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なぜ「初めて」は奪うものなのか。

    「1回だけしたことあるけど、あんなのノーカンだから。俊くんが初めてって事にする。......え?ああ、別に彼氏ってわけじゃなかったけどね」
    大学生の時、当時付き合っていた女性との事後に言われた一言をなぜがずっと覚えている。そして自分はこの時、ふたつの疑問が頭に浮かんでいた。

    ①彼氏じゃない人とセックスする倫理観ヤバくね。
    ②なぜ「初めてじゃないとダメだと思っている」と思われているのか。

    ①に関して、10代のいたって一般的貞操観念であれば当然の疑問だが、オープンリレーションシップなどの概念の存在や、パートナー以外との性行為なんてもはや逆に一般的であることを徐々に知っていくので、今の自分は別に気にも留めていない。その変化が良いのか悪いかのかは別として。

    ②に関して、オスカー・ワイルドの「男は最初の男になりたがり、女は最後の女になりたがる」が、海を超えた日本で今でも頻繁に拡大解釈されて引用され、定説として流布されまくっているのが要因な気がする。

    そもそもなぜ、男は最初の男になりたがるのか。
    生物学的な話をするのは諸々の理由で極力避けたいというのを前提に書く。

    男性は生物学的に生殖行為において他者のDNAが混入するリスクを避けるべく、相手が「初めて(未経験)」であることを無意識に重視し、それを自分が「獲得する(他者から奪取し、独占する)」ことに強い執持つように進化したという仮説。

    いや。子孫を残す目的よりも、遊戯やコミュニケーションとして性行為をすることの方が多い生物となって久しいのに、こういうマンモスを追いかけていた時代の本能が残ってるのめっちゃキモい。そうだとしてもお互い慣れてる方が色々スムーズだからそっちの方がいいのでは?と思う。それでもフィクションではよく「処女愛好家おじさん」が、経験者"設定"の女性よりも処女"設定"の女性に大金を払う場面が多くあるし、現実の相場もそのようになっているんだろうと思う。同時に「年齢が若い方が価値がある」という旧来的な価値観も合併症を引き起こしている。

    では社会学的やフェミニズムの観点で見たらどうだろうか。

    多くの社会において、女性は父親の「所有物」であり、結婚によって夫の「所有物」へと譲渡されるというシステムが前提にあるため、結婚前に「初めて(処女)」を失うことは、その財産の価値を奪われることと同じなのかもしれない。

    これは「娘さんを僕にください」への違和感にも通づるので割と納得がいくかもしれない。そもそも「ください」ってなに。日常にすら「客体化」が浸透しているんだからそりゃいまだに漫画やアニメのフィクションで女性キャラ同士が胸の大きさ競い合ってたり、放送中盤で海へ行って水着回作ったり、何かと風呂で考え事したりするよねという話。

    いやしかし今でも「ください」なんて言ってる人いるんだろうか。結婚を家族同士のものと捉える価値観はオワコン認定されつつあるが、セクシャリティを問わず個人同士の権利として確立される社会にしたい。アニメで。

    処女”喪失”?
    なぜ「初めて」は奪うものなのか。
    なぜ自分はいつでも優位に立っていると思っているのか。
    いやいや逆に与えてもらっているのではないだろうか。
    「性別:パコられる方」はパコらせてあげる方であり、抱いていると思っている方は逆に抱かれている。
    と思った方がいい。自分も含めて。

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