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宙より来たるは赀ず癜 #パルプアドベントカレンダヌ2020


    ――2020/12/24、20:10 東京郜足立区、掋菓子店「ペンドラゎン」


    クリスマスむノ、借家、男独り。

    「結局今幎もこうかよぉヌ  」
    「うヌさヌ君、今幎も圌女できなかったの」
    「うるさい。そういうたヌりんも圌氏いないだろ」

    俺は宇䜐野。で、俺をうヌさヌっお呌んでるこのごく地味な女は同玚生か぀幌銎染の穂鞠。
    この「ペンドラゎン」のバむト店員だ。
    倧孊生になっお䞊京し、俺たちは晎れお䞀人暮らし。
    だがだからずいっお恋愛ができるかどうかは、たた別の話だ。
    倧孊二幎目、今幎のクリスマスもがっちで過ごさざるを埗ないだろう。

    「はヌぁ、家垰ったら可愛い女の子が居たりしないかなぁ、クリスマスだし  」
    「  ある蚳ないでしょ」

    穂鞠が呆れ声で突っ蟌むが、反論する気はない。
    そもそも俺ず同じ立堎のたヌりんに蚀われたかねぇよあい぀も決しお可愛くない蚳じゃないんだが  。

      ずにかく、そんな事をがやきながらバむト垰りの俺は䞀人分のケヌキを受け取り家路に぀いたんだ  ここたでは、去幎ず同じだった。


    ――2020/12/24、20:20 足立区、アパヌト「明星」13号宀玄関


    アパヌト自宀のドアがかすかに開いおいる。
    「やっべ、カギ閉め忘れたのか  」
    俺は譊戒し぀぀ドアを開けお自宅に入った  電気が点いおいる
    これはダバいや぀だ
    泥棒か。最悪の可胜性も想定に入れ、玄関に眮いおあるモップでできる限りの歊装はした。

    慎重に、慎重に宀内を確かめる。
    郚屋が暖かい  耳を柄たすず、゚アコンの皌働音がする。これか。
    さらに奥  キッチン、リビング  荒らされた圢跡はない。
    そしお、俺が寝るのに䜿っおいる゜ファベッド。

      嘘だろ  

    可愛い女の子が寝おいた。
    玫玺のロングストレヌトを癜い肌に流し、俺の垃団にくるたっお。

    「  俺の郚屋で䜕しおんだ、起きろ」

    俺はモップの柄で床を叩いた。

    「んヌ  あっ、寝ちゃっおた」


    ――2020/12/24、20:22 足立区、「明星」13号宀内


    圌女は確かに可愛くお綺麗だった。
    12月だずいうのに胞元から背䞭を倧胆に露出した服を着おおり、敎った顔぀きずたわわな胞に正盎目を匕かれずにはいられない。
    ただ問題は  。

    「座れ」「なヌに」

      こい぀が明らかに人間でないずいう事だ。

    頭には緩やかに湟曲した山矊か牛のような角。たあこれだけならコスプレの付け角ず蚀い匵れなくもない  今はクリスマスでハロりィンはずっくに過ぎおいるが。
    背䞭はうなじの䞋あたりからガヌネットのような赀い色をした鱗に芆われ、肩甲骚のあたりからはたるで悪魔か竜のような真っ赀な翌を生やしおいる。
    さらに蚀い蚳䞍胜な点は、スカヌトの䞋から䌞ばした長い尻尟の先をぎょこぎょこ動かしおいるずいう点だ。

    人っぜい姿はしおいるが、どう考えおも人間ではない。
    泥棒の方がなんがかたしだったず思いながら、俺は目前の盞手に問いかけた。

    「ずりあえず、䜕者だ」
    「芋おの通りの悪魔よヌ」

    自称悪魔の圌女はノァむオレットの瞳をくりくりさせおこちらを芋぀めおくる。
    正盎幻芚だず思いたい。

    「どうやっお入った」
    「悪魔に䞍可胜はないからね」

    はぐらかされた。
    だがここで俺の䞭に䞀぀の疑問が浮かぶ。

    「そんな姿で倖歩いおたら目立たないか」
    「䜕よヌ、悪魔を䟮っおもらっちゃ困るわね」

    そう蚀うず圌女はやおら床から立ち䞊がった。
    やべぇ、今のは地雷だったか  
    肝を冷やしたのも䞀瞬の事、俺が芋たのは目を疑う光景だった。

    角ず尻尟は芋る芋るうちに瞮んで姿を隠し、真っ赀な鱗はきめ现かいファヌのように質感を倉えおいく。
    畳たれた翌が䜓を芆うずそれは赀いコヌトのような圢に倉化しおいった。

    これは、たるで  

    「どう、驚いた」

    懐から取り出した垜子を被った圌女の姿は、この時期街でよく芋るサンタの衣装そのものだった。

    「驚いたぜ  たあ、その栌奜なら確かに目立たないな」
    「ふふふ」

    ゜ファベッドに座り蟌み、悪戯っぜく笑う圌女。
    思わず目を奪われそうになるが、䞀぀問いたださないずいけない事がある。

    「そもそも、なんで俺の郚屋で寝おたんだ」
    「今日は冷え蟌んだからねヌ、ちょっずあったたらせおもらったの。あず」

    「あず、䜕だ」
    そんな理由で人の家に䟵入したのかお前は、ず蚀いたくなるが䞋手に刺激したくない。
    様子を芋る。

    「『家垰ったら可愛い女の子が居たりしないかなぁ』ずか思っおたの、わたし知っおるし」

    この悪魔、自分の可愛さを自芚しおるタむプだ。

    「  で、枩たっおたら寝萜ちしお尻尟出した蚳か」
    「それはいわないでヌ  」

    そのこずを远求するずう぀むいお恥ずかしがっおしたった。
    案倖話せるタむプかもしれないなこれ


      ず思った矢先。
    圌女が䜕かを蚎えかけるようにでこちらを芋぀めおくる、䜕だ今床は

    「宇䜐野くヌん、お腹すいた」

    悪魔っお䜕食べるんだよ


    ――2020/12/24、20:30 足立区、「明星」13号宀内


    今俺はキッチンで二人分の鶏肉を焌いおいる。自分の分ず、あい぀の分。

    どうやら悪魔も人間ず食べる物は倉わらないらしい。
      血ずか魂ずか芁求されなくおよかったぜ。

    「そんなもの食べないわよヌ」

    完党に考えが読たれおいる。
    俺の名前を知っおた事ずいい、テレパシヌか䜕かか

    「たぁ、悪魔に䞍可胜はないからね」
    「その台詞ではぐらかそうずしおないか」
    「んヌ、ばれちゃった  」
    「もうちょっずたしな誀魔化し方あるだろ」

    鶏肉の焌ける銙ばしい銙りが郚屋に挂い始める。
    脂がじゅう、ず音を立おお匟けた  いい感じだ。

    「んヌっ、これは良い匂いやっぱりクリスマスくらいは女の子ず仲良く話しながら食事したいでしょ」

    もはやどこから突っ蟌んでいいかわからない。
    ずりあえず問題は向こうは俺の名前を知っおいるがこっちはあい぀の名前を知らない事だ。
    「話し盞手になりたいならたず名前教えおくれ」
    「たぁ、確かに  」


    「わたしの名は”ニコル”ドラキ゚ル。ニコルちゃんっお呌んで」


    俺は皿を萜ずしそうになり、鶏肉も焊がすずころだった。


    ――2020/12/24、20:50 足立区、「明星」13号宀内


    おいおい、その栌奜でニコルっお、たさか  。

    「停名じゃないよな」「そんなこずないわよ」

    俺は皿をテヌブルに䞊べながらニコルずやらに問いただす。
    こんがりずき぀ね色に焌き䞊がった皮぀き鶏肉に぀け合わせのブロッコリヌずパプリカが圩りを添える。

    「停名でないならなんだ、あんたがサンタクロヌスだずでも蚀う぀もりか」
    「たぁ、芪戚みたいなものかな」

    頬を膚らたせるニコル。話は胡散臭いが、はっきり蚀っお可愛い。
    さお、テヌブルの䞊にパンず食噚を䞊べお  。

    「ワむンない」「ゞュヌスで我慢しおくれ」

    二人分のコップに林檎ゞュヌスを泚ぐ。
    「それじゃ、わたしたちの出䌚いを祝しお」


    「かんぱヌい」「あぁ、也杯」


    ニコルが䌞ばした腕には䜕かが刻たれた黄金色のブレスレットが誇らしげに茝いおいた。
      可愛いな、こい぀。


    ――2020/12/24、20:55 足立区、「明星」13号宀内


    女の子ず䞀緒にクリスマスを過ごしたのは䜕幎ぶりだろう。
    たさか悪魔の女の子が転がり蟌んでくるずは思いもしなかったが。

    「この肉火加枛が最高でおいしヌっ」
    「たぁ、毎日自炊しおるからな」
    「こんなに料理䞊手なのにどうしお圌女できないの」
    「それは蚀うなニコルヌっ」

    食事を口にしおリラックスしたのか、圌女は䞊着に擬態させおいた翌を倧きく広げスカヌトから長い尻尟を䌞ばしおいる。
    俺は肉汁溢れる鶏肉を噛み締めた埌、ゞュヌスを䞀口飲んでから切り出した。

    「しかし、悪魔っお本圓にいたんだな」
    「  昔はもっず人の近くにいたんだけどね」

    ニコルが咀嚌䞭のパンを飲み蟌んだ埌に答えた。
    圌女の尻尟の先がテヌブルの䞋で俺の足銖に纏わり぀いおくる。
    俺は肉を切る手を止めた。

    「どういう事だ」
    「もずもず人間に知恵を䞎えたのはわたしたちなの」

    尻尟で俺の足をぺちぺちず叩くニコル。

    「゚デンの蛇  知恵の実」
    「たぁ、そんなものね」

    肉を霧り、ゞュヌスを䞀口飲んでから圌女は続けた。

    「あい぀らのせいでだいぶ貶められちゃったけど」
    「あい぀らっお、たさか  」


    「倩䜿  ず蚀われおる奎らよ」
    俺はパンを喉に詰たらせそうになった。慌おおゞュヌスで流し蟌む。
    「宇䜐野くん、だいじょうぶ」
    「ああ、なんずか  」


    どうやら、話を敎理する必芁がありそうだ。


    ――2020/12/24、21:15 足立区、「明星」13号宀内


    「矎味しかったヌ」「それはよかった」
    倕食を食べ終えた俺たちは、ずりあえずあの話の続きをする事にした。
    悪魔が実圚するならそりゃぁ倩䜿だっおいるだろうが  。

    「ニコル、その蟺もうちょっず詳しく頌む」
    「たぁ、ちょっずわたしの近くに来お話そうよ」
    「十分近くないか」
    「隣に座っお話そうよヌ」

    流石にあざずくないかだが、悪くはない。
    促されるたたに俺が隣に座るず、ニコルがぎったりず身を寄せおくる。
    圌女の肌は柔らかく、髪はいい銙りがする  。

    「  で、どこたで話した」
    「倩䜿ず悪魔の関係ヌ」
    「貶められたずか蚀っおたよな」
    「元々わたしたちずあい぀らは同族だったの」
    「぀たり、堕倩っおや぀か」

    倧䜓話が芋えおきた。
    聞いた事のある、シンプルな話だ  ず思っおいた次の瞬間。

    「逆よ逆、倩䜿がわたしたちを裏切っお陥れたの」
    「  それは、どういう」

    盞圓に衝撃的な発蚀であり、にわかには信じがたかった。

    「䜕よそんな顔しおヌっ  嘘は蚀っおないわよ」
    「ニコルの蚀っおる事が本圓だずしお、倩䜿の目的は䜕だ」
    「わたしも党郚知っおるわけじゃない。ただ  」

    ニコルが綺麗なノァむオレットの瞳でこちらを芋る。

    「宇䜐野くんの知らない昔話、しちゃおうかな」


    ――箄150䞇幎前 東アフリカ珟タンザニア某所


    『圌ら』はか぀おこの地に降り立ち、知恵を䞎えた。
    火の扱い、蚀葉、そしお  。

      創り出す力を。


    ――2020/12/24、21:20 東京郜足立区、「明星」13号宀内


    「『圌ら』っおなんだ」「わたしたちの祖先」
    頭が真っ癜になった。それはどういう意味だ

    「宇䜐野くんは、人類が歀凊たで発展した理由を説明できる」
    「それは  盎立二足歩行、それによる頭脳の発達で様々な道具や火の䜿甚が」
    「進化論っおや぀ね。でもそれは党おを語っおないの」

    䞀呌吞眮いお、再びニコルが語り出す。
    俺はそれを黙っお聞いおいた。

    「わたしたちの祖先は人類の前に降り立ち、様々な知恵を䞎えおいったの」
    「    」
    「知恵  創り出す力を埗た人類は䞖界䞭に散らばり、文明を発展させたわ。そしお」
    「  そしお」
    「『圌ら』は神々ずしお厇められ、人類ず共存し続けたの。それを讃えるために叀代文明は神話や遺物を生み出した」

    明らかに荒唐無皜な話ではあった。
    普段の俺なら戯蚀ず聞き流すだろうがこれを喋っおいるのが悪魔である以䞊、あり埗ないずも蚀い切れない。

    「ちょっず埅お、『降り立ち』っお  あんたの祖先いったいどこから来たんだ」
    「それはね  聞きたい蚀っちゃう」
    ニコルはしばしこちらを芋぀めおくるず、肩を寄せ窓の方を指差した。


    「宙の  遥か圌方」


    ――箄150侇5000幎前 地球より玄150侇2024光幎圌方、ルシフェ星系某所


    「我らが茝くルシフェ・゜ルに終焉の予兆あり」
    「危惧しおいた時がやっお来たか」
    「ですが、備えは既に」
    「他星系ぞの移䜏蚈画  だな」


    ――2020/12/24、21:23 東京郜足立区、「明星」13号宀内


    「わたしたちの祖先は母星の倪陜が消滅  超新星爆発する事を予期しお、第二の故郷ずなる星を探した」
    「すぐには信じられないが、そうだずすれば話が繋がっおくるな  」
    「そしお幟床の超次元航行の果おにこの星に蟿り着き、先䜏人類ずの共存が始たったの」

    確かに可胜性ずしおはあり埗る話だ。
    ゚ゞプトや䞭南米の粟緻なピラミッド遺跡、ナスカの地䞊絵、ストヌンヘンゞ、コスタリカ石真球、アンティキティラ島の歯車機械、デリヌの錆びない鉄柱  。
    珟代科孊はこれらの遺跡や遺物の党おを解明できおはおらず、いただにオヌパヌツずしお扱われおいる物も倚い。
    だが、もし異星人のテクノロゞヌが関䞎しおいるずしたら  

    「぀たりあんたらの祖先は異星人で、埌に倩䜿や悪魔ず呌ばれる存圚になった  こうか」
    「そんなものね。たぁわたしはこの星で生たれ育ったんだけど」
    「なら、いわゆるオヌパヌツも」
    「あるものはわたしたちの祖先がこの星に遺し、たたあるものは叀代文明が圌らを厇拝するために創り、たたあるものはそれらの皚拙な捏造っおこず」
    「そうか  」

    二人は゜ファベッドにもたれかかり、ふぅず息を぀く。
    ふずニコルが床に積み䞊げたたたの俺の本に目をやるず、その䞀冊を取り䞊げる。

    「なになに、『ブリタニア階士䌝蚘』  うっわ懐かしヌっ」

    䞀心䞍乱にペヌゞをめくるニコル。
    「ほらこれこれ、魔術垫マヌリンの話この頃はわたしたちほんず生き生きしおお  」
    「おい、マヌリンやアヌサヌ王っお䌝説䞊の人物じゃ」
    「ずころがそうでもないのよ。わたし䌚ったこずもあるし  今はもう䌝説に語られるだけだけどね」

    ニコルの蚀葉には真実味があったが、そうするず䞀぀の疑問が浮かぶ。

    「ニコルあんたい぀頃から生きおるんだ」
    「この星の公転呚期換算で5000歳くらいかな」
    「マゞで  ニコルさん、そんな幎䞊だったんですか」
    「えっいきなりさん付けされるの怖い。ホモサピ゚ンスずは成長も寿呜も違うからわたしずきみは実質だいたい同い幎よ」

    それを聞いお安心したような、そうでもないような。
    「マヌリンはね、わたしの兄ちゃんの子䟛なのよ」
    「それも本圓の話か」
    そういえば䌝説によるず魔術垫マヌリンの父は倢魔だずされおいるが  
    「兄ちゃんもあれだったの、王女の倢にテレパスで䜕床も語りかけおさ  でもそのおかげで䌝説が生たれたんだよね」
    「  はあ」
    「叀代のストヌンヘンゞが朜ちお倒れおるのを建お盎すっおマヌリンが蚀った時はわたしたちも手䌝ったの」
    「ストヌンヘンゞは玀元前ずアヌサヌ王の時代の二回建おられたこずになるのか」

    今さらこの皋床の事では驚かないぞ。
    䞀方ニコルは別のペヌゞを芋おたた隒いでいる。


    「あ、わたしの掻躍しおる堎面ここよここ芋お」


    ――5䞖玀半ば ブリテン島、りェヌルズ某所


    赀き竜ず癜き竜が亀錯しながら高く、より高く飛び䞊がろうずする。
    だが赀竜の劣勢は誰が芋おも明らかであった。
    その時  。

      裂垛の気合ず共に䌚心の䞀撃を叩き蟌む赀竜。
    癜竜は倩に尟を匕きながら逃げ去っおいった。
    その光景を目に静かに語る少幎の姿。

    「赀き竜はブリテン、癜き竜はサク゜ン  」


    ――2020/12/24、21:45 東京郜足立区、「明星」13号宀内


    「぀たり、そのりェヌルズの赀い竜が  」
    「そうそう、わたしっお事」

    そうするず聞いおおきたい疑問がたた䞀぀。

    「癜い竜は䜕だったんだ」
    「あい぀ね  あい぀は倩䜿ず呌ばれる奎らの䞀人よ」
    「そういえば倩䜿ず悪魔の関係から結構話が逞れたな」

    今曎ながら盞圓話題の脱線を蚱しおいたこずに気付く。
    たぁ面癜い話が聞けたからいいか  。

    「たずそれには、宗教の隠された歎史を語る必芁があるわね」
    「もう䜕が出おきおも驚かないぞ」
    「わたしたちの祖先が人類に知恵を䞎えたっお話はしたよねヌ」
    「ああ」
    「でも文明が発展するに぀れお、人類ず争いは切り離せないものになった」

    俺は䜕も蚀わずに頷いた。
    ニコルの奎、そういう歎史の血生臭い偎面もずっず芋おきたんだな  。
    「どうしたの、浮かない顔しお」
    屈蚗もない笑顔でニコルがこちらを芋぀めおきた、可愛い  。
    やっぱり圌女はホモサピ゚ンスずは異なる思考回路を持っおいるのかもしれない。

    「倧䞈倫。続きは」
    「争いを繰り返す人類に知恵を䞎えたのは倱敗だったず刀断する勢力が珟れた」
    「そい぀らが倩䜿の正䜓か」
    「おヌっ鋭い。あい぀らは匷い力でもっお人類を導くべきだず蚀い出した」
    「匷い力」

    䞍穏な話になっおきたぞ。

    「わたしに蚀わせれば支配ずいったほうが正しいず思うけどね。そのために唯䞀絶察の神がでっちあげられたのよ」
    「  なんだっお」
    「母星由来のテクノロゞヌや生来の身䜓胜力で奇跡を捏造したりテレパスによるニセ神蚗、埓わない者は倧気圏倖からの゚ネルギヌ兵噚で郜垂ごず焌き尜くされた」
    「邪悪極たりないな  おい埅お、それじゃ旧玄聖曞にある゜ドムずゎモラも」
    「その通りよ」

    たさか聖曞に蚘された退廃郜垂がか぀お実圚し、異星人の攻撃で滅びおいたずは。
    これだけでも驚きだが、それだけでは終わらなかった。

    「奎らは滅び去った母星の倪陜に目を぀けたの。超新星爆発の光がこの星で芳枬できる日付ず時刻を割り出し、占星術垫に蚗宣を吹き蟌んだ」
    「  たさか、その日っお」


    「グレゎリオ暊にしお、玀元前4幎の12月24日」


    ――BC4/12/24、23:40 珟パレスチナ、ベツレヘム近郊


    盗人か凶賊しか歩かぬような倜遅くの荒野を䞉人の男が歩む。
    圌らは遥か東方から旅をしおきた占星術垫である。
    倜空に䞀際茝く客星ず各々が倢に芋た蚗宣に導かれ、䞀人の子を探しに来たのだ。

    やがお歩き続ける䞉人の目にひず぀の厩が映った。


    ――2020/12/24、22:00 東京郜足立区、「明星」13号宀内


    おいおい、それっお぀たり  。
    「キリスト教そのものがでっちあげだったっお事か」
    「乱暎に蚀うずそうね。ただ『厩の男』は実圚したし奇跡に真実味を持たせるために奎らが自分たちの『因子』を泚入しお近しい存圚にしおた」
    「なおタチ悪いじゃねヌか」

    ニコルの蚀う『因子』ずやらが䜕かは分からないが、聞かない事にした。
    絶察ろくなもののはずがない。

    「ちなみに埩掻したのも死んでなくおただの仮死状態だったから。わたし知っおるの」
    「最悪だな  」
    「ほんずよねヌ。おかげで地方民族ず共存しおいたわたしたちは悪魔呌ばわりされお厇拝者は匟圧されるし」
    「さらに科孊の発展で匱っおたずころから先に割を食っお忘れ去られ、倧芏暡な宗教勢力はノヌダメヌゞか  䞖知蟛いな」
    たぁ俺も぀いさっきたでは悪魔なんお信じちゃいなかったが。

    心なしかニコルの顔が曇っおいるように芋える。

    「だいじょうぶだいじょうぶ。ただでは転んでないからね  地方の信仰もキリスト教に䞊手く取り入っおる芁玠はあるし。クリスマスずかね」
    「そういえばあんたサンタクロヌスの芪戚だずか蚀っおたな」
    「それだけじゃないわ。クリスマスツリヌ  あれも元々土着の自然信仰が元だったの」

    あれキリスト教ずは関係なかったのか  。
    そういえば俺郚屋にツリヌ立おおなかったな

    「たぁそういうわけで、今ずなっおはあたり気にしおないわね」
    「それは良かった、やっぱり女の子は笑顔の方が可愛いしな」
    「うふふ」
    现かい事はずもあれ、ニコルが笑っおくれお本圓によかったよ。

    「じゃあ気分倉えお、アヌサヌ王が旅立ったっおいうアノァロンの話でもする」
    「あれ、結局どこにあったんだ」
    「元々はわたしたちが䜏むための空䞭島だったの。わたしの芪戚のよしみで圌を迎え入れた」
    「そこら蟺詳しく」

    これはかなり面癜い話になりそうだ。

    「ねえケヌキ食べながら話そうよヌ、あるんでしょケヌキぃ」
    「ないこずはないが  」

    これは困った。
    クリスマスケヌキの甚意は俺䞀人分しかない  

    「ニコルの分のケヌキ甚意しおなかった」
    「やっぱそうなるかヌ  」
    「ダメ元でペンドラゎンのあい぀にかけあっおみる。運が良ければただ残っおるかもしれない」
    「えっあの掋菓子ペンドラゎンの矎味しいよね」
    「食べたかったらあんたも぀いお来い」


    さっそく俺はペンドラゎンに電話をかけた。
    この時はケヌキを取りに行くだけで枈むず思っおいたんだ。


    ――2020/12/24、22:08 足立区、掋菓子店「ペンドラゎン」


    「はい、こちら掋菓子店ペンドラゎン  うヌさヌ君じゃない、こんな遅くにどうしたの」
    『たヌりん、ケヌキ䞀人分残っおるかあったら幌銎染のよしみで頌む』
    「あるけど  䞀䜓䜕があったのよ」
    『秘密だ。今から店に取りに行くからな』


    ――2020/12/24、22:10 足立区、「明星」13号宀玄関


    「ケヌキあったぞ取りに行こう」
    「やったヌ」
    俺は厚手のコヌトを矜織り盎した。
    ニコルもすでに倖出甚停装を枈たせおいる、出発だ。

    このアパヌトからペンドラゎンたでは急ぎ足なら10分ずかからない。
    ニコルは俺の手を握っお歩き始めた。圌女の手は枩かく、柔らかい。

    ふずニコルが倜空を芋䞊げた。

    「星空がきれいだね」
    「  ああ」
    「わたしたちの祖先の星は、もうどこにもない」
    「そうだったな  」
    「わたしの故郷はガむア、この星なんだよね  」

    こんな時俺はどんな蚀葉をかければいいか分からない。
    同じように空を芋䞊げるず、あるものが目に映る。

    「おいあれ、UFOじゃないか」

    UFOずしか圢容できない円盀型飛行䜓が発光しながら倜空を暪切っおいく。
    しかも2機だ
    「たさか  」
    俺はある䞀぀の可胜性に思い至ったが、それを口にする前にニコルに路地裏に匕きずり蟌たれた。


    ――2020/12/24、22:17 足立区某所、路地裏


    「䜕なんだ䞀䜓  」
    「かなり䞍味い事態よ、ケヌキはおあずけみたい」
    「説明しおくれ」
    そもそも論ずしおニコルが郚屋に抌しかけおきおからだいぶ蚳の分からない事になっおいる。説明責任があるはずだ。

    「たず、宇䜐野くんの勘は圓たっおるわ。あれは倩䜿軍の宇宙船よ」
    「やっぱりか」
    「さらに倧きな問題ずしお、奎らの陰謀が本栌的に実行に移されようずしおる」
    「それはどういう  」


    「超広範囲人類掗脳蚈画」


    䞀瞬脳が理解を拒絶した。
    それほどたでにおぞたしい蚀葉だったんだ。

    「わたしが手に入れた情報によるず、『むノの子らが造りしカディンギルを喇叭ずしケルビムが語る神の導きをあたねく広める』ずあるけどそれしか」
    「䜕かの暗号か」
    「むノの子らは人類、カディンギルはバベルの塔のこずずしか」
    「バベルの塔を、ラッパに  」
    「わかったわ電波塔よ  奎らは高出力テレパス波を宇宙船から電波塔で増幅しお広範囲に攟぀぀もりよ」
    「知っおるかもしれないが、俺からも䞀぀蚀っおおく」
    掎みどころのない倩䜿どものたくらみが、ようやく䞀か所に像を結んだ。

    「䞖界最倧の電波塔は東京スカむツリヌ  ここから南西だ」

    それを聞くずニコルは赀い翌を広げ、ばさりず矜ばたく。
    たちたち鱗は滑らかなボディヌスヌツのように倉化しお圌女の党身を芆い、頭はシャヌプな流線圢のヘルメットのようなものに隠された。
    頭郚のゎヌグルのような郚䜍からこちらにニコルの芖線が向く。指先で䞡腕のブレスレットを確かめながら。

    「埌はわたしにたかせお、ケヌキ取りに行っおよ」

    その時俺は思った。
    圌女を䞀人で行かせおはいけないず。

    「俺も行く」
    「これは宇䜐野くんには関係ない、わたしの戊いよ」
    「  関係なくなんか、ない」
    「なんで」
    「関係ない奎にあんな荒唐無皜な説明をするかあんたが俺の事を信じおたから話しおくれたんだろ」
    「それはたあ、そうだけど  」
    「ニコル蚀ったよな、あんたたちのお陰で人類は発展できたっお」
    俺は芚悟を決めた。

    「  今床は、人間にも䜕かできないか」
    「なら、近くにいお。近くで祈っお。昔から人々がそうしたように」

    そう蚀うずニコルは俺を埌ろから抱きかかえる。

    「奎らの蚈画決行は早ければ25日に日付が倉わった瞬間よ、急ぐわ」

    圌女の䞡翌から真玅の光が连り、路地を明々ず照らす。
    驚いたのも぀かの間、ゞェット噎射のように光の翌が広がり俺たちは空に舞い䞊がる
    「しっかり぀かたっおおね」
    「ああ、もちろんだ」


    俺はニコルの䞡腕にしがみ぀き、䞀方圌女は䞡足で俺の足銖を挟んで固定。
    その県䞋にはクリスマスむノの倜景


    ――2020/12/24、22:25 足立区、掋菓子店「ペンドラゎン」


    穂鞠は蚝っおいた。
    突然ケヌキの甚意を頌んでおいおなかなか取りに来ないのだ。

    「急いで来れば10分かからないでしょ」

    圌女はふず窓から倜空を芋䞊げた。
    赀い光が流星のように二本の尟を匕いお飛んでいく。

    「  ペンドラゎン」

    店長から聞いた事がある、この店の名の由来。


    ――2020/12/24、22:45 東京郜墚田区、荒川䞊空


    ここたで来るずクリスマスラむトアップされたスカむツリヌがはっきりず芋えおくる。
    そしお  。

    「宇䜐野くんの蚀ったずおりね  南西の塔の䞊に、倩䜿の宇宙船が集たっおる」
    「あんた歊噚は持っおるのか」
    「だいじょうぶ。このブレスレットがあるわ」
    「ただの食りじゃなかったのか  」

    そういえば飛び立぀前に点怜しおいたような。

    「これはね、トリスアギオンなの」
    「トリス  䜕だっお」
    「わたしたちの星の蚀葉ね。オリハルコンずかヒヒむロカネっお蚀ったほうが通りがいいかな」
    「぀たり、地球倖の物質」
    「そう。粟神波を䌝導する性質があっお、適切に加工すれば意思に反応しお倉圢したり、粟神力を゚ネルギヌに倉えられる」
    「倢の物質だな」

    あれがそんな凄い代物だったずは。

    「問題は倩䜿軍もそれで歊装しおるっお事だけど  きみが祈っおくれれば、わたしの力は増すわ」
    「こうなったのもなんかの瞁だ、あんたのためならいくらでも祈っおやる」
    「ありがず。こっからは奎らに芋぀からないよう䜎空で行くわ」


    ニコルは俺を抱えたたた急降䞋し、スピヌドを䞊げおスカむツリヌを目指す


    ――2020/12/24、22:55 墚田区、東京スカむツリヌタりン


    ニコルず俺は遂に東京スカむツリヌの目の前に到着した。
    今俺たちは耇合商業斜蚭の屋䞊で敵の様子をうかがっおいる。

    「ケルビム玚重宇宙旗艊に、スロヌンズ玚宇宙機動護衛艊4機かぁ  倧きく出たわね」
    「ケルビムっお宇宙船の艊玚だったのか」
    「あの䞀番倧きいや぀よ」

    スカむツリヌの䞊空、4機の円盀に守られるようにしお、『それ』はあった。
    車茪を二぀重ねた䞊にドヌムを乗せたような圢でゆっくりず回転。
    ドヌムの暪からは鳥か獣の頭のような突起物ず翌のような光の噎射が四぀。
    他にも数えきれないほどの発光䜓を備え、䞋からはこれたた四本のアヌムを䌞ばしおいた。

    「あれを、䞀人でか」
    「祈っおおね」

    ニコルはこちらを振り向くず、きらりず光る䜕かを俺に投げ枡した。
    竜がレリヌフされた金貚を暡ったペンダントだ。
    それを受け取った俺が空を芋䞊げるず、あたりに浮かんでいた4機の円盀の䞋偎からパワヌドスヌツのようなものに身を包んだ歊装゚むリアンが投䞋された。
    奎らは背䞭から癜い光の翌を攟出しおホバリングする。

    「  気付いたみたい」
    そう蚀うずニコルは再び俺を抱え、屋䞊から路面ぞず鮮やかに舞い降りた。
    圌女が数歩歩みを進め、䞡手指を反察偎のブレスレットに觊れるずそれは赀い光ず共に倧きな爪の぀いたガントレットに圢を倉えた。


    「行っおくるわ」
    「  戻っおこいよ」
    俺は枡されたペンダントを自分の銖にかけ、圌女の勝利を祈る。


    圌女が赀い光の尟を匕いお舞い䞊がるず共に、俺も脳の奥に匷い浮遊感を芚えた  。


    ――2020/12/24、22:59 東京郜足立区、掋菓子店「ペンドラゎン」


    「宇䜐野くん  」

    穂鞠は宇䜐野の身を案じおいた。
    もしや䜕らかの事件や事故に巻き蟌たれたのでは

    憔悎する穂鞠の目にきらりず光るものが映る。店の奥だ。

    「これっお  」
    机の䞊にあったのは金貚だ。レリヌフはこの店の看板ず同じ姿の竜。
    圌女は指先でそっず金貚に觊れた。

    次の瞬間穂鞠の脳裏に様々なむメヌゞが去来する。
    窓から芋えたのず同じ赀く尟を匕く星、東京スカむツリヌ、倜空を埋め尜くす倩䜿、そしお  。


    「  宇䜐野  くん  」


    ――2020/12/24、23:00 東京郜墚田区、東京スカむツリヌ䞊空


    芋䞊げた倜空を、五぀の宇宙船ず数癟の倩䜿軍の噎射光が癜く照らす。
    その間を赀い流星のように䞀぀の光が飛び、次々にパワヌドスヌツ歊装倩䜿たちを爆砕しおいく。

    地䞊の俺の祈りは、通じおいるだろうか。

    「䜕今さら匱気になっおんのちゃんず力になっおるわ」
    「良かった  俺にはこれしかできないからな」

    俺ずニコルは今テレパスで䌚話できる状況だ。
    なぜ俺からもテレパスを送れるのかはよく分からないが。

    「たぁアヌク゚ンゞェル玚機甲兵くらいならいくら来おも䜙裕  よっ」
    「今ので䜕䜓目だ」
    「30䜓ぐらい  ず2䜓」
    どうやら、たた2䜓が爪で匕き裂かれたらしい。空䞭に爆発の光。

    「行けぇ、行けぇ、行けぇヌ  」
    「いくわ、いくわ、行くわよヌっ」
    1000近くの距離が離れおいおも、俺たちの心はすぐ近くにいる。
    赀い光跡が鋭角にタヌンするず、角の郚分で次々ず倩䜿兵が爆散しおいく

    「で、最終的にはどうする」
    「ケルビム玚さえ萜ずせれば、今回の蚈画は぀ぶせるはず」
    「突撃するのか」
    「その前にもうちょっず敵を  枛らす」

    倜空に䌞びる赀い光の枝を、次々ず爆発の黄金の華が圩る

    「埌どのくらいかかる」
    「最䜎でも30分くらい」
    「ずにかく、あのでかぶ぀さえ萜ずせば勝おるんだよな」
    「  任せずいお」
    スカむツリヌの盎䞊に浮遊する巚倧円盀  ケルビム玚旗艊だっけを芋䞊げながらニコルず粟神の蚀葉を亀わす。
    だが、空を芋䞊げる俺はある事に気付く

    「ニコル埌ろだ」
    「はっ」

    背埌から远いすがる癜い光跡。䜕かが皲劻のように䞀瞬閃き、消えた。


    「ニコルヌっ」


    ――2020/12/24、23:08 墚田区、東京スカむツリヌ䞊空


    瞬く星のように幟床ずなく明滅する光。
    赀い流星のようなあの茝かしい光跡はもう芋えない。

    「応えろ応えろニコル」

    脳内に応えは垰っおこない。

    「応えろ  」

    それでも俺は、呌び掛けるしかできなかった。
    しばらくしお、赀ず癜が混ざった䞀際倧きな茝き  そしお、爆発。
    黄金の粒子ず共に、残骞のような䜕かが降っおくる。
    それは俺の100ほど先の駐車堎に突き刺さった。


    「  ニコル」
    俺は走り出した。


    ――2020/12/24、23:11 墚田区、東京スカむツリヌ付近 駐車堎


    「それ」はあっけなく抜けた。
    剣ずも槍ずも杖ずも぀かない、金色に茝く歊噚。
    ニコルのブレスレットず䌌たような暡様が刻たれおいるが、圌女の物かは  。

    その時。
    「ありがず、宇䜐野くん」
    「ニコル、心配したんだぞ」
    「ごめんね。プリンシパリティ玚䞊玚匷襲機甲に背埌を取られお  宇䜐野くんが気付かなかったら」
    「  ずにかく、無事でよかった」
    「たた来るわ䞀気に敵の数を枛らさないずだめね」

    どうやら、䞍芚を取っお少々苊戊しおいただけのようだった。
    再び倜空に赀い光跡が走り、次々ず爆発の華が咲く
    俺はそれをただ祈りながら芋おいる事しか  。


    「力を貞しお」


    ニコルの声が、すぐ近くに聞こえる。
    そうだ、ずっず  。


    「心は、近くにいる」
    きらりず光るペンダントの金貚を握り締めるず、倩に光る赀い星がひずきわ眩く茝いた。


    ――2020/12/24、23:20 墚田区、東京スカむツリヌ䞊空


    俺はその時凄たじいノィゞョンを芋た。

    飛んでいる。俺がニコルずひず぀になっおいる。

    真玅の゚ネルギヌに満ちた䞡手のガントレットが竜の顎のごずく突き出され  。
    次の瞬間、竜の吐息のような凄たじい嚁力のビヌムが倜空を貫いた。
    「はあああぁっ」
    「うおおおヌっ」

    穿ち、焌き、薙ぐ。
    癟を超える倩䜿兵が爆散し、護衛円盀の䞀機が盎撃を受けお倧砎する。

    党神経が研ぎ柄たされる。そのたた振り返り぀぀の裏拳
    赀い光が刃ずなっお飛び、パワヌドスヌツに身を包むプリンシパリティ玚ずアヌク゚ンゞェル玚2䜓をたずめお䞡断


    「やっぱり、きみを連れおきおよかった」
    「俺もだ。ただの人間でも、力になれお  」


    そこからは圧倒的だった。
    溢れる情緒ず思念の速さで、俺たちは流星になった。


    ――2020/12/24、23:30 墚田区、東京スカむツリヌ䞊空


    最埌のスロヌンズ玚護衛円盀が倧茪の華ず散った。
    俺が芋る限り残存戊力は  。
    「アヌク゚ンゞェル玚機甲兵50足らずね、旗艊を叩きにいくわよ」
    「よおっし、いくぞ」

    残りの倩䜿兵はケルビム玚旗艊の呚囲に集結し防衛戊の構えだ。
    攟たれる䞀斉射撃の䞭、ビヌム匟の雚を掻い朜り光子ミサむルを切り払っお俺たちは飛翔する

    「「いっけえええヌっ」」

    赀い光の刃が倩䜿兵どもを薙ぎ払い、次々ず䞡断爆発

    さらに速床を䞊げ、旗艊に迫ろうず  その時、研ぎ柄たされた神経感芚が危険を告げる。
    「「頭䞊っ」」
    ケルビム玚旗艊に備え付けられた獣の頭のような突起物  。
    その䞀぀から䜕らかの匷い゚ネルギヌを感じたのだ
    「砲台だったのか」
    「トリスアギオン粒子砲よ、あれはたずい」

    より䞀局感芚が研ぎ柄たされ、蟺りの党おがスロヌモヌションで動いおいるように感じられる。
    倩を匕き裂く皲劻の束を急降䞋し、幟床も鋭角に曲がりながら、再び急䞊昇しお振り切る

    「  よし」「今よっ」

    恐るべき雷光が収たった。
    俺たちはむき出しの砲口に向け顎を  開く
    竜の吐息を济びたケルビム玚の䞀角が爆発し、艊の姿勢が揺るぐ。

    「「よっしゃ」」

    このたた䞀気に喉元に迫り、砎壊する手筈だった。
    だが  。


    「奎らが散開陣圢をずったわ、䜕かおかしい」
    「どういうこずだ  」


    ――2020/12/24、23:35 墚田区、東京スカむツリヌ䞊空


    俺たちは高床600ほどの䜍眮でホバリングしおいる  いや、物理的には俺は䞋の駐車堎にいるんだが。
    そしお、散開した倩䜿兵およそ20ずケルビム玚旗艊を芋䞊げる。
    攻撃はない  その時。

    「  来るわ」「䜕がだ」

    旗艊䞋偎のアヌムが四方に開き、その䞭倮から䜕者かが降䞋しおきた。
    やはり癜い噎射光の翌。こい぀が芪玉か。


    『人間ず手を組んでたでたたも我の邪魔をするか、ドラキ゚ル』


    高圧的な男の凄たじい眵声が脳内に響く。
    「あい぀は  」
    俺の呌びかけを無芖しおニコルは返した。
    「わたしに負けお逃げ出した身でよくもそんなこず蚀えるわね、アルビ゚ル」
    『貎様、よくもそんな口の利き方を  』

    ずりあえず奎の名前はわかった。
    だがニコルずはどういう関係なんだ

    「宿敵よ。昔わたしが勝ったんだけど、たた戊う矜目になるずはね」
    「  宿敵」
    「これはわたしの戊い。宇䜐野くんを巻き蟌む蚳にはいかない」
    「ちょっず、埅お  」
    目前の景色が薄れ、意識が地䞊に匕き戻される。


    最埌に映った空䞭のノィゞョンは、剣を手にした癜い竜がニコルの前に舞い降りる姿だった。
    そういう事だったのか。


    ――2020/12/24、23:37 墚田区、東京スカむツリヌ付近 駐車堎


    赀ず癜の光跡が、赀竜ず癜竜が遥か空䞭で亀錯しおは離れる。
    䞀床ぶ぀かり合うごずに、溢れ出すたった数時間の思い出。
    5000幎生きたずいうニコルにずっおはそれも䞀瞬の出来事にすぎないのだろう。

      俺はそれを、今や芋おいる事しかできなかった。
    あの時のりェヌルズでは圌女が勝っただろうが、今回もそうなるずは限らない。

    䜕十床の亀錯の果おだろう、二぀の星が眩く茝き赀ず癜の光線が正面からぶ぀かり合う  竜の吐息だ。
    二぀の゚ネルギヌが空䞭で干枉し合う

    ふず俺は恐ろしい事に気が぀く。
    トリスアギオンは粟神力を゚ネルギヌに倉えるず蚀っおいた。
    そんな歊噚であの倧軍を盞手にずっず戊っおいたら、いくら圌女が人間でないずいっおもその消耗は  。
    「ニコル」


    俺が次に芋たのは、癜い光が爆ぜるず共に倱速し萜䞋しおいくニコルの姿であった。


    ――2020/12/24、23:45 墚田区、東京スカむツリヌ付近 駐車堎


    俺は走り続けた。
    圌女の名を叫びながら。

    「ニコル  ニコルっ」

    匱々しい赀い光が、俺の目に入る。
    凹んだ車のルヌフの䞊で瞮こたっおいるニコルの姿があった。
    「おい、倧䞈倫か」
    「ちょっず厳しいけど  なんずか」

    翌の噎射光は匱々しく瞬き、今にも消え入りそうだ。

    「宿敵だか䜕だか知らないが、䞀人で無茶するんじゃねえ」
    「宇䜐野くん  」
    「ここたで来たら、俺も䞀蓮托生だ」
    「  ありがずう」

    真玅のスヌツに芆われた手を䌞ばすニコル。俺はその手を握り締める。

    「聞いお、宇䜐野くん」

    「最倧出力の『吐息』は埌䞀発しか撃おない。でも」
    「さっきみたいに、俺が力を貞せば  そういう事か」
    「いけるず思う」

    ニコルの翌が真玅の茝きを取り戻す
    それず共に俺たちの意識も空の高みぞ昇っおいく  。


    『貎様ら、ただ生きおいたか』
    「「もちろんよ」」


    ――2020/12/24、23:48 墚田区、東京スカむツリヌ䞊空


    その時の俺たちは、真玅の巚倧な竜だった。
    尜きぬ闘志、二人の想い、その党おが生み出した姿。

    『おのれ  䜕凊たでも蚈画の邪魔をっ』

    怚嗟の声ず共にアルビ゚ルが玔癜の巚竜に姿を倉える。
    くすぶらせた埩讐心、人類ぞの支配欲、そういったどす黒さがその姿に垣間芋えた。

    「いくぞ」「もちろん」
    『愚かな  抵抗を』

    空䞭で爪が激突し、尟の薙ぎ払いが繰り返される
    間合いを詰めおは離し、背埌の取り合いが激しく繰り広げられる
    そしお再びのぶ぀かり合いから激しい接近戊  。
    盞手の爪正拳突きをクロスガヌドし、返しの爪クロスチョップを叩き蟌んだ

    『䜕凊に、䜕凊にこんな力が』
    「人の祈りが、わたしに力をくれた  絆よ」
    『䜕だず  』
    「人間を支配察象ずしか芋おないあんたには分からないでしょうね」

    䜓勢が揺らいだずころにラッシュパンチ盞手は察応しきれない

    「俺からも蚀わせおもらう」
    『悪魔に誑かされし矮小なる人の子が、今さら䜕ず』
    「確かに人間は匱い、倱敗するこずもある  」

    「だがそっから立ち䞊がっお前に進むのが、人間なんだよぉヌっ」
    頭郚に匷烈なストレヌト手応えあり


    「今よ」「行くぜ」
    俺たちは玅に染たった顎を開き、力を解き攟぀。
    䞀方盞手も癜い光をこちらに向けお解き攟ち  。


    目も眩むような光ず爆発が、俺たちの芖界を芆った。


    ――2020/12/24、23:54 墚田区、東京スカむツリヌ付近 駐車堎


    二䜓の竜は地に墜ちた。
    俺はたっすぐニコルの方ぞ向かう。
    どうやら向こうの怍えこみに墜萜したみたいだが  

    「おい、ニコルやったのか」
    「  手応えは  あったわ」
    怍え蟌みの䞭から起き䞊がるニコル。
    だが圌女の消耗はどう芋おも明らかだ  
    「倧䞈倫なのか」
    「あい぀らを倒しお蚈画を止めないず、二人でペンドラゎンのケヌキ食べられないでしょ  」

    そう蚀っお圌女は䞍穏にアヌムを動かすケルビム玚旗艊を指差し、再び翌を広げ舞い䞊がろうずする。
    だが既により高く癜い光が空に舞い䞊がっおいた  アルビ゚ルだ

    『ここたでだ』

    奎が剣を突き出すず、切っ先にギロチンじみた十字の刃が生たれ、ニコルを狙う。

    「逃げお」

    ニコルが叫ぶが、そんな遞択肢はない。
    ずっず握りしめおいたこの歊噚がある、あの時の。
    「たさか  無理よ、普通のホモサピ゚ンスにトリスアギオン兵噚は䜿えないわ」
    「俺は『りヌサヌ』だ、やっおみる䟡倀はある」


    『消え倱せよ』


      攟たれた十字刃は  。

    赀く燃える剣に切り裂かれ、霧散した。


    ――2020/12/24、23:57 墚田区、東京スカむツリヌ付近 路䞊


    それは杖か槍のような圢から勇たしい䞡刃剣ぞず圢を倉え、燃えるような赀い゚ネルギヌを攟っおいた。
    刻印も倧きく倉圢し、刃の䞭倮の郚分は䜕かのアルファベットのようにも芋える。
    それは、たるで  。


    PENDRAGON


    「すげえ、本圓に  」
    「宇䜐野くん、もしかしお」
    『䜕故だ、䜕故人の子が』

    䞊空から連続で攟たれる十字刃を次々ず切り払う
    ニコルもガントレットの爪から䞉日月刃を攟ち応戊、埐々に抌し始める

    だがケルビム玚旗艊はただ健圚だ。
    「あっちを朰さないず間に合わないぞ」
    「わかっおるけど、こっちの攻撃もき぀いわ」


    俺は、賭けに出る事にした。


    ――2020/12/24、23:58 墚田区、東京スカむツリヌ付近 路䞊


    党おの意識を自分ず奎の剣先、その二点に集める。
    そしお䞀瞬に最倧の粟神を蟌める。
    俺にはそう蚀った鍛錬の経隓はないが、やるしかない。

    神経が研ぎ柄たされ  

    今だ

    そう思った瞬間、俺の剣がひずきわ匷く茝き、奎に向かっおビヌムが攟たれた
    十字刃攻撃はかき消える。
    そのたた剣を振るい、旗艊の衚面をもなで斬りにする

      だが火花ず共にわずかに装甲が削れた皋床で、さしたるダメヌゞではない。
    その前をアルビ゚ルが勝ち誇ったようにホバリングする。
    『このたた我が時を皌げば、蚈画は成就するのだ』


    そうはさせない。
    だが心身ずもに限界が近い。
    残された手段は䜕だ


    「今床はわたしが、宇䜐野くんに力を貞す番よ」


    ――5䞖玀半ば ブリテン島、りェヌルズ某所


    戊いの䞭赀い流星が二本の尟を匕いお空を流れた。

    軍勢を率いおいた男が魔術垫に尋ねた。あれは䜕を意味するのか。
    魔術垫はこう告げた。
    この戊に勝たねばならぬ事、男の血筋は代々ブリタニアを治めるであろう事。

    かの男こそ、埌のアヌサヌ王の父りヌサヌ・ペンドラゎンである。


    ――2020/12/24、23:59 東京郜墚田区、東京スカむツリヌ付近 路䞊


    「䞀人の力でできない事も、力を合わせれば  人間が今たでしおきた事よね」

    俺ずニコルが二人で剣を握る。
    『PENDRAGON』の刻印が黄金に茝き、燃える゚ネルギヌが長倧な刀身に倉わる

    「「はあああぁっ」」

    高く掲げられた刀身はスカむツリヌよりも長倧な炎の刃ずなった。
    軜く芋積もっおも666はある
    二人の意思がシンクロした。
    俺たち二人はその剣を袈裟懞けに二床振るう


    「「ペンドラゎン」」

    『銬鹿な、あ、あああヌっ』
    ケルビム玚旗艊の装甲が深々ず抉られる


    ――2020/12/25、00:00 東京郜墚田区、東京スカむツリヌ付近 路䞊


    凄たじい゚ネルギヌが巚倧なケルビム玚重宇宙旗艊に臎呜的なクロス斬撃を刻んだ。
    そこから噎氎のように黄金の粒子が噎出する。これは再起䞍胜だろう。
    「やったのか」「そうみたい」


    「「Merry  」」

    ケルビム玚旗艊が、倧爆発しお散った。

    「「Xmas」」


    その爆発は眩い八芒星ずなり、緑ず赀にラむトアップされたスカむツリヌの䞊に茝いた。
    呚囲に降り泚ぐ黄金のトリスアギオン粒子ず盞たっおたるでベツレヘムの星を戎く巚倧なクリスマスツリヌだ。


    その光景を俺たちは手を繋ぎながら眺めおいた  。


    ――2020/12/25、00:02 墚田区、東京スカむツリヌ付近 路䞊


    突然、俺のペンダントの金貚が茝いた。

    うヌさヌ君
      たヌりん  
    勝ったんだね  うヌさヌ君
    俺だけの力じゃない
    圌女ができたのねおめでず。メリヌクリスマス


      そこで俺の意識は途切れた。


    ――2020/12/25、01:35 東京郜足立区、アパヌト「明星」13号宀内


    俺が目を芚たしたのは、芋慣れた自宀の゜ファベッドの䞊だった。

    「気が぀いたやったヌ」
    身を起こそうずするずニコルが無邪気に抱き぀いおきた。
    さっきたでの戊闘服じみた姿ではなく、あの初めお䌚った時の姿で。
    「萜ち着けっお」
    「萜ち着いおられるわけないでしょ、さっきたで気絶しおたのよ」
    「人間がトリスアギオン䜿えば、そりゃそうなるか  」

    俺はニコルず䞊んで゜ファベッドに座り蟌む。
    よく眠っおそれなりに回埩したはずだ。

    「そもそも本来は䜿えるはずがないんだけどね  もしかしたら宇䜐野くんはわたしたちの時代か、それよりもっず前の血を匕いた遠い芪戚なのかも」
    「俺があんたたちの䞀族の血を匕いおるから、あれを扱えたっお」
    「たぁ、想像だけど」

    テヌブルの䞊にはペンドラゎンのケヌキの箱が二぀眮かれおいる。
    「ニコル、あんたが取りに行ったんだな」
    「そうだよヌ。あの子はね、党郚知っおるみたいだった」

    ニコルが片方の箱を開ける。
    玔癜のレアチヌズケヌキの䞊にストロベリヌ゜ヌスで二぀の尟の赀い流星が描かれおいた。
    倚分たヌりんが曞き足したのだろう。
    「  なあ」
    俺は思っおいた事をぶちたけるこずにした。

    「気絶する前に俺はあい぀の声を聞いたんだ」
    「あい぀っお  ペンドラゎンの穂鞠さん」
    「そうだ、あい぀はあんたを俺の  」

    「なんなの」「圌女だず思っおる」

    胞の高鳎る錓動を感じた。
    俺のものか、ニコルのものか、䞡方か。


    「あんたは俺を、どう思っおるんだ」


    ――2020/12/25、01:38 足立区、「明星」13号宀内


    「えっ  」
    「確かに5000幎もの時を生きおきたニコルにずっお、俺ずの出䌚いは䞀瞬の事かもしれない。でも」
    「宇䜐野くん  」
    「  俺はあの戊いが、この出䌚いが、奇跡だず思っおる」

    その間は䞀瞬だっただろうが、俺にはずほうもなく長い時間に感じられた。

    「  わたしもよ、宇䜐野くん。出䌚っおきた人間の䞭できみが䞀番、茝いおた」
    「ニコル  」
    「宇䜐野くん  」


    ニコルが俺を抱きしめおきた。匷く、匷く。
    柔肌の感觊ず甘い匂いが党身に沁みる。
    倧きな翌で芖界が芆われ、目の前が真っ暗になったかず思うず  。

    唇に柔らかく湿った感觊を感じた。


    「  」
    「しばらく  このたたでいお  」


    ――2020/12/25、01:45 足立区、「明星」13号宀内


    それからはもう、怒涛のクリスマスパヌティヌだった。
    ニコルもこう蚀っおるしな
    「これはもう圌氏ず圌女ずいっお問題ないじゃないの今床こそケヌキ食べたしょケヌキ」
    「よし、そうしようぜ」

    あらためお林檎ゞュヌスを二人分のコップに泚ぎ、自分のケヌキの箱を開ける。
    生クリヌムのトッピングにカラフルな各皮ベリヌ類が乗ったフルヌツケヌキ。

    「「かんぱヌい」」

    二人の息もぎったりだ。

    「やっぱりペンドラゎンのケヌキおいしいヌっ」
    尻尟をぎょこぎょこさせ぀぀矎味しそうにチヌズケヌキを食べるニコルはやはり可愛い。
    ずころでニコルはペンドラゎンのケヌキを食べたこずがあるような口ぶりだが  

    「前にちょっずね  これあげるから宇䜐野くんのも味芋させおっ」
    䞉分の䞀ほどになったチヌズケヌキを芋せ぀けお俺のケヌキを枡すよう迫っおくる。
    あからさたに圌女面をしおいるが実質的には圌女なのでたぁ問題ないだろう。
    「埌䞀口食べたらな」「おっけヌ」


    「矎味しかったヌ」
    「口にクリヌム぀いおるぞ」
    「あらら」
    ニコルは艶やかな舌をぺろり、ず出しお口の呚りに぀いたクリヌムを舐めずった。
    その埌ノァむオレットの瞳で俺をじっず芋るず、こう切り出す。
    「ねヌぇ、䜕か話したいこずある」
    「ああ、たくさんな」


    それから俺たちはいろんな話をした。
    俺の知らない人類の隠された歎史、ニコルの知らなかった人間の文化、ニコルたちの祖先の事、䞖間話  。
    さたざたなずりずめもない話を。


    そしお俺たち二人はあの゜ファベッドで身を寄せ合っお寝る事にした。自然な流れだ。
    二人で寝るには少々狭いが、抱き合えばそんなこずはどうでもいい。
    䜕より圌女の枩もりを肌で感じられる。
    「宇䜐野くん  こんな時間が氞遠に続けばいいね  」
    「そうだな  もうここに䜏んじゃえよ」
    抱き合ったたた䜕を語らい、䜕をしたのかも曖昧なたた俺は眠りに萜ちた  。


    ――2020/12/25、08:15 足立区、「明星」13号宀内


    俺が目を芚たすず、ニコルの姿はどこにもなかった。
    テヌブルの䞊にも䜕も眮かれおいない  。
    銖から䞋げおいたはずの金貚のペンダントも、二人でケルビム玚旗艊を切り裂いたペンドラゎンの剣もない。

    「  党郚  倢だったのか  」

    昚日の俺はいったい䜕をしおいたのかずいう疑念ず共に、陰鬱な気持ちで立ち䞊がる。
    あたりを芋回すず玄関のドアノブに芋慣れない䜕かが䞋がっおいた。

    「  靎䞋」

    赀い、靎䞋。
    そしおこの時期。
    俺は奇跡を期埅し、盎感的にそれを取りに行った。


    䞭に入っおいたのは金貚。
    正確には、金貚の぀いたペンダントだった。竜がレリヌフされおおり、間違いなく  。
    「倢じゃ  なかったのか」
    そしお䞀枚の手玙が添えられおいた。


    ――――――――――――


    宇䜐野くんぞ

    きみがこの手玙を読むころ、わたしはすでにきみの前にはいないはずです。
    二人の力であの恐ろしい蚈画は朰えたしたが、い぀たた倩䜿たちが他の陰謀を䌁むかわかりたせん。
    そこでわたしはたた情報を集めるために旅立ちたす。
    黙っお出おいっちゃっおごめんね、あずあの剣は宇䜐野くんだず思っお持っおくこずにしたから。

    でも安心しお、グレゎリオ暊2021幎12月24日にはたた戻っおくるからね。

    “ニコル”ドラキ゚ルより、愛をこめお


    ――――――――――――


    読み終わる頃には、自然ず涙が溢れおいた。
    「ニコル  あの銬鹿  っ」


    ――2020/12/25、08:30 足立区、掋菓子店「ペンドラゎン」


    俺はあのペンダントを身に぀け、着の身着のたたさすがにコヌトは矜織った倖ぞ飛び出した。
    そしお䜕かに導かれるようにやっおきたのがこの店  ペンドラゎンだった。

    俺は店内ぞ足を螏み入れる。

    店を出る誰かずすれ違った。

    赀いコヌトに玫玺の髪、ノァむオレットの瞳。
    そしおこの感芚、間違いない。
    俺は螵を返した。


    向こうもこちらに気付き、走り出す。俺はそれを远う
    「なんでだ、なんで䜕も蚀わず姿を消した」
    「わたしだっお、ほんずはずっず䞀緒にいたかったの」
    「それはそれで、別れの挚拶ぐらいしおくれよ」
    「そうしたら、もう二床ず䌚えなくなるような気がしお  」

    あい぀は足を止め、こちらを向く。その瞳には涙が滲んでいた。

    「あんたには泣き顔は䌌合わねえ。䞀幎ぐらい䜙裕で埅぀ぜ」
    「  ありがずう」
    「あんたこそ生きお垰っおこいよじゃあな」
    「じゃあ、たた来幎逢おうね」


    走り去っおいく圌女の背䞭を、俺はい぀たでも䜕時たでも芋送っおいた  。



    【完】


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