2026/9/18_インド2日目
5:00
いったん起床。ファンだけでは持ち堪えることができず、エアコンをつけた。温度は24℃に固定され、風量も変えることはできなかった。ほどよく涼しくなったところで、再び眠りに。
7:30
起床。とりあいずスマホを眺めては、ぼぅっとする。電気をつけて昨夜書いた日記を開きつつnoteを書き始める。1日目のnoteを書くのに、2時間くらいかかってしまった。
10:10
すこしばかりこの宿を気に入る。虫もでなかったし、ある程度の清潔さは担保されているし、なにより新しく宿をさがすのが面倒。部屋の扉をあけて寝ている従業員を起こし、もう1泊してもよいかと尋ねると、1200ルピーでOKと言う。そこまで高くはないなと思い、500ルピーを3枚差しだす。すると彼は300ルピーをよこさない。オーナーと思われる怖そうな男もやってきて、なんだか怪しい雰囲気。「300ルピー返せ」と言うも返す素振りをみせなかったので部屋から200ルピーを1枚持ってきて500ルピーとすりかえる。オーナーの男がなにやら言っている。詳しい説明は割愛するが、とにかく1500ルピーでないと泊まらせないらしい。ここで1500ルピーを払うくらいなら市街地へ移動したほうが得策だと思い、多少苛立って彼の手から札束を全て取り戻す。顔を洗って歯を磨いて荷物を整える。飛行機でもらったキットカットが余っていたので、出がけにオーナー男に手渡すと微笑んでいた。さきほどの嫌悪感がお互いに緩和された気がした。宿をでてすぐのところでこの旅で最初のチャイを飲みつつ、市街地に向かうべくバス停をさがした。




10:53
バスを待っている。バスに乗るのも、一苦労。バス停の位置を2人にきいて、さらには乗りたいバスの番号がきちんと記載されているバス停に来たので確実だとは思うのだが。さっき飲んだチャイの味は、生姜の風味が強くスパイシー。目の前を通りすぎるほとんどのバスの電光掲示板には、行き先と数字が書かれている。今回のバスはC40。がしかし、本来の到着時刻を15分過ぎてもやってこない。すこしばかり不安になっていたその時、バス停の場所をたずねた警察官が遠くから俺を呼び、「このバスに乗れ」と合図をだしてくる。バスにはC40とは一切書かれていないが、勢いで乗り込む。果たしてこのバスであっているのか甚だ不安であったが、Googleマップを眺めつつ、降りるべきところで降りよう。それにしても、路線バスの快適さたるや。ほんとうに落ち着く。インドの路線バスには、夏の午後のような気怠さがある。そして、細い道から片側6車線ほどある広い道路へ出た途端、水を得た魚の如くアクエルをベタ踏みし、クラクションをテンポよく鳴らし、猛スピードで駆け抜ける。そういうところ、潔くて好きである。
12:20
1本目のバスを降りて、次のバスを待っている。目的の場所へ行くにはバスを乗り換える必要があったのだ。が、2本目のバスも20分以上待っている。なかなか来ない。見過ごしている可能性も当然あるけれど。ただバスを待っているだけなのに、どうしてこうもいろんな臭いが漂ってくるのか。ひどく甘ったるい臭い、尿の臭い、酸っぱいを通り越した吐瀉物のような臭い。ただ同じ場所にいるだけなのに。必然的に、呼吸が浅くなっている。ムンバイではのろのろと行く先なく彷徨う牛を目にしていない。バラナシでは飽きるほどみてきたというのに。と、公開したnoteを読んでいたらバスを逃した。自惚れるのもほとほとにせいや。と思ったらまたバスがきた。急いで止めて、そそくさと乗りこむ。路線バスに乗ることで、自分の行動範囲が一気に拡がる。Uberなどのタクシーだけでは移動できる範囲に限界があるし、何より高い。乗り換えを含めて1時間超もバスに揺られるが、合計で50ルピー(80〜90円)くらい。オートリキシャはどれだけ交渉しても路線バスの10倍はいくだろう。比較的快適に座ることができ、高い位置から次々と現れては消えるムンバイの街並みをみおろすことができる。自分が想像している以上の営みがあり、それらを目にすることが最もおもしろかったりする。


12:59
バスを降りて目的地のカメラ屋にやってきた。持ち歩いているフィルムカメラのファインダーを覗くと無数の埃がみえてしまっているからである。埃はレンズ側なのかファインダー側なのかもわからず、もし万が一、現像した時に写ってしまったらひどく落ち込むことになるだろう。ということで訪れたのだが、結論はおそらくはファインダー側にある埃とのこと。それすら取り除いてほしかったが値段は1200ルピーと、昨日の1泊分の値段。さらに今日はフィルムカメラを触れる人物がいないとのことで諦める。ちょうどフィルムの入れ替えが必要だったので、近くのベンチに腰掛けて作業する。自らの不器用さを遺憾なく発揮し、手こずりに手こずって持ってきた新品のフィルム2本を駄目にしそうになる(フィルム自体が中に巻き込まれ入り込んでしまった)。最悪な気分。30分くらいかけてフィルムを入れ替え、中に入ってしまったフィルムについては再びカメラ屋を訪れ、明日また来るからそれまでになおしておいてと依頼し、予約したホステルにチェックイン。550ルピーほどだったので、800〜900円程度か。

15:00
本日初めての食事は、宿の近くの屋台。トーストの中にオムレツを挟んだもの。店主が気を利かせてマサラを抜いてくれたのだが、なぜか辛い。卵やパンすら元から辛いのかと疑ってしまう。気前のよい店主で、料理の一部始終の動画を撮らせてもらったり、最後にはフィルムで写真を撮らせてもらったりなどした。現像が楽しみ。



15:30
海をめざし歩いていると緑ある公園を発見。遊具やベンチなども多くあり、たくさんの人の姿が。日陰のベンチをさがして仰向けになると、風がなびいて睡魔に襲われる。それに抗うことなくしていると、昼寝をしてしまった。とても気持ちがよい。それから再び海を目指して歩きはじめた。


18:20
ムンバイの海沿い。堤防がずらぁっと続いて、何人もの人が横並びでひしめきあいつつサンセットを眺める。ぎゅうぎゅうに押しこめられる朝の満員電車がさほど苦ではない自分にとって、名前もわからず知り合う予定もない人々がおなじ空間にいたり、おなじ対象に目をむけていたりする。個人を特定する名前などは消え、その他大勢を構成するたった一部分になり変わる。そこに妙な安心感と、何者でもないという匿名性に居心地のよさを感じる。首からカメラをぶら下げていると、となりに座った家族から写真を撮ってくれと求められた。フィルムだからすぐには確認できないけどな…と思いつつシャッターをきると、案の定、「写真をみせてくれ」と要求される。「これはフィルムカメラだからすぐにはみれない、日本に帰って現像したら送るよ」という英語がスラスラとでてくるはずもなく、Instagramを交換してヒンドゥー語に翻訳したメッセージを送った。それからもおなじ家族と、ペットボトルを縦回転させて立たせるといった遊びを興じた。10回くらい投げてみたが1回しか立たず、5歳くらいの男の子は2回も立たせていた。まさかの敗北である。


なのか?
19:53
海沿いから2キロほど歩き、「タージマハルホテル」にむかった。2008年のムンバイ同時多発テロの現場のひとつである。ホテルに入るためには手荷物検査と身体検査が必要で、宿泊予約はないがとりあいず潜入してみる。高級感溢れるロビーで、ふかふかのソファーに腰をかける。近くで演奏されているピアノの音色に耳を澄ましながらInstagram。生粋のドパガキである。テロ当時の様子を想像して、まさに今、その現場に足を踏み入れていることに少しばかり高揚している自分がいた。階段をのぼって2階へ行ったり、図々しくも変な扉を何回か開けてみては、「へぇ〜」と呟いたりした。
22:00
「タージマハルホテル」のあとは、「The Fort Hostel」。さえわたる緩急に、よく眠れそうである。ここもちゃんと清潔そうだ(バストイレ別なのがありがたい)。


23:11
このnoteを当日中にほぼほぼ書き終え、明日の朝に推敲して公開しようと心に決める。徐々に尻に火がついてきた。熱をもつ尻。尻に熱を秘めた男は、小さな2段ベッドの上部で眠りにつくのである。

