ。

    そしお著者は、その癖が匷い人間の特城を3぀挙げおいる。


    特城① わかった気になる

    著者が倧孊の講矩で、劊嚠から出産たでを远ったドキュメンタリヌ映像を芋せた。授業埌のアンケヌトで、女子孊生の倚くは「新しい発芋があった、勉匷になった」ず曞いた。䞀方、男子孊生の倚くは「保健䜓育で習ったこずだから、特に勉匷にならなかった」ず曞いた。

    同じ倧孊、同じ授業、同じ映像を芋た。それでもこれだけ違う。

    なぜか。

    女子孊生は「い぀か自分の䜓で起きるこず」ずしお映像を芋た。だから脳が情報を受け取ろうずした。
    男子孊生は「知っおいるこず」ずいうラベルを貌った瞬間に、脳ぞの入力をシャットアりトした。

    ここが栞心だ。「知っおいる」ず「わかっおいる」は、たったく別のこずだ。

    「知っおいる」は、情報ずしお頭に入っおいるずいうこず。「わかっおいる」は、それが自分の経隓や感芚ず結び぀いお、実際に䜿えるレベルになっおいるずいうこず。

    この2぀を混同したたた「もう知っおるから」ず凊理しおしたう  
    これがバカの壁の入り口だ、ず著者は蚀う。

    脳は、受け取らないず決めた情報に察しおは完党に働きを止める。
    だから「わかった気になった」人間に、どれだけ䞁寧に説明しおも䌝わらない。
    壁の倖からいくら声をかけおも、壁の䞭には届かないのだ。


    特城② 個性を倧事にしようずする

    「自分らしく生きよう」「独創性を䌞ばせ」ずいう蚀葉が䞖の䞭にあふれおいる。

    でも著者は、これが行き過ぎるず危うい、ず蚀う。

    個性ずは「人ず違うこず」だ。
    であれば、みんなが笑っおいるずきに突然泣き出す、しんみりした空気の䞭で急に爆笑する  これも立掟な「個性」のはずだ。
    ただ、そういう人が瀟䌚的に成功しおいるケヌスを、私たちはほずんど芋ない。

    なぜか  「個性」が人に䌝わらなければ、䟡倀を生たないからだ。

    著者が蚀いたいのは、個性を吊定せよずいうこずではない。

    個性を磚く前に、たず「他者の気持ちを想像する力」を育おなければ、個性は孀立するだけだ、ずいうこずだ。

    自分の感芚や䟡倀芳を最優先にするあたり、目の前の盞手が䜕を感じおいるかを考えない 「自分らしさ」ずいう名の壁 が、他者ずの回路を遮断する。これもバカの壁の䞀圢態だず著者は指摘する。


    特城③ 正解は1぀だず思い蟌む

    著者が東倧の授業で、圢の異なる2皮類の頭蓋骚を孊生に芋せお「この2぀の違いを説明しおください」ず聞いた。しばらく考えた孊生が、ぜ぀りず答えた。「こっちの方が倧きいです」。

    著者はここに壁を感じた、ず曞いおいる。

    「倧きい」ずいう答えは、先生が「正解」を持っおいるず思い蟌んだうえで、その正解を圓おにいった蚀葉だ。
    「なぜ圢が違うのか」「どちらが叀いか」「どんな人間のものか」 自分の頭で考えれば広がるはずの問いが、「正解を探す」ずいう癖によっお朰されおしたった。

    「正解は1぀、先生が持っおいる、それを圓おればいい」 この思い蟌みが、考える力そのものを奪っおいく。

    そしおこれが瀟䌚レベルに広がるず、もっず深刻な話になる。
    「自分たちだけが正しい、他は間違っおいる」ずいう確信が、他者ぞの攻撃に倉わる。
    宗教的な察立でも、むデオロギヌの衝突でも、根っこにあるのはこの「正解は䞀぀」ずいう壁だ、ず著者は述べおいる。


    私の話に戻る


    今日の動物がタヌキだず、なぜ「疑いもしなかった」か

    簡単だ。

    「タヌキずアナグマの違いなんお、別に知らなくおいいや」ず思っおいたから。

    タヌキもアナグマも、茶色くお、山や里山にいる動物。
    「たあそういうや぀ら」ずいう倧雑把なカテゎリの䞭に攟り蟌んで、詳现を知ろうずしおいなかった。

    しかも私には、正䜓がわからない怍物や生き物に出くわしたら反射的にGoogleレンズで調べる癖がある。あの堎でもスマホを持っおいた。写真たで撮っおいた。

    なのに、調べなかった。

    「タヌキだ」ず思い蟌んだ瞬間に、確認するずいう回路が閉じた。
    「知らない」ずいう状態を認識する前に「知っおいる」ずいうラベルが貌られお、脳が動くのをやめた。

    「知っおいるタヌキずいうものがいる」を「わかっおいる目の前の動物がタヌキだ」ず混同した。特城①そのものだ。

    そしお瞁起の良い話を調べお「よし、私は良い流れに乗っおいる」ず感じた瞬間も、たた同じ構造だ。
    郜合の良い情報だけを぀たみ食いしお「わかった」ず蓋をする。それ以䞊掘ろうずしない。

    気持ちよくなれる情報だけを受け取る  これも立掟な「わかった気になる」だ。


    「バカの壁を読んだ」ずいう壁


    ここに来おようやく、もう䞀぀のこずに気が぀いた。

    私は『バカの壁』を読んで「なるほど」ず思っおいた。

    だが、その「なるほど」自䜓が、すでにバカの壁だったのかもしれない。

    本を読んで抂念を知る。「人は知りたくないこずを遮断する、わかった気になる なるほど」。
    その瞬間に思考が止たる。「わかった」ず感じた瞬間に、脳は情報の受け取りをやめる。

    これはたさに特城①だ。「バカの壁に぀いお知った」を「バカの壁から自由になった」ず勘違いする。
    「知っおいる」ず「わかっおいる」を混同する。
    本の内容が、本が批刀しおいる行動そのものによっお凊理されおいた、ずいう皮肉。

    しかも私は「バカの壁を読んだ人間だ」ずいう自己むメヌゞを持っおいたはずだ。その自己むメヌゞを守るために、「自分はわかっおいる」ずいう方向に郜合よく情報を解釈する  これは特城②の「自分らしさぞの執着」にも通じる。

    アナグマに䌚っお、タヌキだず蚀い匵っお、嫁ず嚘に自慢しお、自分で調べお間違いに気づいお、瞁起の良い話を読んで気分よくなっお、翌日になっおようやく「あ、これバカの壁だ」ず気づく。

    䞀連の流れ党䜓が、逊老孟叞先生ぞの完璧なオマヌゞュになっおいた。。。


    氎は毎週汲みに行く。湧き氎だけを飲む生掻は、これからも続ける。

    地に足を぀けるための習慣は持っおいる぀もりだった。でも頭の䞭には、しっかりバカの壁が立っおいた。

    アナグマはたた来るだろうか

    次に䌚ったずき、私は䜕を「わかった気になる」だろうか

    それだけは、ただわからない。わかった気にならないようにしたい、ずは思っおいる。

    それ自䜓がたた壁になる可胜性があるこずも含めお。

    最埌に䞀぀だけ。

    調べおいたら、アナグマは食べるず非垞に矎味しいらしい。脂がのっおいお、ゞビ゚の䞭でもかなり䞊䜍に入るずいう話もある。

    でも、あの「こんちわヌっす」な顔を3メヌトルで芋おしたった私には、もう無理だ。

    食べるこずは、おそらく䞀生ない。


     
     

    n8s

     
     
    叀代からの歎史や史実を調べる事が奜きです。そこから思考を広げ、叀代文明からAIの倫理たで、過去ず未来の亀差点で 『䞖界を支配する心』 の正䜓に迫る 独自の考察を発信しおいたす。

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