
ベルマーク
息子を迎えに来た。
けれども、一向にやってくる気配がない。
仕事も都合をつけてもらい、急いで来たのだ。
もう一時間も待ちぼうけである。
わたしのほうが遅くなる日は、息子は「遅い」と言う。
そのくせ、自分が遅く出てきた日には、
日直だったのだと言う。
まったく時間が読めないのである。
そのあいだ、こちらの気持ちは少し湿ってゆく。
ようやく、にこにこと走ってやって来たかと思えば、
荷物だけこちらに預けると、
彼は友だちと公園へ行ってしまった。
まことに報われぬ迎えである。
けれども、そのあとで遠足の話になった。
少し弁当を残したのだという。
友だちが、「おやつの分、残したんだよ」と言ったそうで、
息子はわたしにごめん、と謝った。
それでも息子は、その友だちに、お菓子についている
ベルマークをちょうだい、と頼んだのだという。
その話を聞いて、ああ、この子はわたしのことをよく思っていてくれるのだな、と胸があたたかくなった。
もっとも、当の息子は、そのベルマークをもらうことを
すっかり忘れて帰ってきたのである。
そのあたりも、なんともこの子らしい。