メインコンテンツへスキップ

名残

    光治(みつおさむ)

    初めまして、水野夢子の母です。

    水野夢子は23日に亡くなりました。
    生前、お世話になりました。
    感謝申し上げます。ありがとうございました。

    ご報告が遅い時間になりまして申し訳ありません。

    これにて失礼致します。


    この連絡に気づいたのは25日
    テレビ番組で連絡をあまりしていない人物に連絡をしてすぐに返事を返してくれるのかという企画のバラエティを見て、ふと気になり、私も同じように連絡したらばどんな返事をくれるだろうかと携帯を見てみると、水野夢子は亡くなったとの連絡。

    しかし、初めましてと言われても水野夢子の母とは会ったことがある。
    僕は、インターネットでよく見る死ぬ死ぬかまってちゃんの常套句だと思ってその連絡を無視することにした。

    いざ亡くなったとしても僕の感情は何も動かなかった。

    予期していた。
    だって人間誰だって死ぬし、僕だって死ぬ。
    これを冷たいと感じる人間がいるかもしれないが、そこまで人間に執着がないのである。

    水野夢子とは結婚していた。
    子供もいる。
    子供を残してでも死ぬという判断をする人間だとは思わないから尚更それを信じられないのである。

    しかし、確認する術がない。
    愛していたのかと聞かれたら、よくわからない関係だった。
    僕ははいつだってそうだ。
    なりゆきというのか、何も好き合っている必要はないと思っている。
    お互いに利害が一致していればなんの問題もない。
    確認するつもりもない。

    何もかもが曖昧なままではっきりすることのないことが生きること
    生きる理由とか、今生きている理由とか、そんなもの考えたって仕方ない。

    そんなことを考えていると三日過ぎていた。
    ただ

    ありがとうとだけ返事を出した。


    あなたへのおすすめ