
ブルガリア?……ヨーグルトしか思い浮かばない
「ブルガリアで、自分の立ち上げるスパでの仕事に興味ある?」
クリスティーナさんからそのメッセージが届いたとき、最初に頭に浮かんだのはヨーグルトだった。
ブルガリア。行ったことはない。旅行で行こうと思ったこともない。正直、それ以上の情報が何も出てこなかった。
「え、ブルガリア……?」
それでも、パリで直接会って話を聞くことにした。
クリスティーナさんの口から出てきたのは、ブルガリアで新しいスパを立ち上げること、その運営を任せられる人を探しているということ。
詳細の全てがその場でわかったわけではなかったけれど、彼女が私に声をかけてくれた理由は、なんとなく伝わった。
頭の中で、静かに考えた。
ブルガリアで仕事をすることなんて、この先一生ないだろう。旅行ですら、おそらく行くことはない。
それなら——失うものは、何もない。
「行ったことがない国だから未知ですが、やってみたいです」
気づいたら、そう答えていた。
クリスティーナさんはすぐに動いた。飛行機の手配は彼女がしてくれることになり、渡航日は1ヶ月半後に決まった。
なぜ、私は事前に調べもせず、現地も見ずに行けたのか。そしてクリスティーナさんが私を選んだ本当の理由を、後日、本人から聞くことになる。