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6月後半から7月初めのおうちご飯――看取りのあと、日常へ戻る食卓

    6月18日、母危篤の報に接し富山へ帰り、そのまま看取ることになり、バタバタしていたため、だいぶ間が空いてしまった。

    したがって今回は、6月後半から7月5日までの「おうちご飯」の記録である。備忘も兼ねて、ざっと振り返っておきたい。

    トップ画像はトンカツ。

    日本代表対ブラジル代表戦の前日晩に、験を担いで作ったものである。試合は惜しくも負けてしまったが、トンカツは美味かった。勝負には負けたが、食卓では勝った。そういうことにしておきたい。

    なぜか2回も登場したのがアクアパッツァである。上はスズキ、下は真鱈。

    スズキはしっかりした身にアサリの旨味がよく合い、真鱈は淡白な分だけスープの味をよく吸って、これはこれで美味しい。アクアパッツァは見た目のわりに作りやすく、しかも食卓が一気にそれらしくなるので、わが家ではかなり頼れるメニューである。

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    スズキのアクアパッツァ
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    真鱈のアクアパッツァ

    アクアパッツァの残り汁は、もちろん捨てない。

    ズッキーニとパプリカのパスタに使い、紅ズワイガニのほぐし缶詰とパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりトッピングした。残り汁というより、むしろここからが本番ではないかと思うほどの旨味である。

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    ズッキーニとパプリカのパスタ

    生カツオの良いものが手に入ったので、タタキにした。

    薬味をたっぷり乗せて、ポン酢でいただく。こういう料理は、素材が良ければそれだけでほぼ勝ちである。薬味を刻む手間も、食べた瞬間に報われる。

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    カツオのタタキ

    地味ながら美味しかったのが、新じゃがと玉ねぎとベーコンのスパイスソテー。

    新じゃがの甘み、玉ねぎの甘み、ベーコンの塩気。そこにスパイスが入ると、ただの炒め物が少しだけ酒の肴っぽくなる。こういう「地味にうまい」料理は、日々の食卓ではかなり大事である。

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    新じゃがと玉ねぎとベーコンのスパイスソテー

    新鮮なイサキを1尾、3枚におろしてもらい、半身をさらに半分ずつに切った。

    頭側の半分は照り焼きに。実山椒をトッピングしたのだが、これが実に効いている。甘辛い照り焼きに山椒の香りと刺激が加わると、一気に大人の味になる。

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    イサキの照り焼き

    残りの半身は香草焼きに。

    同じ魚でも、照り焼きと香草焼きでは印象がまったく変わる。1尾をこうして食べ分けると、魚料理の楽しさがよくわかる。

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    イサキの香草焼き

    画像はあまり美味しそうに撮れていないが、牛肉のハンバーグも作った。

    写真写りはともかく、味はちゃんと美味しかった。ハンバーグはやはり強い。見た目が多少もっさりしていても、焼きたてで肉汁があればだいたい許される。

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    牛肉のハンバーグ

    副菜では、ピーマンとツナのレンチン和え。

    地味だが、簡単で美味しい。ピーマンを切って、ツナと合わせて、レンジにかけるだけ。こういう副菜を一つ覚えておくと、献立の隙間が埋まる。

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    ピーマンとツナのレンチン和え

    こちらは長ピーマンを焼いて、おかかを振り、ポン酢で食べたもの。

    これもまた簡単だが美味しい。焼いたピーマンの香ばしさに、かつお節とポン酢。説明するほどの料理ではないが、こういうものが食卓にあると妙にうれしい。

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    焼き長ピーマン

    半夏生にはタコを食べるということで、タコとモッツァレラチーズのセビーチェ風も作った。

    タコだけだと和風に寄りがちだが、モッツァレラを合わせると少し洋風になる。酸味を効かせると、暑い時期にはちょうどよい。

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    タコとモッツァレラチーズのセビーチェ風

    あとで結構良いお値段だと知って驚いたワイン。

    ムルソー2020 ルイ・ジャド。美味しかったから良いのだが、値段を知ると急にグラスを持つ手つきが慎重になる。

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    ムルソー2020 ルイ・ジャド

    休肝日には、チキン・ビリヤニと、パプリカとズッキーニのスパイシースープ。

    休肝日なのに、料理は妙に本格的になった。酒を飲まない日こそ、香りの強い料理がありがたいのかもしれない。ビリヤニのスパイス感と、野菜のスープの軽さで、満足感は十分だった。

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    チキンビリヤニ
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    ズッキーニとパプリカのスパイシースープ

    そして、養殖ではあるが鮎の塩焼き。

    タデ酢はなかったので、スダチを添えた。これはこれで十分に美味しい。季節のものを食べると、それだけで食卓に区切りがつく。6月後半は慌ただしく、気持ちも落ち着かなかったが、こうして振り返ると、それでも日々の食卓はちゃんと続いていたのだと思う。

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    鮎の塩焼き

    最後は蒸し鶏の四川風ダレかけと酸辣湯。

    ピリ辛の四川ダレは淡泊な蒸し鶏によく合う。すっぱ辛い酸辣湯は最後の最後にお酢を投入するのがコツである。

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    蒸し鶏の四川風ダレかけ
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    酸辣湯

    母を看取るために富山へ行き、日常はいったん途切れた。

    しかし、戻ってくれば、また台所に立ち、魚を焼き、野菜を切り、味噌汁を作る。大きな出来事があっても、暮らしは続く。というより、暮らしを続けることで、少しずつ日常に戻っていくのだろう。

    今回のおうちご飯は、そんな時期の記録でもある。

     
     
     
    1961年大阪府生。現在、大東文化大学経済学部教授。著書:岩田規久男編『昭和恐慌の研究』(東洋経済新報社 2004年)、『経済失政はなぜ繰り返すのか』(東洋経済新報社 2005年)、渋沢研究会編『はじめての渋沢栄一』(ミネルヴァ書房、2020年)など。

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