午前三時辺り
03:53 近所のどこかにいるニワトリが鳴いた。絶対にいるんだけど、別にどこにいるとか誰が飼っているとかに興味はなくて、せいぜい「ニワトリっていくらなんでも朝早すぎる、片岡鶴太郎の元ネタかな」とかしか考えていない。寝られないのでニワトリが鳴く回数を数えたり、一回鳴いて次鳴くまでに何秒ぐらいリロードかかるのかな、とかそういうことを考える。ニワトリのせいで眠れていないわけではないと思う。そうして私がパソコンをカチカチしている間にニワトリは六回鳴いて、静かになった。二度寝してみてもいいと思う。ニワトリに私みたいなことを勧めるなら、私もニワトリみたいなことをするべきだと思った。しかしよく考えるとニワトリって飛べないし、できることって早起きぐらいのものだけど、この時間まで起きているのに何をするんだ。手始めに外に出てみた。意外と風は吹いていない、ニワトリがどこにいても声が聞こえてくるのは、風が吹いていないからなんだ!と合点がいった。物理は履修していないので詳しいことは分からないが、勉強してきたことって意外と生活とすり替わっているなと思う。哲学を勉強すれば、いずれ私の意志は全て哲学とすり替わる。歌を歌い、私もわずかながらニワトリの役目を果たす。
04:10 寒すぎた、キャミソールに薄いワイシャツ。露出狂みたいな服装を好む人間の肌に、朝のキンとした空気は合わなかった。そしてこうやって、文章にすることで、意外と自分はまだ、存分に正気なのだと確認をしていたりする。正気かどうかを確かめることは、正気ではないと思う。ニワトリは、自分が大きな声で鳴いて、そうしてその声が反響して私の耳に届くことで実存を証明して、そうして正気を確認しているのではなかろうか。ニワトリも、正気を保てなくなったりするのか。コ/ケ/コッ/コー の四音で伝えられることを考える夜があるかもしれないのか。たまには、コケコッコーというより、おはようございます!と言いたいと思っていたら申し訳ないな。ニワトリよ、ニワトリさん、おはようございますは私が言うよ。君はコケコッコーと鳴いて。二度寝は私がするから、君はまた午前四時前に鳴き始めて。朝の冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んで鳴くことで、私に実存を証明して。そうしたら私はたまに外に出て、歌を歌ってみるから。