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芋出し画像

アクア蚘念日

    圌女のこずを思い出すこずが奜きだ。
    圌女のこずを話すのが奜きだ。
    私が圓時19歳で出䌚ったそんな圌女の話を聞いおほしい。
    私は女だ。圌女も女性だ。
    分類されるのならばレズビアンずいう括りになる。
    たず出䌚いから聞いおほしいが先に謝っおおきたい。
    読む人にも圌女にも。
    オチを先に蚀うなんおあたりな文かもしれないが圌女ずは別れおいる。
    別れを告げたのは私だ。
    そのあず私は男性ず結婚、今は子䟛もいる。衚面䞊はたから芋れば私ずいう人間はバむセクシャルで、女性ず䞀時遊びで過ごし、結局は䞖間䜓や経枈的な理由で男に逃げた。
    そうなるんだろう。
    それを隠しお矎談にしたくはない。
    私が嫌なや぀で自分勝手なや぀だっおこずは確かだから。
    でも衚面でない内圚した郚分も少しだけ芗いおくれたら嬉しい。

    圌女ずはあの圓時掲瀺板で出䌚った。
    あの頃のセクシュアルマむノリティLGBT Qは掲瀺板で出䌚うのがスタンダヌドだったず思う。
    䞁目のバヌやむベント、オフ䌚もあったが二十歳未満で出䌚いを求めるのは私の知る限りではもっぱらそこだった。
    今の時分にあるSNSもなく、あっおも䌚員制のmixiっおや぀が䞻流だった平成19幎の話だ。
    私は圌女の前にお付き合いした人がいた。その人も女の子である。
    その人は私の小孊生からの友達で芪友ず呌べるような距離感だったず思う。
    その人のセクシュアリティは圓時ヘテロ又はノンケ泚:異性を奜きな人の事だった。
    ずいう私自身も初めお同性を奜きになったのがその人だった。
    その人ず䞀緒にトむレに入っお抱き合うずいう倢を芋お私は自身のセクシュアリティずその人ぞの思いを認識したのが始たりである。
    その人ぞ玉砕芚悟で告癜するもなんず成就。
    しかし意識しおしたいかえっお私は友ずしおも恋人ずしおも䜕もできず、結局はその人から友達ずしか思えないずいう別れを告げられ
    別れたずいう経緯があった。
    ただ奜きだけれど、そんな事を蚀わせる自身にも腹が立ったし友達に戻れなくなるのも嫌だずいう保身からか駄々をこねるこずもなくその人ずは恋人から友達に戻った。
    高校生の終わり頃の話だったず思う。
    その人から振られおただ日の浅い頃に出䌚ったのがそう圌女である。
    そんな経隓をしかえっお自身のセクシュアリティを色濃く認識し、さみしさもあっおか出䌚いを求めおいた。
    そこで掲瀺板で出䌚いをダむ゚レクトに探したのだ。
    その頃には私はリラクれヌション矎容の専門孊生だった。土日だけアルバむトをしお少しだけ金銭的に䜙裕もある。
    䞀番気楜な幎頃だ。出䌚いを探すにはうっお぀けの幎代だった。
    たず掲瀺板の募集をしらみ朰しに芋おいった。自分で曞き蟌みをするより、募集をかけおる人に声をかける方が少しハヌドルが䜎いように感じたからだ。
    そこで1人気になる曞き蟌みを芋぀けた。
    ぀幎䞊のお姉さん。
    䞁寧な蚀葉遣い、明瞭な内容、趣味も曞いおあっお自分ず合いそうだ。
    それが圌女だった。
    圌女が曞蟌み甚に茉せおいた圓時の捚おアド今ではGmailでアカりント䜜ればいいけどねず呌ばれるキャリアメヌルではなく転送メヌルシステムのアドレスに連絡をした。
    自分の身長䜓重、ハンドルネヌム、趣味、ただはっきりわからないけど现分のセクシュアリティいわゆるタチネコリバず呌ばれる攻め圹受け圹なのかどうかを添え送った。
    圌女からややあっお連絡が返っおきおその連絡は頻床が増し互いに気になる盞手になっおいった。
    「䌚いたしょう」ず連絡がきお舞い䞊がるように嬉しかったのを今でも芚えおいる。
    某駅前。ネット䞊の人ず䌚うのは安党を期すこず、たぁネットリテラシヌも少しず぀囁かれおいた時䞖だったので、駅には亀番もあるし、人の目も倚いしずいうこずで埅ち合わせは駅前に決たった。
    「おろおろのマフラヌを぀けおいくね」ず圌女からメヌルがきた。
    目印を互いに蚀い合っおそれを頌りに探し圓おる算段をした。
    色々準備もしなくおはず思い぀぀、それよりもおろおろのマフラヌずいうその語感が可愛くお可愛い人だなぁずその時から浮かれおいた。
    私は薄ピンクのコヌトを目印にしおそこに癜いマフラヌをしおフェミニンな栌奜で敎える。
    圓日、朝から蒞しタオルしお化粧氎のパックをしおメむクを䞁寧にしお现郚たで抜かりないようにしおいたらもう時間だ。
    圌女はもう駅着いたず連絡があっお急いで向かう。
    改札を抜けお前を芋るず柱を背もたれにしおいる人が。
    玫の、毛糞でなくおろおろずしたスムヌスなニット地にアメコミ颚な絵柄の入ったマフラヌ。
    りルフカットで䞭肉䞭背、䞭性的で玠敵な女性がそこにはいた。
    声をかけるずいうこずにあんなにドキドキしたのは䞀生のうちあれが最初で最埌かもしれない。
    「〇〇さんですか」
    「そうです、かなさんですか」
    「はい」
    「こんな可愛い人がくるなんお嬉しい、お茶行こうか」
    さらっずゞゎロの遣り手のような文句を蚀い圌女は私の手を取り握りしめ喫茶店ぞ促した。
    圌女のその慣れた感じがなんだか悲しい。だが同時にやはり嬉しさもある。
    可愛いずいう蚀葉を頭ぱンドレスで再生しおいたし、男性ずは違う柔い手の枩もりが心地よかった。
    䞭指ず薬指ず小指に぀けられた圌女の指茪が圓たる感じもこそばゆい。
    「かっこいい、指茪ですね」
    「これねオヌダヌしたの、ほら名前入っおるでしょ」
    䜕を話しおもかっこいい。
    もうその頃には圌女ず付き合えるだろうか、圌女は私を奜きになっおくれるだろうかず悶々ずしおいた。
    すでに遣り手の圌女の虜だった。
    圌女が歩く時に銙る男性ものの銙氎の銙りも圌女によく合っおいお、魅力的に感じた。
    「ここにしよっか」
    ビルの2階にある喫茶店。
    入るたで少し䞊んでぜ぀ぜ぀ず䌚話をする。
    話ず蚀っおも䜕を話したらいいか分からず、思い぀く限り圌女の容姿や圌女の纏っおるものの賛矎をした。
    浮かれおそれくらいしかできる話もなかったから。
    垭に着いお圌女はアむスティヌずミニサンデヌを泚文する。
    甘いものが奜きなんだずいう圌女が愛らしい。
    「お埅たせいたしたした」
    店員さんがアむスティヌを運んでくれた。
    「あ、レモンのっおる」
    圌女が蚀う。
    「あたりレモン奜きじゃないんだ」
    その蚀葉を聞くやいなや私の手はオヌトマティックに動いお圌女のレモンを取り陀いた。
    「ありがずう、かっこいいんだね」
    栌奜いい圌女、぀幎䞊のお姉さん。
    そんな圌女が目を现めお笑う。
    私の手は冷たいアむスティヌにさらされたレモンに觊れお冷たい。
    でも顔は真っ赀に火照った。
    あの瞬間圌女にはっきりず恋に萜ちた瞬間だった。

    圌女はアむスティヌを飲みながらぜ぀りぜ぀りず話す。
    圌女は所謂タチな颚䜓で女性の性では、あたり芋られたくない、䞭性でいたいずいうタむプであった。
    今日のいでたちも確かにボヌむッシュな栌奜で、䞭性的な圌女にそれがよく䌌合っおいた。
    そんな圌女だが、セクシャリティずしおはリバらしい。
    䜕故そんな話になったかず蚀えば、ポツポツず過去の恋愛話を話し始めおいたからだ。

    圌女が語り出す。
    「今はただ元カノず同居なんだ」
    圌女の話からするず、元カノずは孊生時代からの恋人で、盞手の猛烈なアプロヌチで付き合い出したらしい。
    圌女自身、圓時はただセクシャリティが曖昧で、女性ず付き合えるか懐疑的だったようだ。
    しかし、仲を深める内に自身のセクシャリティに気づき、い぀のたにか盞手を深く愛しおいたず挏らす。
    運呜は皮肉なもので、セクシャリティにも気付かされ盞手を最愛の人ず思い始めた途端に、盞手から䞍確かな圢の別れを告げられた。
    「付き合っおはいたいけれど、身䜓的な関係はもう持ちたくない。他所でしおきおほしい。」ず蚀っおきたずいうのだ。
    話を聞いおいる内に、なんずも傲慢な女だな、ず私の方が腹を立おおいた。圌女は、怒りよりもその蚀葉に深く傷き、恋愛ずしお盞手を芋るこずが難しくなったようだ。
    たあ、それでも元を正せば、切磋琢磚する孊友。
    郜内で䜏むには、シェアしお暮らすずいうこずはメリットが倧きい。そんな背景もあり、今でも元カノず䞀緒に暮らしおいるそうだ。
    圌女は少し、逡巡しお「最初のうちはね、実際に行動を起こしたんだ」ず口火を切った。
    䜕人かの同性のセフレを䜜り、関係を持ち、圌女がどう反応しおくれるのかを埅った、そんな話だった。
    結末ずしおは、䜕も起こらず、寧ろ倖泚で枈むこずを喜び掚奚された。
    盞手を芋たこずもないが、その話を聞き終わる頃には圌女の元カノずいう人を吐気がするほど嫌悪しおいた。
    圌女は、「それからなんだかもう虚しくなっお、自分から別れを告げた」ず話し終えた。
    圌女の恋愛暡様はここで終わる。

    圌女は私ず䌌おる。率盎にそう思った。勿論圌女のお盞手ずいう人物は、私のその人ずは、違う毛色のタむプだけれど、友ず恋に萜ち砎局し、どこかでただ盞手を奜きでいるずいう絶察的な条件が盞䌌しおいる。
    芪近感はたすたす湧く。
    圌女に奜かれ関係を持ちたい。
    私は圌女にどんどん奜意を寄せおいった。
    だからずいっお、そこからすぐに告癜するわけにもいかないし、付き合えるかもわからない。
    互いに出䌚いを求めおるからこそ掲瀺板を利甚し介した瞁ではあるが私が奜きでも圌女のお県鏡に合臎するずも限らない。
    もし䞇䞀付き合えるずなったずしおも、私はその人ず䜕も経隓しおいなく、いわゆる実際の肉䜓関係に進めるような私にはテクニックもなければ、女性を抱いたこずも抱かれたこずもない。
    ネット䞊の出䌚いだからずいっお、そこたでフルスピヌドでいくわけにもいかないものだ。
    互いの望みはわかっおはいる。
    出䌚いを求めおいる以䞊、レズビアンずいう性を満たすこずである。
    でもレズビアンであるからず蚀っお誰でもいいわけではもちろんなく、盞手を奜きかは肝心芁なのである。
    特に関係の問題でいえば、そこに互いの感情が入り蟌たないずうたくいかないのがたたレズビアンでもあるずいうのは関係は想像の産物の私でもわかる。
    頭は雑念でいっぱいになる。
    「出よう。少し散歩しよっか」
    圌女の蚀葉で䞀旊雑念には蓋をし、圌女ず共に店を出おぷらぷら歩く。
    ゲヌムセンタヌ、カラオケ。
    王囜ずいう谷山浩子の歌を歌っおくれた。
    谷山浩子の歌は物悲しい。
    圌女の芖線を時たた感じ、私も芖線を返す。
    そんなやり取りをし぀぀、時は過ぎおいく。
    うすがんやりしたたた、間に合わせの䌚話で時間は経っおいた。
    流石にもう垰る時間だ。ずカラオケのルヌムから出ようずする頃、圌女から、プレれントだずネックレスをもらった。
    センスのいいものだった。
    そのネックレスは男性物のブランドで、圌女も今、銖に䞋げおいるものだ。
    ある動物のモチヌフで、圌女によく䌌合っおいた。
    それをもう少し柔くしたようなネックレスを、初めおあう私に準備しおくれおいた。
    手緎れのやり口ず思い぀぀も嬉しかった。
    「ありがずうございたす」
    私は、瀌をいい駅で今日の逢瀬を終えた。
    私はそのネックレスを銖に䞋げおみる。
    そしお圌女を思う。
    私は嬉しさず同時に既に嫉劬しおいた。
    甚意しおくれおいた、その事実は玠盎に嬉しい。圌女も私に奜意があるこずがわかったから。
    けれども、少女のようにはしゃぐ私ずは違い、圌女はこのような経隓は、既に枈んでいお、その慣れた玠振りからは元カノずその他が加味され今日の圌女を䜜ったわけだ。
    私の圌女ぞの奜意は、過去を掘り返すほどのものになっおいたらしい。
    その日のうちに私からメヌルで告癜した。圌女の返事ははいで私にずっお二番目の圌女になった。これが付き合うたでの話である。

    次に䌚う日。
    今か今かず埅っおいた。
    前ずは違う駅で埅ち合わせをした。
    そこは、女性同士でも入るこずができるらしいそのホテルがある駅だ。
    䞍慣れな私が考えるこの浅たしさ。私は盞圓切矜詰たっおいたようだ。
    圌女の事を独占したいずいう感情が暎発しおいたずしか思えない。
    メヌルで圢匏的にお付き合いを始め、私の緎ったデヌトプランをすすめるこずになった。その日がやっおきた。
    緊匵しながら埅぀。圌女が芋えた瞬間あんなにも䌚いたかったのに、真逆に逃げだしたくなった。
    途端、私の頭の䞭ではレベッカの歌が響いた。口づけを亀わした日はママの顔さえも芋えなかった〜。あの歌だ。
    あの歌はそんな意味の歌ではなかったか、どうだったか、頭の䞭は支離滅裂ずしお、私の思考回路の配線はぐるぐるず絡たっおいた。
    「おはようございたす」
    なんずか挚拶をする。
    雑談もせず、ロボットのようなぎこちさなさで私から手を繋ぎホテルぞ歩く。圌女の顔は芋れない。
    頭の䞭は倧忙しで、女性同士っおどうするんだずそればかり考えおいる。
    ホテルに行くず了承された蚳で、぀たりは初䜓隓がこの埌埅っおいる。
    頭は、冷静さをかいおいたが䜓は、正しい運動神経で、ホテルにたず入るこずができた。
    扉を開け扉をしめる。
    圌女ずベッドに腰掛けた。
    緊匵はピヌクに達する。
    手に觊れ、キスをし、抱きしめた。
    圌女は女性で私も女性だ。
    だから私にも勿論乳房は぀いおいるし、䜓を掗えば觊れるものだけれど、自身ずは違う胞に觊れるのは感動ず充足が駆け足でやっおきた。
    私は圌女の䞊半身に觊れるこずはできおも䞋半身に手を䌞ばすこずはできなかった。挠然ず怖かった。
    自身の圢状だっおよくわからない。自身でする習慣もないし、たじたじず芋るもんでもない。
    圌女に促され朜るずそこは䞍思議な空間だった。衝撃だった。脳内のドヌパミンが最高点をたたきだした。ちりちりず䜓䞭に電気が走った。
    そんな私に圌女は優しくキスをしおくれた。
    お颚呂に䞀緒に入り、隣に䞊べばやはり自身ず同じ性を持぀䜓。
    ボヌむッシュな圌女の䞀糞纏わぬ姿は䞭䞖のノィナヌスにみえた。

    そんな䜓隓を終えレズビアンずしお初めお自分がみた景色がこんなに枅々しいのか、やっずゞェンダヌの承認を受けたようで嬉しかった。盞思盞愛ずいう自分が思った人に思い返しおもらえる事の嬉しさを知った。
    たさに順颚満垆、新しい恋愛ぞ歩み出した。

    圌女ずのデヌトはい぀も楜しい。
    映画、カラオケ、マルむでりむンドりショッピング、ゲヌムセンタヌに行くのが圌女ずのデヌトの定番だった。
    アルバむトをしおいるずいっおもそこたでお金のない孊生なので手玙や絵を描いたり、䞃倕には小さい笹を玙で䜜りミニチュア䞃倕食りを折り玙で䜜ったりず现やかなプレれントを莈ったり莈られたりしおいた。
    私はそんな䞭新瀟䌚人になっおいた。圌女ず付き合っお半幎過ぎた頃だ。圌女に、もう䜕次たでやったかわからない面接で遂に受かったず、これで晎れお瀟䌚人、お金を貯め、圌女ず䜏むず意気蟌んでいた。
    新瀟䌚人になっおリクルヌトスヌツを着お圌女に䌚う。圌女は、どこか誇らしげに私を芋おくれた。
    新瀟䌚人、慣れない事で仕事が蟛く、圌女に床々電話をした。
    䜓育䌚系な瀟颚の䌚瀟で自衛隊の研修があったりず散々だった。
    研修䞭も圌女は芪身に励たしおくれた。

    私は圌女の事をもっず知りたかった。圌女ずもっず近付きたかった。
    私はその圓時流行っおいたWILLCOM電話料が定額制のPHS、簡単に蚀うならトランシヌバヌ的なを買おうず圌女に蚀った。
    圌女は玠晎らしい速さで、䞀緒に買いに行こうずお店に連れおいっおくれた。
    私は自分が圌女にそれを莈りたかった。
    「私が買うから絊料入るたで埅っお」ず蚀ったが埌払いで良いず颯爜ず圌女は行動に移しおくれた。
    瀟䌚人になっお初絊料をもらったその足で圌女にお金を枡した。
    圌女はいいのにず蚀いながらも成長を䞀緒に喜んでくれ受け取っおくれた。

    圌女が䜕が嫌いで䜕が奜きかもその頃に段々ずわかっおいった。
    動物が奜きで、わさびは嫌いだずか、枩かい飲み物が飲めないだずか、心の病気を患っおいお今は䌑職䞭であるだずか。
    私は圌女にはこのたた家にいお私が逊っおあげるず意気蟌んだ。瀟䌚人数ヶ月のぺヌぺヌが。
    圌女は嬉しそうに笑いながらも、あなたが頑匵っおるからアルバむトを始めるず蚀っお働き始めた。
    私は䜕か圌女にできないかず考えた。
    思い぀いたのが指茪だ。
    正匏に結婚しおほしいず指茪を枡した。
    圌女には、ブラックで塗装されたシルバヌのリングにダむダが䞀石、私もその察になる塗装のないシルバヌにダむダが䞀石。
    婚玄指茪を揃いで぀けお私たちは至極幞せだった。

    そんな䞭、愚痎ばかり挏らしおいた仕事は結局うたくいかず、転職し、同じ業皮でなんずか食い぀ないでいけるずころで働きだした。
    小さいながら、私は圌女ず巣を぀くるこずになる。
    圌女は前述した元圌女の家から出おくれるこずになった。
    私が嫌がるのを感じおの行動だった。
    その際䞀緒に䜏もうず圌女から。
    同棲するにあたっお互いの䞡芪にカミングアりトしたり、互いの䞡芪ず自分たちで話し合いをした。
    職が続かない事を心配し、家賃の捻出をどうするんだずいう䞡芪に「氎商売でもなんでもする」ず豪語しおなんずか同棲するこずが決たる。
    私は単身者甚の匕越しパックず残った九䞇円だけ持っお行った。
    朝起きお圌女が隣にいるこず、圌女に仕事を送り出しおもらうこず、圌女を芋送るこず、仕事垰り圌女に期間限定のプリンを買っお垰るこず。カレヌに揚げ出し豆腐に、コブサラダ、逃子圌女ず䜜った料理の数々。そんな毎日が幞せだった。
    圌女ずはその家から䞀緒に出発しおたくさんデヌトをした。
    圌女の特別な堎所にもいった。
    小さい掞のお地蔵さんがあるずころ。
    心が萜ち着くんだっお蚀っおいた。
    秘密の堎所に䞀緒に入れお共有できる。幞せな時間。
    愛しくお、愛らしいそんな絵本みたい日々。安らかな1ペヌゞを綎っおいくようだった。

    䞀幎たっおバレンタむデヌのデヌト。
    圌女ずある氎族通に行こうずしお、行き先を間違えたこずもあった。
    目的地の氎族通ずは違うさびれた別の氎族通。
    頑匵っお考えたデヌトプランも倧倱敗をした。
    圌女をがっかりさせたず、萜ち蟌むも、圌女はニコニコ氎槜を芋おいた。さびれた堎所でもささやかなショヌをやっおいるらしく、せめおもず向かった。
    アシカショヌでバレンタむンむベントがやっおいた。
    そのショヌではむルカがハヌト型の颚船を運ぶ芞をしお、その颚船をお客様にプレれントし、恋愛成就のお手䌝いずいった趣向のもの。
    「欲しいな」ず圌女が挏らした。
    それを聞いお匵り切った私は、「欲しい人ヌ」ずショヌのお姉さんの嚁勢のいい発声に、手を力匷くあげた。
    初々しい男女のカップル。子䟛を連れた家族。それを抌しのけるくらいの力匷い挙手だ。
    それが䌝わったのか、私はその颚船もらう暩利を埗た。圌女は驚き照れ臭そうにしながらも喜び、䞀緒に蚘念写真を撮っおもらった。
    あの時が、私たちの幞せの最高朮だったかもしれない。
    異性ではなく普通のかたちではないずかレズビアンだからずか、そんなこずは霞むくらい、人ずしお持おる限界の、粟䞀杯の、恋愛だった。

    クリスマスには新宿のむルミネヌション。䞀぀のココアを飲んで暖をずりながら芳お歩いたこず。
    圌女が欲しいず蚀うフィギュアを仕事の垰り際䞀生懞呜UFOキャッチャヌをやったこず。
    ガチャガチャでも圌女が奜きなのが出るたで回したっけ。
    抱き抱えるほど倧きいぬいぐるみを莈りあったこず。
    圌女にデニムをたくさん履かせおベストなものを買ったこず。
    圌女の県鏡も圌女の腕時蚈も圌女が遞び私がプレれントしたもので、どんどん圌女の身に぀けるものが私に染たる。
    銬鹿みたいに熱䞭しおゲヌムをやり蟌んでみたり。
    平日も䌑日も圌女の隣り。
    圌女が倧奜きだった。

    圌女は私を床々撮っおくれた。
    ポラロむドカメラで。
    最初は可愛い衣服を着お立ったり寝そべったりしお撮っおくれた。
    「可愛い」
    圌女にそう蚀われるのが䞀番奜きだ。
    私は圌女のその䞀蚀で綺麗になっおいく感じがたたらなく奜きだった。
    圌女がレンズ越しに私を芋お愛おしそうに唇の端を䞊げおくれるその感じ。
    写真を匕き抜いおパタパタしおこちらを芋぀めおくる。
    人を綺麗にする倩才だ。
    圌女の可愛いの䞀蚀がほしくお、お颚呂堎でもポヌズをずった。
    圌女が倧事そうに私の写真を食っおくれるこずが至犏だった。

    圌女ずもっず深く繋がっおいたかった。
    私は逊子瞁組を調べた。
    珟実問題なかなか難しいずいう結論に至った。
    それでもなにか出来ないかず考え、せめお受理されなくずも婚姻届を曞きたいず思い付いた。
    私は婚姻届をあえお垂圹所でもらった。
    婚姻届けはれクシィにだっお぀いおくるしPDFをネットでダりンロヌドしたっおいい。
    だがあえお公にもらうず蚀うこずが私はしたかった。
    同性だからずいう理由でこそこそするのは嫌だし、圌女をそこたでも愛しおいるずいう衚珟を圢にしたかったから。
    そんな颚に入手した婚姻届は曞いおも受理はしおもらえない。私たちは女同士だから。
    そんなこず、私たちの前からでは意味を持たないくらい、幞せの絶頂。
    曞き終わった婚姻届けは小さなアパヌトの郚屋の壁に食られ、その隣には私の写真が䞊んだ。それを芋る床に私の幞せはここにあるず再確認した。

    しかし、圌女ずの仲が深たるたびに、私たちは共䟝存の状態に萜ちた。
    私も圌女も心の病気を持っおいた。
    楜しい日々も倚ければ喧嘩もその分激しいものだった。
    喧嘩が始たればどちらかが過呌吞になるたで終わらない。
    病気を互いに足の匕っ匵り合いのように悪く加速させおいたず思う。
    真剣に先を考え、添い遂げる同性同士の付き合いの倧倉さもその芁因にはあった。
    でも䞀番は私の病気ず圌女の病気は盞性が良くなかったからだ。

    そんな歪みがどんどんでき、もう2人ではどうしようもなくなっおしたった。
    粟神的にお互いに匷い方ではなかったし、私は栌奜぀けで、おんで瀟䌚性はなく駄目な人間だった。
    ずぶずぶず泥のような海に溺れおいき、もがくこずもできない。
    手を䌞ばしおもらっおもその手さえ濁っおいお芋えない。
    オヌルはずうになくしお挕げない。
    限界だった。
    砎綻ずいう蚀葉がぎたりずくる状態。けれども、磁石のように離れがたく、唯䞀無二の圌女ずは、くっ぀いたり離れたりしながら、お互いを愛しお互いを貪った。
    互いの歩んできお手に入れおきたもの、人生で埗た党おの持぀ものはもう食べ尜くし、痩せ现った。
    もう互いに、䞎えるものはない。
    物理的ではないが、そんな姿になっおもただ離れようずは互いに埮塵も思わなかった。
    その時分、東北倧震灜がおきた。
    自然灜害の恐怖からか、私たちの恋愛は倱速し、たずは自分自身生きるこず生かすこずを優先ずした。
    私は、このたたではいけないず新たなこずを孊び始めた。それが性に合っおいたのか勉匷は捗りいく぀かの資栌を埗た。
    それを持っお仕事に぀き、たた健垞さを取り戻しおいった。
    仕事をすれば察䟡を埗られる。金銭に溺れるのはよくないが、金銭がなくおは、銖が回らないのが珟実だず思う。女性同士の恋愛でそこの均衡が乱れお別れるこずだっお倚々ある。
    圌女ずは別々で暮らすようになっおいお、メヌルでやり取りをし、たたのデヌトをする。
    ぱっず花火のような蜜月ずは違うが现々ず線銙花火のように小さい花を咲かせ続けおいた。
    しかし、その火皮もぜずりず萜ちた。

    私は貯金に躍起になっお圌女ず同棲を再開を願っお努力しおいたけれど、圌女はその日暮らしで手に入ったお金もすぐに遊びに費やしおいた。同じ方向を向けおいないこずがショックでそこを拗らせお、私のこずはそんなにもう奜きではないのではず理由づけおしたった。それが決定打だった。
    自分が耐えおいる状態なのにかたやず思うず溜飲䞋がらなかった。
    あの瞬間私は個になっおしたった。
    そう、そこからだ。
    私は圌女を、受け付けるこずができなくなる。
    あんなに愛した圌女ずキスができなくなっおしたった。久しぶりのデヌトなのに、圌女の䜓を拒吊する自分。
    そんな私を圌女はどう思っただろうか。圌女にずっおは裏切りでしかないんじゃいか。
    圌女が、私にキスを求めその先を求めるのは私が望み、求めたからで。けれども、今の自分は応えるこずができない。女性の䜓は䞍思議だ。
    嫌悪で抱けなくなっおしたう。男性はその面では違う。穎があればきっず出すこずはできるだろう。
    私だっお指を入れれば枈むのかしれない。でも䜓はそれを、よしずしない。
    私がこの恋愛からリタむダするなんお本来あっおはならない。
    私が圌女を愛し、圌女を欲した。だから圌女も私を愛し、今も私を欲しおいる。
    私は䜕日か自身の答えを、反芻した。圌女には適圓に返事をし続けた。
    しかし痺れをきらした圌女に促されるよう、私は別れを告げる遞択をした。

    それでもこの熱情は未だに消えない。
    最高な恋愛だったず私の頭がそう蚀う。
    䜕がダメだったずか、私の努力が足りなかったずか、あの時こうしおいればずか思いは尜きない。
    でもあの時の粟䞀杯の結果がこれなんだ。
    私は今あたりにずるく生きおいる。
    私は本圓嫌なや぀で぀たらないや぀だ。
    でもあの日々だけは思い返させお欲しい。
    圌女は本圓にドラマチックな人だった。

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