
ビンのフタ
ブルーベリージャムを使い切った。
毎日食べるヨーグルトにはジャムを入れるのが我が家の習慣だ。
明日からはマーマレードジャムにしよう。
ストックのジャムの中からマーマレードのビンを選び、手に取り緩衝材のビニールを雑に引っぺがす。
そして翌朝すぐ使えるように、と冷蔵庫にしまった。
昨年末にフォションのアウトレットで買った高級ジャム。
ブルーベリーとマーマレード各2個、4個セットのジャムが賞味期限2月までなので70%オフ。
驚異の割引率で庶民でも手が届くお値段に!
これは買うしかない。
いつもでっかくて500円ほどのお手頃ジャムしか買ってない我が家でも買おうと思える価格なんだもの!
そうして楽しみにしていた高級ジャム。
そして今日使おうとマーマレードジャムを取り出し、フタを開けようとひねる。
お、固いわね。そういえばブルーベリーも固かったなぁ。
なんて思いながらまた思いっきりひねる。
ブルーベリーも簡単には開かなかった。確かにかなり手強かった。だけど、粘って頑張って力いっぱいひねり続ければ少しずつ緩んでそのうち開くはず!
何度も何度も目いっぱいの力で開けようと試みる。
開かねえ……。
まあね、私も女性ですから。
大柄で手も大きく力も強めでフルマラソン完走8回、去年トライアスロンIRONMAN完走してますけど、女性ですから?
朝の出勤前で時間もないし、ここは夫に開けてもらいましょう。
夫にジャムのビンを「あけてー。」と手渡す。
しょうがないなあ、という感じで夫は受け取り、力を入れてグッ、またグッと2度程フタをひねり
「開かね。」
なんと!私にビンを即返却!
諦めるのがはやい!
なんという潔さ!
しかし私は諦められない。
だって賞味期限は2月までだし、ブルーベリーの後に続けてブルーベリーを食べるのはつまらない。
それにその後マーマレード2連続も確定してしまう。
そーんなのーはいーやだ♪
ということで朝食の準備もしながらビンと格闘を続ける。
私の目の前にはジャムを待ってるヨーグルトがいるんだよ!
まあーそれにしても開かねえー!
何度全力でひねっても、こうすると開きやすいと何かで見た朧げな記憶頼りにステンレスのシンクにフタの外周を軽く打ち付けてみても、少しずづ開いているような手ごたえもまるでなし。
開 か な い !
ガッデム!
手が滑るのがダメなのよね!
と朝食の用意そっちのけでシリコンの何かがビンを開けるのにいいという記憶を頼りに探すがうちにそんなものはない。知ってる。
なのでビニールをかぶせてみたり(滑ってダメでした)。
なにかないか探して、うろうろしてるうちに、
思い出す。
そうだ!洗濯機の上にIRONMAN南北海道のスイム用シリコンキャップが吊るってある!
洗濯機の上でビンにシリコンキャップを被せひねる!
ひねる!ひねる!全力だ!
開かねえー!!
しかもなんかフタがサラサラを滑るようになったな!?
んあー!次はゴム手袋だ!
ダメだ!なんかこのゴム手袋サラサラしてる!スルッスルだ!
洗面所から退散し、引き続きなにか使えそうなものがないか探す。
ビニール手袋はダメだ!やらなくてもわかる、滑るやつだ!他のものないか!?
これなら!
と殺虫スプレーをなぎ倒し手にしたのは、ゴム加工が手のひらにしてある作業用グローブ。
急いではめてビンを握る。
グッ
グッ
パコッ
「ダァー!クソーーーー!!!!」
ビンのフタに苦労させられた私の雄叫びが響く。
夫にも多分聞こえてたがノーリアクション。
全力でビンをひねり続けていたのでうっすらと汗をかいている私。
敵はしぶとかった……。
だけどこれ、まだ2個あるのよね。こんなに開かないビンとの格闘が、私にはあと2回残されている。
次は前日の夜のうちに作業用グローブで開けておこう。そうしよう。
朝からぐったりと疲れ果てながら朝食の用意を続行する。
せっかく温めたコーヒーとカフェオレが少し冷めたが、パンと目玉焼きを皿に盛りつけ、なんとか時間に間に合った。
ヨーグルトに苦労して開けたジャムを添加!
さあ、朝食だ!!
高級ジャムなだけあって、マーマレードには柑橘の輪切りが入っている。
正直言うと少し食べづらい……。
そうつぶやくと
「安いのはこんなに果実入ってないから。」
と夫にフォローされる。
確かにいつものジャムの糸の様な、カケラのような柑橘の残骸とは違った、果肉部分まで一緒に煮詰められた果実感たっぷりのジャムである。
色味も天然だからだろうか、普段目にする鮮やかなオレンジではなく、オレンジがかった茶色である。
おそらく手間暇かかっているのだろう。
私が苦戦したのと同じくらいに。
苦労して開けたジャムは高級な味がした。