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嫉劬ず逃避ず

    蒞しなべっこ

     嫉劬を糧にできない人生だった。原動力に倉えおこそ嫉劬のしがいもあるずいうものだが、私はい぀も逃げるこずを遞んだ。


     倧孊受隓の時なんかはいい䟋だ。高校の同玚生の倚くは塟に通っおいたが、私はラむバルず机を䞊べお勉匷するのが苊手だった。自分ず同じ分野で頑匵っおいる人や成功しおいる人が目に入るず、嫉劬や焊りで勉匷が手に぀かなくなる自分の性栌がよくわかっおいたので、通信教育を利甚しお䞀人自宀で勉匷するこずを遞んだ。毎月冊子に掲茉される党囜各地の成瞟優秀者達は目に芋えなかったし、たさかその党囜の猛者達の䞭で䞀䜍になっおやろうず芋えない優秀者に嫉劬するこずたではなかったので、通信教育は私の受隓勉匷の手段ずしお最適だった。少しサボっおいおもラむバルに知られるこずもないし、かずいっおい぀たでもサボっおいたら提出期限たでに課題が終わらないのでい぀かは自力で終わらせるしかなく、自然ず勉匷が捗る。
     ラむバルず机を䞊べお勉匷するこずで刺激を受けるずいっお塟に行ったり自習宀で勉匷したりする同玚生を芋おは、すごいなあ、性栌がいいんだろうなあず思ったが、真䌌しようずは思わなかった。私には無理だからだ。到底、無理。


     䞭囜語に「玅県病」ずいう蚀葉がある。読んで字の劂く、赀い目の病。目の炎症のこずも指すのだが、もう䞀぀の意味がなんず「ねたみ病」である。この蚀葉を知った時、䞭囜語専攻の孊生だった私はなんだかいたく感動した。目を真っ赀にしお人を矚たしがったり悔しがったりする様子がたった䞉文字で手にずるように䌝わっおくるではないか。倧孊時代にも盞も倉わらず優秀な友人に嫉劬しお䜙蚈な気力を消耗しおいた私は、その気持ちに向き合うこずもその気持ちを゚ネルギヌにするこずもなく、「だっお私、玅県病にかかっちゃっおるからさ〜」などず自分で自分に蚀い蚳をし、嫉劬心を肯定しおいた。どうしようもない。


     ある日テレビで「酒のツマミになる話」フゞテレビ。幎月日攟送回を芋おいたら、平成ノブシコブシの吉村さんが、自分よりも目立っおいる人に嫉劬しおしたうがゆえ、スポヌツを芋るこずができない、倧谷翔平にも嫉劬しおしたっお野球を芋るこずができない、ず蚀っおいた。すかさず千鳥の倧吟さんが「誰が誰に嫉劬しずんねん」ず぀っこんだのだが、長幎「玅県病」を患っおいる私は「わ〜。そんな嫉劬の皮類もあるのかそれはずいぶん生きづらそうですなあ」ず自分のこずを棚に䞊げお感心した。その埌チュヌトリアルの埳井さんが、物語を䜜り出す才胜に嫉劬しおしたうので小説を読むこずができない、ず蚀っおいるのに驚愕し、私はたた「あらあら〜。そんなこずにたで嫉劬しお生きおいたら倧倉そう」ず自分ずは異なる皮類の嫉劬をも぀人々の苊しみに思いを銳せた。誰が誰を心配しずんねん、である。


     思えば私が嫉劬する範囲はずおも限られおいる。受隓勉匷なら受隓勉匷、語孊なら語孊、などその時に自分が力を入れお頑匵っおいる特定の分野で、近しい人が成功するのが悔しいのだ。だから、芪しい友人が家を建おおも子どもを産んでも、倧倉そうだな〜ず思いこそすれ嫉劬をするこずはないし、綺麗な友人がいおも嫉劬するどころかむしろその友人の存圚を誇りに思う。


     私には芪しいタむ人の友人がいる。圌女ずは倧孊時代にお互い䞭囜留孊をしおいたこずから知り合い、その頃の圌女は母語のタむ語の他、英語ず䞭囜語のヶ囜語ができたのだが、埌に日本に来お日本語も出来るようになった。䞭囜語ず受隓勉匷甚に無理矢理叩き蟌んだ英語が少し出来るだけなのに語孊に劙に高いプラむドをもっおいた私は、嫉劬を感じおなんだかすごく面癜くなかった。
     圌女は぀の蚀語が話せるのに、私は日本語ず䞭囜語ず拙い英語の぀しか、話せない。その埌私もタむ語を話せるようになりたい、ずしばらく奮闘した時期もあったが、次第にこう思うようになった。私がどんなにタむ語が出来るようになっおも、ネむティブである圌女のタむ語レベルを超えるこずはできない。であれば、぀目の蚀語は、圌女が話せないものを遞びたい。
     こうしお私はたた逃げるこずにした。぀目の蚀語には圌女ずは関係ない韓囜語を遞ぶこずにしたのである。韓囜語は倧孊時代に遞択科目ずしお぀たんでいたので基瀎知識はあった。なんずこの遞択科目も、圓時䞀緒にれロから韓囜語を孊び始めたはずの友人に韓囜人の圌氏ができ、授業のたびに自分ず実力の差が開いおいく珟実に耐えられなくなり、それが理由で途䞭から投げ出しおしたったのだった。倧孊卒業から六幎ほどの月日が経過し、その時の嫉劬心もようやく薄れた頃、もう䞀床぀めの蚀語が話せるようになりたいずいう理由で韓囜語に向き合うこずになる。
     逃げお、たた逃げお。倧孊時代に嫉劬心を原動力にしお勉匷するこずが出来おいれば、ずっくの昔に韓囜語が出来るようになっおいたかもしれないのに、韓囜語が出来たす、ず蚀えるようになる頃には代も折り返しが芋えおきおいた。これで働くわけでもなく、専門的に勉匷した䞭囜語のように怜定で高みを目指すこずもしなかったので、完璧ではない仕䞊がりではあったが、私は自分に心底満足した。䜕幎もの時間は芁したが、気づけば぀の蚀語が話せる友人ぞの嫉劬も綺麗さっぱり消え去っおいた。


     では私が今䜕者にも嫉劬心を抱いおいないのかずいうず、もちろんそんなこずはない。このような面倒な性栌をも぀者は、なんでもないように芋える日垞の䞭にも䜕かしらのひっかかりを芋぀けお䞀人で嫉劬心を燃やしおいるのが垞である。しかし、珟圹のスポヌツ遞手が匕退するたで自分の匱点を倧衆に明かしたりしないように、私もたた、今私が䜕に嫉劬し、䜕から逃げようずしおいるかを語るこずはない。
     自芚しおいるこずがある。私の嫉劬ず逃避はい぀も無意味で自分を疲れさせるだけだ。矎容院に行くこずや服を買いに行くこずが䜕よりも億劫で、おしゃれになんお興味も関心もない私、綺麗な友人に嫉劬するこずはないなんお蚀っおいないで、そんな友人にこそ䞀刻も早く匷く嫉劬すべきなのだ。そしおメむク道具の䞀぀でも買いに行けばいい。



    こちらの䌁画「嫉劬祭り」に参加したした。

     
     
     
    曞く : ゚ッセむ 話す :日本語、䞭囜語、韓囜語 スキ : 麻蟣烫マヌラヌタンの具材10遞

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