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Photo byyumm_note

ハッピーエンド


    とある日の仕事帰り

    私は、電車の乗り換えのため、
    急いで駅構内を歩いていた。


    早く帰りたい早く帰りたい早く帰りたい



    数時間前
    「ごめん、これ今日中にお願いできる?」
    と、急に上司からの依頼。



    いやいやいや、無理っすね。
    ほら、もう定時間近っすよ。




    なんて思いながらも、
    微笑みながら仕事を引き受けた。


    幸い、この日は金曜日。
    だから、明日はお休み。
    これが火曜日だったら、暴れていた。


    本来ならもう家に着いている時間。

    早歩きで駅構内を歩いていると、
    30代くらいのサラリーマン2人が、
    反対側から歩いてきた。



    そして、すれ違うときに、

    「たしか仕事辞めて、DJになったんやったかな…?」



    と聞こえて、
    思わず振り向いてしまった。



    え、なになになに
    仕事辞めて、DJ…?!



    いや〜脱サラしてDJか…
    結構思い切ったな〜




    と、他人の決断に感嘆していた。



    サラリーマンをしながら、週末はDJ活動。
    最初は趣味程度で、時にはホームパーティーでDJやっちゃいましょか!程度だったのに、気がつけばDJの活動が忙しくなってきた…

    いや、それとも、
    「挑戦するなら中途半端なのはダメだ!」
    そう自分を追い込むために、
    清水の舞台から飛び降りるような気持ちで辞めたのか…




    いやいや、あの会話だけじゃ、
    そもそもDJですらない可能性もある。
    最悪、仕事も辞めていないかもしれない。


    「たしか〜」と「〜になったんやったかな」
    の2つは、不確定要素すぎる。





    でも、それを確かめることも、
    話の続きも聞くことができない。




    「あの…その話、私も聞きたいのでいいですかね?」

    なんて、もし私が知らない人に言われたら
    すぐ逃げる。






    この前もそう。


    たまたま入ったカフェで、


    「私の弟がさ、急に実家に彼女連れてきて。
    しかも、その人私よりも年上でさ〜」



    と、隣にいた推定20代女性2人が
    話をしていた。


    たまたま聞こえたとはいえ、
    絶妙に気になる話題。




    急に実家に連れてきたってどういうこと?
    しかも、彼女は自分より年上?
    『その人』と言っているから、恐らく初対面…
    年上で何〜なんで帰ってきた〜
    どうなったの〜早く続き〜〜!!



    と、私の脳内は忙しなかった。




    それなのに、
    「あ、やば。もうこんな時間。遅れるから出よっか〜」
    と言って2人は出て行った。




    ちょ、待ってよ!続き教えてよ!
    あと、遅れるってどこに〜!





    ああ。
    みんな、私が気になるひと言を残していく。




    というよりも、私が聞こえてきた会話を
    聞いてしまうのが悪い。


    そして、それを勝手に膨らませるから
    もっと悪い。


    でも、きっと、この先もそうなんだろうな。



    街には、名前も知らない誰かの物語が流れていて、
    その一部だけが、たまたま聞こえてしまっている。



    ちなみに、

    脱サラDJは軌道に乗って上手くいってるし、
    年上彼女は、弟家族と打ち解けている。


    私の中では、みんなハッピーエンドだ。

     
     
    20代、社会人。 日常のどうでもいい出来事を、思いのままに綴っています。

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