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Photo bynovi0701

ベルマーク


    息子を迎えに来た。
    けれども、一向にやってくる気配がない。
    仕事も都合をつけてもらい、急いで来たのだ。
    もう一時間も待ちぼうけである。

    わたしのほうが遅くなる日は、息子は「遅い」と言う。
    そのくせ、自分が遅く出てきた日には、
    日直だったのだと言う。
    まったく時間が読めないのである。

    そのあいだ、こちらの気持ちは少し湿ってゆく。

    ようやく、にこにこと走ってやって来たかと思えば、
    荷物だけこちらに預けると、
    彼は友だちと公園へ行ってしまった。

    まことに報われぬ迎えである。

    けれども、そのあとで遠足の話になった。
    少し弁当を残したのだという。
    友だちが、「おやつの分、残したんだよ」と言ったそうで、
    息子はわたしにごめん、と謝った。
    それでも息子は、その友だちに、お菓子についている
    ベルマークをちょうだい、と頼んだのだという。

    その話を聞いて、ああ、この子はわたしのことをよく思っていてくれるのだな、と胸があたたかくなった。

    もっとも、当の息子は、そのベルマークをもらうことを
    すっかり忘れて帰ってきたのである。

    そのあたりも、なんともこの子らしい。

     
     

    mugmug

     
     
    日々の小さな事件を、随想として書いています。 本と文房具、暮らしの余白が好きです。

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