
【掌編小説】憂鬱な日の楽しみ方
彼女は、雨の日はとりわけ楽しそうだ。
雨の日が苦手な僕は、それが不思議でたまらない。
「なんで、そんなしかめ面しているの?」
彼女は首を傾げて、僕に聞いた。
そんな彼女がほんの少し腹立たしくて、じろりと睨んだ。
「君こそ、雨なのに、どうしてそんなに楽しそうなんだ?」
彼女は「ああ」と頷いて、頭上の傘を見上げた。
「この傘がさせるからよ。この傘を買ってから、私、雨の日が好きになったの」
彼女の視線を追うと、パステルカラーの布地の上で、小さな小人たちと動物たちが仲良くダンスしていて、朗らかな彼女に実によく似合っていた。
傘を見つめている彼女の表情は、灰色の雲の切れ間から覗く陽光のようで、僕の憂鬱も晴れていく気がした。
「確かにこれは、楽しくなりそう」
「でしょ?」
僕は少しだけ、次の雨の日が楽しみになった。
拝啓文芸部さんの企画に参加させていただきました。
雨の日が続いてますね。
お気に入りの傘とか好きなもので、ちょっとでも気分を上げていきたいです。
よろしくお願いいたします。