
包丁キャンセル界隈
包丁キャンセル界隈、という言葉をインターネットのニュースで目にした。その瞬間、ようやく時代が私に追いついた!と思った。拙著『棘をくるむ。』の中で『自炊の呪いと完璧主義』※noteでの初稿は以下の記事を参照
で、自身の自炊に対する不器用さと自炊のハードルを高くしていた完璧主義について触れた。ここにきてついに満を持して『包丁キャンセル界隈』である。
ちなみに『焼き魚定食』は包丁もまな板も使わずにできる。ぜひ一度試していただきたい。
私はこの言葉を聞いて安心した。そうだ、やっぱりみんな(?)自炊はそこそこ負担なのだ。決まらない献立にスーパーをさまよい、やっとのことで食材を手に入れて、冷蔵庫に移して、また冷蔵庫から取り出して、切って、下ゆでして、煮て、焼いて、味をつけて……ようやく美味しく食べても、その後には洗い物が待っている。それに包丁は常に怪我と隣り合わせだ。うっかりやってしまったことも数しれず、である。バイオリン弾きにとって左手の怪我はほんとうに致命的である。本番前はキャベツの千切りをしないという知人もいる。まあ私は普段からカット野菜なのだが。
そもそも、もう現代人は丁寧に料理をするには忙しすぎるのだと思う。それにスーパーのお惣菜は、割高ではあるが、結構美味しいし種類も豊富だ。私はよく味付け肉や味付け魚も使う。肉や魚を切らなくていいので洗い物が格段に楽になる。ここ何年かでキッチンバサミを活用する調理法もよく目にするようになった。切れ味の悪い包丁でネギを輪切りもどきにするより、ハサミで切って直接食材に落としてしまうのが楽だ。
包丁キャンセル界隈を調べるうちに、コンロを使わない料理も人気、とあった。そう、電子レンジの活用である。こちらは我が家の古いレシピ本にも『電子レンジレシピ』的なものがあったので、わりと昔から活用されていたのだと思う。たまに食材が爆発してレンジの中が大惨事になるが、毎回調理後コンロまわりを掃除することを思えば、頻度は少ないだろう。
包丁キャンセル界隈を紹介する記事には『かつての手抜きは効率化へ……』とあった。タイパ、という言葉はあまり好きではないが、自炊が負担になってしょんぼりするくらいなら、包丁もコンロもキャンセルしていいのだ。
ようこそ、『包丁キャンセル界隈』へ。