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Photo byfutomomo_mukumi

䞋曞き再生工堎で取り戻した私は、工堎長に倢を芋る。

    「遠い日の䞍良に蚀えないはなしの前段」
    「音楜が奏でる耳先生ぞの階段」
    「カリブを枡るリズムを刻む手段」
    「初めおのギタヌが響かせたのは、淡い友情の算段」

    私は、四぀のタむトルのメモを握り締めおいた。工堎長に面談出来るのは、取り戻せた人だけだった。面談した倚くの人達は、郚屋を出おきお幞せそうな顔をしおいた。私がここに呌ばれたずいうこずは取り戻せるこずを意味しおいる。自分の心でそう蚀い聞かせおいた。そしお、本圓に取り戻せるのか疑念を抱きながらそれを芋せないように振る舞っおいた。

    「次の方どうぞ」

    私は、䞊んでいる方達にりむンクをしおからこう告げた。

    「次に䌚う時、私は取り戻しおいるよ」

    取り戻すには裏口から入らないずならない。正面からは、厳密なルヌルが存圚するらしい。郚屋に入った私は、走り曞きしたメモをもう䞀床握り締め、長髪を䞻匵しない黒髪を持぀ず蚀われる工堎長を前にしおいた。黒髪の長髪は癜衣の癜ず髪の黒でコントラストがハッキリしおいるのに確かに䞻匵しおいなかった。䞻匵を隠す幎月を考えただけで私の目には泪が溢れそうになっおいたので、それを隠すように䞊を向いた。髪の䞻匵ず盞察しお銙りだけはそこにいるキレむな女性を䞻匵しおくるから厄介だった。このギャップだけで恋するのは私にしたら簡単なこずだった。

    いっそ取り戻すこずより工堎長を手に入れおしたえば良いのではず邪念に襲われたが、どうせなら䞀床付き合っおから別れ、そしおもう䞀床付き合う時に「取り戻す」を味わえるはずだから、たずはどうやっお䞀床付き合っお別れるべきかたで思考が飛んでいた。悪くない始たりだった。

    工堎長の髪に觊りたい衝動に駆られながら理性を抑えるのには、この銙りは実に厄介だった。銙りのせいにしおくっ぀くのは私のマナヌに反する。どうせくっ぀くのなら工堎長から誘われたい。

    私の持぀メモを䞀瞥した工堎長は、県鏡の奥に芋える瞳が笑ったように芋えた。私は、その県鏡のレンズが邪魔だず思っおいたのだが、レンズ越しのその瞳を芋たらレンズ越しの芖線も悪くないなず考え方を倉えるこずに成功しおいた。

    「あなたの分は、もう取り戻したのよ」

    工堎長は、そう䌝えるずなぜか県鏡を倖しお、䞻匵しない髪を䞻匵させるように振り、良い銙りを私に振り撒いた。いっそのこず「同じ銙りになりたいです」ず蚀えばすぐにひっ぀けるのに、私のマナヌには反しおいたので我慢した。こんなにも早く県鏡を倖すタむミングが来おしたうのかず思っおいたのだが、黒目がちなその倧きな瞳を真っ盎ぐ芋おしたったら、県鏡はもう必芁ないず思っおいた。工堎長に必芁なのは最いを足す目薬ず、䞊目遣いだけだずこの時にはもう感じおいた。私は始たっおいた。

    「でも、あれは自分でも取り戻せなかったんです。いったいどうやっお」

    私は、工堎長に詰め寄るタむミングで少しだけ髪に觊ろうず蚈画しおいたが、工堎長には通じなかった。

    「あなたが゜コから動く必芁はないのよ。物語の方からあなたに向かうから。ほら。ゆっくり座っお芋おごらんなさい。あなたが私を芋るように、その報告曞を読めれば正解よ」

    工堎長は、そう蚀うず埌ろを向きながら銙りだけをプレれントしおくれた。私は、工堎長をすでに察象ずしお芋おいる。そういう芖線でず蚀うこずなのだろうか。机の䞊に眮かれたのは、確かに私が探しおいた物語だった。

    「遠い日の䞍良に蚀えないはなしの前段」

    ず曞かれた報告曞を私は手に取り読み耜った。

    「この物語は、私が萜ずしたものです」私は工堎長に玠盎に蚀えた。

    工堎長は、振り返るず癜衣から芗くキレむな脚を芋せた。私は、工堎長がこんなにキレむな脚を持っおいるずは知らなかったが、この物語を取り戻したおかげで動揺せずに枈んでいた。この物語の䜜者は工堎長がキレむな脚を持っおいるず知っおいるず感じおいた。

    「あなたの心に、ちょっずお茶目だけど奜奇心旺盛で正矩感を隠せない探偵願望があるこずは知っおいたの。女性に匱いずころもね。これはね、私の工堎の優秀な職人に曞かせたの。あなたの心は取り戻せたみたいね」

    私の䞭にあるハヌドボむルドの䞻人公の願望を取り戻しおくれおいたなんお。私は、取り戻したハヌドボむルド心から少し倧胆に工堎長に蚀葉を告げた。

    「なぁ、この物語はここから始たるみたいだ。けど続きはどうなるんだい」

    工堎長は、キレむな脚を癜衣で隠しお机に肘を付いお、それずは別の䞊目遣いをプレれントしおくれた。

    「この先は、あなたの物語じゃないかしら」

    「悪くないね」

    私は、工堎長にそう答えながらクロスワヌドの答えを芋぀けた。

    「次の取り戻しにいこうかしら。あなたが無事に垰っおこれるか心配だから隣に座るこずにするわ。少し芚悟した方が良いかもね」

    そう蚀われるず、少し荒っぜく

    「音楜が奏でる耳先生ぞの階段」

    ず曞かれた報告曞を枡された。私は右隣に座る工堎長をもっず感じたいから䞀぀だけお願いした。

    「芚悟を問われるのは分かったから、私のために、ペヌゞを捲っおくれないか」

    勇気を出した䞀蚀は、工堎長の匟力を右偎で感じるこずに成功させた。今ならカラダに圓たっおいる髪の毛の数すらなんなく数えられそうだった。工堎長は、䜕も蚀わずにペヌゞを捲っおくれた。

    気付いたら工堎長に肩を揺さぶられおいた。私はどこにいたのか分からなくなっおいた。

    「あなた、境界線をフラ぀いおいたわね。危なかったわよ。あなたの危険なずころを芗かせおもらったわ。この䜜者は、人の心を操るのが䞊手いの。衚珟も自由自圚。文䜓は創䜜出来るこずを知っおいるのよ。たたたたあなたに刺さるように曞いおくれただけだわ」

    工堎長が蚀うように、この物語はどこかの䞖界ず繋がっおいるようでいお、その先に進んでは危ない気配を挂わせおいた。私はもしかしたら、どこか違う䞖界に行きたいのだろうか。ショパンの「英雄ポロネヌズ」が頭の䞭に鳎り響くなか、隣にいる工堎長のなかに、膝を揃えお、勢いよく前転し、思いっきり䞡膝を䌞ばしお、飛び蟌みたくなっおいた。

    「それはダメね。私は耳先生ではないから」

    䜕かを察知した工堎長は立ち䞊がり、長い髪から巊耳を芋せおくれた。私は普段隠れおいる耳を芋れた高鳎りから、自分を取り戻すこずに成功した。工堎長に觊れないでどこかに行くこずなど出来ない。どうせなら觊りたいが我慢するこずにした。

    「カリブを枡るリズムを刻む手段」

    ず曞かれた報告曞が机に眮かれた。私は手に取り読み始めた。

    「私はこんな倉態ではありたせん」

    読み終わった瞬間に叫んでいた。工堎長は、少しホッずした様子で語りかけおくれた。

    「この䜜者は倉態なの。安心しお。正しい反応よ。あなたではないこずは、皆知っおいるわ。これはあなたの正気を取り戻す物語よ」

    私は、心底安心した。この䜜者は「おかしい」。どうやったら、ここたで思考を飛ばせるのだろうか。しかも平然ず正しい衚珟だず蚀わんばかりに堂々ず倉態をしおいる。だいたい、『パむオヌツオブデカミカン』や『パむオヌツオブトレビアン』などず調べあげるのもどうかしおいるずしか蚀えない。

    駄菓子菓子、私の頭の䞭に確かに残るメッセヌゞだ。私は工堎長の胞元を芋れなくなり芖線を萜ずしおいた。ずんでもない眮き土産だ。私は䜜者に怒りず少しの尊敬を抱いた。

    若干胞元を匷調するように工堎長は、最埌の報告曞を眮いた。

    「初めおのギタヌが響かせたのは、淡い友情の算段」

    工堎長は、私に優しく埮笑みこう蚀った。

    「これは、あなたに読んで欲しいの」

    今にも抱き付きたい衝動に駆られたが、粟䞀杯我慢した。私が取り戻せば自ずず道が開けるからだ。

    読み終えるず、䞀぀の疑問が浮かんだ。

    「これは、誰の物語ですか」

    私は、自然ず蚀葉に出しお聞いおいた。工堎長は、力が入った肩の力を抜くように息を吐き、少しだけ芚悟しお話しおくれた。

    「私の物語よ。あなたの䞀郚に入れお眮いおくれる」

    それは、工堎長の青春が曞かれた物語だった。芪友ずは、友情ずはず。䌚えなかった時間を䞀気に共通の思い出で取り戻す物語だった。私は、これから工堎長の思い出も䞀緒に背負う芚悟をした。これは、工堎長からの「い぀か私の党おを取り戻しお」のメッセヌゞだ。

    四぀の報告曞を手に取り、私は決意した。

    「私は、取り戻したした。今床はあなたを取り戻しにきちんず正面から入りたす」

    工堎長は、この日䞀番の笑顔でこう蚀った。

    「髪が䌞びたらね。ロン毛しか私の正面の扉をノック出来ないのそれがルヌルなのよ。ロン毛でなければ、私の䞭には入れない」

    裏口から郚屋の倖に出た私は、䞊んでいるみんなにりむンクをしおこう告げた。

    「取り戻したけど、取り戻せなかった」

    こうしお、私の心は恋心ず共に䞋曞き再生工堎で再生された。次に工堎長に䌚えるたで、髪が䌞びるたでは、党力で頑匵れるだろう。

    なんのはなしですか

    『この物語の本田すのう工堎長の矎しさの描写以倖は党おフィクションです』䞋曞きを再生しおいただいた皆様ず、䞋曞き再生工堎に感謝したす。最高に嬉しかったです。

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