
Don't think.Feel.ものに触れて感じる力|東京都写真美術館「TOPコレクション」展へ
まるで風にそよぐ新緑のような色合いのポスターに惹かれて、恵比寿ガーデンプレイスの中にある東京都写真美術館に向かった。

写真・映像作品を紹介する展覧会
今回のテーマはAI時代における「感触」
「感触」とは狭い意味での触覚だけではなく、「ものに触れて感じること」を指します。
現代では人工知能 ( AI ) の急速な社会進出によって、これまで人間に特有のものとされてきたさまざまな技術や能力の優位性が揺らいでいます。
こうした時代背景においてこそ、真の人間力について考えることに意義があるはずです。
このコレクション展では、文化、芸術に特有の共感覚や、感性的なコミュニケーション、想像力の可能性を考えます。
タイトルの「考えるな、感じろ」は、カンフーアクション映画に出てくる台詞のはずとおぼろげに思い出しながら展示室に入る。
それは、かの有名なブルース・リーの言葉だった。
「感じること」の重要性を説いた香港の武術家・俳優・哲学者ブルース・リー (1940-73)の言葉
“Don’t think. Feel. ”
(考えるな、感じろ。)
を手掛かりとして、当館の写真作品から五感を触発する作品を選んだ表題のセクションを中心に、短編小説集のように5つの小テーマで構成するオムニバス形式の展覧会です。
触れて感じると言っても、もちろん写真を手で触ってなでる訳ではない。
目で見る。
そして感じるのは、その画像から想像することや自分の中にあるそれにまつわる記憶のようなもの。
じっと佇んで見ていると、ふわふわしたりきらめいたり、柔らかく弱きものでありながら内なる生命力が強く湧き上がってくる。
手のひらに何かが触れるかのように、遠くに鉄琴の鳴る音楽がかすかに聴こえるかのように。
きっと作品ごとに、見る人ごとに違う感覚がどこからか現れるのだろう。

全く動かなくなる本能を持つというヒナ

ちらちらと光って見えたことはあったが
生まれたばかりの赤ちゃんの上に降るそれは
輝く星であり未来へ続く宇宙
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5つに分けられた展示室を進んでゆくと、第3室のタイトルは「川内倫子〈Illuminance〉」で、大きな写真や床のソファに座って眺められる映像作品があった。
壁面に本のページを開いたような2画面のスクリーンが設置され、タイミングをずらしながら絶え間なく、ゆったりと、自然の風景や人や物のシルエットなどの映像がいくつもいくつも映し出される。
はじめは10分ほどだったものに新たなカットを足し続けること20年以上(!)、約1時間に20分の作品となったそうだ。
「写真は常に選択していく作業の連続ですよね。それは料理に例えると、灰汁を何度も網で掬って透明度を高めるような作業。
その過程の先に、抽象的な表現ですが、自分の見たい答えが写真からふっと浮かび上がってくるんです。」
写真を見ていると、これはつまり光と影の作品なのだと感じる。
Illuminanceは光の照度を意味するのだという。
光を発する物があり、反射したり影を落とす物がうまれる。
なんだか人と人のようではないか、とも思える。
作家は常に選択の連続であると言い、自分の見たい(望む)答えを得るまで時間をかけると語っている。
それはきっと人生そのものであり、わたしたちの誰もが持っている時間も同じなのかもしれない。

銀の文字は細いシルバーのアクセサリーのよう
「い ま こ こ」
HERE AND NOW
確かに川内倫子さんの写真集なのだけれど
途中のページに散りばめられた少しの言葉は
谷川俊太郎さんによる詩で

デザインされたレイアウトは絵のよう


季節のパフェ
「かけながらお召し上がりください」
甘みのある温かいチャイと
黒胡椒が添えられているひと品

ミュージアムカフェの“フロムトップ”にて
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それにしてもブルース・リーは俳優だけでなく、武術家であり哲学者でもあったのだとは。
この写真展から帰ってきて何をしたかというと、日本では1973年に公開された「燃えよドラゴン」を視聴した。
「少林サッカー」や「カンフーハッスル」のチャウ・シンチーが大好きなのだが、彼も崇拝するというブルース・リーの作品を観たのは初めてだった。

画像はFilmarksより
有名な台詞は早くも映画の序盤、重要な任務につくより前の、弟子に稽古をつけるやりとりの中で出てくる。
「考えるな、感じろ。遠くにある月を指すようなものだ。指に気を取られるな。さもなければその先の天空にある美しい輝き(栄光)を全部見失ってしまう。」
稽古に稽古を重ね、散々考えて考えぬいた人の深い言葉だった。
何を感じるかにはそれまでの経験や記憶や知識、これからへの想像や希望や期待が入り混じる。
自分の五感が曇らぬよう、いつも新しい気持ちでアンテナをのばしてゆこう。
前回TOP MUSEUMを訪れた日の記事はこちら