
アストラゼネカ、米国直接上場へ

はじめに
英国最大の製薬企業アストラゼネカ(AZ)が、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への直接上場計画を公式に発表しました。
これまで米国では預託証券(ADR)を通じて取引されてきましたが、今後は普通株を米国市場に並べることになります。
「英国に本社を置き続けること」や「ロンドン市場での上場は維持される」と説明されています。しかし、発表の背後には、英国の政治や雇用、投資家の期待、そして企業戦略が交錯しています。
このnoteでは、その三つの視点から読み解いてみます。
※過去に書いたnoteでは、アストラゼネカ vs 英国という交渉カードとしての米国上場について書いていました。
0. ADRとは
本論に入る前にADRについて少し補足しておきます。
ADRとは「American Depositary Receipt」の略
ADR(米国預託証券)とは、米国以外の企業が発行した株式を裏付けに、米国の銀行が発行する証券です。米国投資家が米国市場で米ドル建てで外国株を取引できるようになるため、本来直接取引が難しい外国企業への投資を容易にする仕組みです。
例えば、note moneyを参照すると、AstraZeneca PLC "ADR"と書かれています。(NASDAQ)
一方、AZN.Lというティッカーシンボルもあります。これは、London Stock Exchangeのいわゆる本体の株になります。