
[創作大賞] 種の声🌱🐈️
僕は種
花の種なのか
野菜の種なのか
果物の種なのか
僕にも分からない
ただ僕は、僕が種である
ということだけは知っている
ニンゲンがどこかから運んで
土のなかに埋めてくれたんだ
土の中はしっとりしていて
すごく暗くて
それでいて時々モゾモゾと気配がしている
快適かと問われても分からない
だって僕は自分がどこから来て
どう運ばれて今ココにいるのか
何も知らないんだもん
だけどね、それは僕だけじゃないみたい
土の中には、微かに声が聞こえる
その声はまるで、僕に語りかけているようだった
お日様が7回登って、8回目に顔を出している
僕はと言えば、変わらず種のままだ
最近はなんだか頭の上が騒々しい
時々暖かさを感じたり、
別のときは水のシャワーを感じたり
かと思えば、何かの足音もする
ドシドシ
テシテシ
ポフポフ
テチテチ
大きい足音
小さい足音
何が何やらサッパリだ
あとは、例の声が少し大きくなった
「ヤホー」「元気かい?」
そんな風に聞こえる日もある
でもその声が本当に聞こえているものなのか
そもそも僕に向けてかけられている声なのか
僕には分からない
そこからさらに、お日様が7回登って、8回目の日が訪れた
この頃になると、特に夜なんかも明るくなっていた
どうやら、お月様という存在が夜を照らしてくれているらしい
らしい、というのは僕も聞きかじった話でしかないからだ
誰から聞きかじったのかと言えば、あの声だ
「お日様はぬくいよ」「お月様は綺麗だよ」
どーやらあの声は先に地上へ顔を出したらしい
「君もおいでよ!」「一緒にみたいよー」
そして、やはりあの声は僕に語りかけてくれていたらしい
毎日毎日、飽きもせず声をかけてくれるもんだから、僕も少し気になって、種から出てみる事にしたんだ
幸い、土のなかでもバランスが取れるだけの根は張れたし
あとは土の中を登るだけなんだよね
次にお日様が7回登って、8回目に顔を出す頃
僕はあの声に導かれて、やっと地上へ顔を出すことが出来た
小さい小さい双葉である
僕は未だに僕が何になるのか分からない
でも隣では先に地上に出てずっと声をかけてくれていた者がいる
「やぁ!来てくれたんだね!」
「一緒に見られて嬉しいよ!」
お日様の光を浴びて風に揺られながら、ゆらゆらと楽しそうに揺れている
僕は口下手だから一言しか返せない
「ありがと」
僕たちの周りでは黒くて大きい長ぐつや、小さくて黄色い長ぐつが例の音を立てていた
ドシドシ
テシテシ
その後を追いかけるように、モフモフの肉球と木の枝が合わさったような細い足音もする
ポフポフ
テチテチ
彼らは水のシャワーを僕たちの周りにかけている
あー、あの感じていた音や水はコレだったのか
僕は嬉しくなって、誰にも聞こえない声で歌を歌った
綺麗な羽を持つ子が遊びに来てくれた
そして、また土のなかでも
どうやら僕の歌を聴いてくれる者がいたみたい
空ではふわり、タンポポの種がパラシュートを開いていたよ

あとがき
何に成るか
何を得るか
それは
どう在るかを探す
通過点
何が好きで
何が創りたいかを
見つけるためのもの
たくさん悩んで考えたよね
だから、そろそろ分かるはずにゃの
自分がどう在りたいか、がね
そんにゃお話
そんにゃ言の葉
本日も最後までお読み頂き、有り難うございますにゃ🌸🐈️