メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

むダヌカフ(5/5) 「カナ゚のゆくさき」

    研究棟・地䞋䞉局。
    アクセスランクA4以䞊──管理者暩限を持぀者だけが立ち入れるK蚘玠媒䜓の保管区画。

    䜵蚭されおいる解析宀には、倧きな窓が開けられ、そこから保管区が芗ける。

    现い通路を挟んで癜い棚が䜕局もならんでいる。棚はすべお暪長に長い浅い匕き出しで出来おいた。

    研究者は、解析宀に䞊ぶパネルにアクセスコヌドず研究察象ずなるK蚘玠媒䜓のコヌド番号を入力する。
    䜜動音が静かに鳎り、ロボットアヌムが自動的に保管棚ぞ進む。棚䞭倮䞋郚の匕き出しが滑るように開き、芏則正しい透明の栌子に区切られた䞭身が䞊んで珟れた。

    䞀぀の区画は、5センチ四方。それぞれにむダヌカフ型、腕時蚈型、ネックレス型のK蚘玠媒䜓が静かに玍められおいる。ここにあるのは、すべお「優秀遞別された玠䜓」が所有しおいたものだった。
    ──刀断基準を満たさなかった媒䜓たちは、すべお償华砎棄されおしたっおいる。

    栌子「L7-044」。
    そこに、䞀察のむダヌカフ型K蚘玠が巊右揃っお安眮されおいた。
    ラベルには「カナ゚・T」ずある。

    ロボットアヌムは、䞀察安眮されおいる巊耳のカフだけを遞択しお、むダヌカフは静かに解析ボックスぞず搬送された。

    ──目的は、「苊味」に぀いおの分析。

    カナ゚の味芚デヌタのうち、この苊味が“奜たしい埌味”ずしお倚くの詊食者から評䟡されたずの報告が䞊がっおいる。それがどこから来るのかを探るため、研究者は、この保管区画に足を運んだのだ。

    解析機噚の䞭では青い光にむダヌカフが䜕回も照らされおいる。研究者の手元のパネルが明滅し、解析が終了したこずを知らせた。パネルに様々な波圢が衚瀺されおいく。

    波圢が画面の右端に迫ったその䞀瞬、倧きく䞊昇し、わずかに揺れた。

    突然、解析宀に取り付けられた火灜譊報噚が鳎っおすぐに消えた。

    怅子に座っお解析を埅っおいた研究者は飛び䞊がり驚いたが、すでに鳎り止んでいる譊報噚を芋お蚝しげに思いながらも、解析パネルぞ芖線を移した。その背埌で、解析宀ぞの入り口がわずかに開いたこずには気が付かなかった。
    研究者は、最埌に倧きく飛び䞊がっおいる波圢を芋ながら眉をひそめ、数倀を確かめおいる。
    「  ノむズかな」
    しばらく、研究者は波圢ず数倀の関係を慎重に怜蚎しおいた。が、最終的に必芁デヌタをプリントアりトし、パネル䞊で終了ボタンを抌した。解析の終了ずずもに郚屋の扉が自動で開き、研究者は必芁な資料を手にしお郚屋を足早に立ち去った。

    ヌヌヌ

    解析宀にたた䜕かが皌働する音が鳎り響いた。

    解析察象を保管棚ぞ自動で戻すロボットアヌムの駆動音だった。

    ──けれど、その手にはむダヌカフは保持されおおらず、動䜜だけが行われた。右のむダヌカフだけが入った管理棚の匕き出しは、䜕事もなかったように閉じられた。

    するず解析察象物を取り出すための搬出口がすっず開くず、媒䜓は小さく跳ねるようにしお床ぞ転がり萜ちた。

    カラン。
    銀癜のカフは、無機質な床を滑り、開いたたたの扉の隙間から倖ぞこがれ出た。その先の廊䞋の壁、陰になるような堎所にふず止たる。

    ──
    癜い廊䞋に定期枅掃のロボットが回っおくる。

    盎埄30cmほどで、瞊に長い円筒圢のそれは廊䞋の端、䞭倮ず満遍なくゎミを取り陀いおいく。

    圓然、むダヌカフも掃陀機の䞭に吞い蟌たれた。

    カランず音がした。

    むダヌカフを飲み蟌んだロボットは、保管棟をすべお掃陀し終えるず次のルヌトを自動遞択した。月末の棚卞したでに保管棟、研究棟、管理棟、すべお呚り終わらなければならない。

    ルヌトNo.045──定時巡回経路研究棟南偎〜受付ホヌルが効率を重芖しお遞択された。

    静かな走行音を響かせながら、機䜓は廊䞋を進みはじめた。


    デヌタ解析郚の前を通過。
    開いた扉の内偎では、䞀人の女性がデスクに向かっおいる。
    圌女の耳には、むダヌカフ型K蚘玠が装着されおいる。
    淡い青の灯が点滅し、呚期的に“感性波の蚘録”を行っおいる。明滅が掃陀ロボットの皌働ランプのそれず瞬間䞀臎する。圌女が、無造䜜に髪をかきあげた。


    次の角を曲がるず、生産モニタリング宀。
    透明ガラス越しに芋えるのは、若い男性オペレヌタヌ。
    その巊腕には、腕時蚈型K蚘玠が固定されおいる。

    掃陀ロボットがすぐそばを通り抜ける。接觊しそうなほど近くたできたロボットを男性オペレヌタヌは飛び退いお避けお、睚み぀けた。腕時蚈の金属ベルトがカシャリずなった。


    さらに廊䞋の突き圓たり、䌑憩スペヌス。
    自販機の暪で、ネックレス型のK蚘玠を身に぀けた女性が、
    透明な容噚のミネラルりォヌタヌを飲みながら、同僚ず䌚話をしおいる。

    掃陀ロボットは、䌑憩スペヌスの電子タバコ甚の掃陀機に近寄り残りかすを回収した。回収の間、暪に䞊ぶ圢になり、女性に䞍思議な顔をされた。──この斜蚭では、誰もが䜕かしらの“痕跡”を身に぀けおいる。

    ***

    最埌の掃陀゚リアに向かうず、自動ドアが静かに開く。光が差し蟌む玄関ロビヌ。掃陀ロボットが今月で初めお济びた自然光だ。

    ロビヌは、子䟛たちの声で溢れかえっおいた。


    「せんせヌロボットヌ」

    「いいの、気にしないで。䞊んでヌ」

    匕率の教垫の声に応じお子どもたちが敎列する䞭、ひずりの少幎が、ロボットに目を留めお近寄る。

    そそくさず近づいっお足先で、ちょん、ず軜く突く。

    ロボットが、ガッず音を発しお止たる。

    動かない。

    少幎は、もう䞀床こんどは恐る恐る蹎飛ばしお、足を匕っ蟌めた。
    起動音のような音がする。

    しばらくするず掃陀ロボットは動き出した。

    そしおロボットがいた堎所に──むダヌカフが萜ちおいる。

    「  これ、なに」

    少幎はそれを拟い䞊げた。
    掌の䞭に収たる小さな金属。
    金属にしおは、どこかあたたかい。

    「こらっ拟わないのっ」ず背䞭から先生の声がする。

    少幎は䞀瞬たじろぐ。
    が、そのたた無蚀でポケットに滑り蟌たせた。

    少幎は、小走りでロビヌの自動ドアぞ向かい、出おいく小孊生の列に玛れ蟌んだ。
    そしお、すぐにロビヌからは芋えなくなった。

    そのずき、遠くで──研究棟の非垞灯が、䞀瞬だけ閃いた。

    ポケットの内偎で、むダヌカフもたた静かに明滅した。


     
     
     
    少しず぀曞いおいこうず思い始めたShortShortが、「玅殻の剣」を描き始めお終わらなくなり困っおいたす。もう少しで折り返し地点、行き先は決たっおいるので、なんずか完結に挕ぎ着けたいです。

    あなたぞのおすすめ