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女王の運命か女の自由か〜姉妹の絆が生む晴れやかな日 レイディ・ベス解説

    今回は新演出新キャストで再演になったレイディ・ベスの解説。3月に行きましたがなかなか凄かったですし考えるポイントもあったので記事にしていきます。

    あらすじ
    舞台はメアリー・テューダーが治めるイングランド。ブラッディー・メアリーと呼ばれカトリック復活のため弾圧をも辞さなかった女王に市民は不満を抱き、その腹違いの妹・エリザベスに王位を継がせるべきだという声が日に日に高まりを見せていた。そしてベスは私生児・レイディの称号で生き、キャットやアスカムと共に宮廷から離れて生活をしていた。そんなある日、ベスは禁じられていたキンダルの英語の聖書を巡り姉や忠臣のガーディナーらと対立し宮廷に向かう途中で流れ者の詩人・ロビンと出会う。彼はベスを王女としてではなく1人の女として扱い、“世界を見よう”と外へと連れ出して次第に距離を縮めていく。互いに恋心を抱いていく2人だが、彼女には王家の娘として国を統べる女王となる運命があり、1人の女として自由に生きる人生は選べないのであった…。
    一方で姉のメアリーは腹違いの妹であるベスを疎んで厳しく当たり、自身を批判しベスを持ち上げる民衆やプロテスタントの弾圧を一層激しくするばかりでついにベスは陰謀にはめられ根拠のない反逆の罪でロンドン塔へと送られてしまう。そしてメアリーは国の安泰のために母の生まれた国でありカトリックの大国でもあるスペインの王子・フェリペとの結婚を目論むが、その裏ではガーディナーとスペインの大使・ルナールがベスを消そうと更なる陰謀を働こうとしており…。


    解説 すれ違った姉妹と運命の歯車
     ヘンリー8世の次女のレディー・ベスことエリザベスを主人公にしたこの作品で描かれているのは、彼女が苦難を乗り越えて女としての自由な生き方か、女王として民の上に立つ定めかを選びイギリスの偉大な君主と呼ばれたエリザベス女王になるまでの歩みです。ベスの腹違いの姉はブラッディー・メアリーと呼ばれたことで有名な女王メアリー。2人は母親の運命からそれぞれ“追い出された子”、“不義を働いた女の子供”と言われていたことをきっかけとして互いに憎み合い、ぶつかり合う険悪な仲でした。しかしメアリーが病に倒れてようやく共に母親が王であった父親に弄ばれていたという事実を知り、許し合って国の未来を託し託されます。市民からの声や師と仰ぐアスカムからの予言、そしてロビンとの愛の間で揺れ、ひどい扱いを受け思想でも対立していた姉メアリーとの和解によって動き出したベスの女王としての運命の歯車。母であるキャサリンとアン・ブーリンの対立から始まり、その娘であるメアリーとベスの和解とベスのエリザベス1世としての即位で終止符が打たれる争いは、レディー・ベスの隠れたテーマだったとも言えるのでしょう。

    おまけ
    レイディ・ベスはDVDで一度見ていて今回の再演を観ているんですが、解釈の更新が結構あって個人的にはスッキリしたのではと思うところが多かったです。メアリーとベスの距離感も少し変わっていてキンダルの聖書は反逆の証拠ではないとガーディナーに諭すシーンがあったりして、トマス・ミートンの娘だとか母が淫売だとかけちょんけちょんに言いつつも裏にリスペクトを感じる構造になっていました。あと我が父は王の歌詞が全面改訂されてベスの信念が自由に生き強い意志を持って生きるというものに強化されていましたね。ヘンリーを偉大と見ることがまあ難しい世の中になったというか、SIXも日本でやりましたしヘンリー8世の生き方に対する評価や我々の価値観がブランクの中で動いたのかなと。
    キャストは盤石層で抑えていたので(しかも半額良席!)最高でした。

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