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好きなものに囲まれて生きるーマキシマリストという選択 ー

    「モノこそ思い出」。私は8か国を転々とする生活を通して、この考えにたどり着きました。

    ミニマリストが主流の今の社会において、これは少し異端な考えかもしれません。

    この記事では、「マキシマリスト」という生き方について、できる限り詳しく考察しています。コーヒーでも片手に、ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。

    はじめに

    皆さん、こんにちは。私は2022年から、「モノこそ思い出」をモットーに、「マキシマリストのお買い物日記」を書いています。マキシマリストについて書き始めて4年目ですが、実は自分をマキシマストと自覚し、自称してからは10年ほどになります。

    これまで好き勝手に書いてきただけなのですが、近年「マキシマリズム/マキシマリスト」という言葉が徐々に知られるようになり、誤用があまりに多く散見されること、歴史の変遷を無視してオリジナルの解釈がされていることなどもあり、ここで一度「マキシマリズムとは何なのか」についてしっかりと書いてみたいと思いました。

    調べてみたところ、「ミニマリズム」や「ミニマリスト」に関する書籍は国内外いくつも存在していますが、マキシマリズムやマキシマリストに関する書籍は、インテリアブックぐらいしか存在していません。

    そこで、マキシマリズムをミニマリズム同様に体系化してみよう、そう思ったのです。マキシマリズムに関しては国内に参考文献がほぼないため、欧米の情報を基に書いています。

    この記事で、「マキシマリズム」という言葉を初めて聞く方が、「こいうものなのか」と少しでも関心をもっていただけたら嬉しいです。

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    マキシマリストのレジェンド、アイリス・アプフェル先輩(クレジット:Mark Cocksedge)

    Chapter 1|マキシマリズムとは何か


    「マキシマリズム」という言葉を知らない人でも、「ミニマリズム」という言葉もしくは「ミニマリスト」という言葉ならば知っているのではないでしょうか。

    ミニマリストとは、「なるべく持たない暮らし」を実践する人のこと。最低限の持ち物で丁寧な暮らしをし、物による幸福ではなく精神的に満たされることに重きを置く人々を指します。

    それに対してマキシマリストは、好きなモノや大切なモノに多く囲まれて過ごすことに幸福を感じる人だといえます。

    分かりやすくマキシマリストの特徴をまとめると、以下の通りになります。

    物欲が強い
     
    モノへの関心が強く、モノを買ったり集めたりすることに喜びを感じます。
    所有物が多い
    モノを手元に置くことに喜びを感じ、人より多くのモノを所有しています。
    モノへの愛着が強い
    物質的にモノが多いだけでなく、モノに注ぐ気持ちやエネルギーが多いです。モノへの愛着が強いので雑に扱うことはしません。
    唯一無二のモノが好き
    皆が持っているものよりも、唯一無二のものが好きです。そのため量産品よりも、ハンドメイドや一点ものに心惹かれます。DIYも厭いません。
    アンティークやヴィンテージを取り入れている
    モノを大切にしたい気持ちやほかの人被らないものが好きということから、古いものを積極的に取り入れています。
    モノ選びの基準がはっきりしている
    好きなものとそうでないものがはっきりしています。そのため、買い物の際の取捨選択や見極める力があります。
    キュレーションが出来ている

    「キュレーション」には「整理整頓」以上の意味があります。テーマに沿って、モノを選別し、美学を提示することです。なのでキュレーション出来るという言葉には、掃除などモノの維持・管理をきちんと行うだけではなく、ばらばらのモノをひとつの意味あるコレクションとして提示できるという意味も含まれます。

    よくある間違いに、「マキシマリスト=部屋が物で溢れている汚部屋に住んでいる人」というものがありますが、適切に物を管理したりキュレーション出来ない人は、マキシマリストとは言えません。

    また、単に「たくさんモノを持っている」だけではなく、インテリアやファッションにも大きな特徴があります。

    インテリアやファッションの特徴
    ・レイヤード(重ねる)
    ・豊かで派手なカラー
    ・花柄やアニマル柄などの柄物
    ・質感や色のミックス
    ・大胆でユニークなシルエット
    ・大量のアクセサリー(飾り物)
    ・アンティーク、ヴィンテージアイテム
    ・アートなどクラシック、折衷主義、ボホなど異なるスタイルのミックス

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    Photo by Pieter Estersohn


    マキシマリストのスローガンは、「More is more and less is a bore(多ければ多いほどいい。少ないのは退屈)」。

    過剰の美学(aesthetic of excess)とも言われます。

    言わずもがな、最初のMore is Moreは、ミニマリストのスローガン「Less is More(少ない方が豊かである)」へのアンチテーゼです。

    Chapter 2|一億総ミニマリスト社会


    ミニマリストがブームとなった2010年代から、今やミニマリストという言葉は市民権を得て、単なる一過性のブームではなく定番の生き方のひとつとして定着したといえます。世の中は収納グッズやライフハックにあふれ、さまざまなメソッドや商品が溢れています。まさに、「一億総ミニマリスト社会」。

    ここ10年以上世の中のトレンドは、Apple製品に代表されるような「ミニマル」、「シンプル」、「機能的」など、無駄を削ぎ落としたデザインでした。それは、2007年のリーマンショック以降、世界中で続いた経済不況を背景とし、「ラグジュアリー」、「リッチ」といった要素は、当時の世相と合わずに息をひそめてきたことに関係しています。しかし2019年、2020年から始まった新型コロナのパンデミック以降、人々の志向に変化がありました。

    ロックダウンや自主隔離で家に閉じこもるようになった人々は、家でいかに快適に過ごすかに関心が向けるようになり、今一度自分の暮らす空間について考えるようになりました。その結果として、ソファをより快適なものに新調したり、明るい色のブランケットを使ってみたり、より厳選して快適な空間を演出することがトレンドとなったのです。

    そうして、コロナ禍が明けると、それまで長く続いた「ミニマル」、「シンプル」を良しとする潮流に反発するように、特に欧米のZ世代のトレンドとしてマキシマリズムが一躍躍り出ました。

    「グレー」のミレ二アル世代 VS 「マキシマリズム」のZ世代

    「ミレ二アル・グレー(millennial gray)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「ミレ二アル世代(2000年代に社会人となった世代)の部屋はグレー(灰色)だらけ」という欧米のインターネットミームです。

    グレーがかったフローリング、グレーの壁紙、グレーのソファ、ステンレスの棚、等々。ミレ二アル世代にとってグレーは、「落ち着く、何にでも合う色」の代表でした。グレーはミレ二アル世代を象徴する色という扱いになっています。

    「なぜミレ二アル世代はここまでグレーが好きなのか?」という問いについて、インターネット上で多くの支持を受けている意見に、「彼らの実家を見ればわかる」という回答があります。ミレ二アル世代の方は自分に当てはめて思い出してみてください。ミレ二アル世代の親の家は、大抵モノに溢れていたと思います(私も該当しています)。一度使って棚に仕舞われたままのホットサンドメーカー、二度と着られる当てのない大量の洋服、最後にいつ使われたのか分からないゴルフクラブセット、等々。「実家」は、統一感のない色とモノに溢れていました。その反動としてミレ二アル世代には、ミニマルなグレーのインテリアが大受けしたというわけです。

    一方で、このミレ二アル・グレーに対応する言葉が、「Z世代のマキシマリズム(gen Z maximalism)」です。Z世代は、1990年後半から2010年前半に生まれた世代です。前の世代に反発するように、この世代のインテリアの特徴はカラフルな色、ユニークな形、変なオブジェ。いつの時代も、ひとつ前の時代のものは時代遅れになるように、ミレ二アル世代にとって「落ち着く何にでも合う色」であったグレーは、Z世代には「退屈で個性のない色」と評価されることになりました。

    このように、「ミニマリズムのミレ二アル世代」と「マキシマリズムのZ世代」の対比として語られることも多いです。

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    ミレ二アル世代のグレー(クレジット: John Keeble/Getty Images)
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    Tik Tokで「maximalist」と検索した結果


    「良いものを少しだけ」の呪縛

    ミニマリズムが支持される世の中では、「良いものを少しだけ」持つことが美徳とされています。特に、つい増えすぎてしまうものの代表である衣類に関しては、ミニマリスト関連の本はもちろん、ありとあらゆるライフスタイル本では、厳選した良いものを少しだけ持つことが推奨され、「名品」と呼ばれるアイテムが紹介されています。「白シャツ」、「カシミアのセーター」、「紺のブレザー」、「ブラックリトルドレス」、「ジーンズ」、「ローファー」などなど、一般的なベーシックで使い勝手のいいアイテムから、時には特定のブランドの特定のアイテムが紹介されていることもあります。

    「良いもの」にはさまざまな言い換えがあります。例えば、「一生もの」、「質がいいもの」、「着回しが効くもの」。

    私はそうした表現を目にする度に、密かに「そうかな?」と疑問に思ってきました。

    「一生もの」の呪縛
    服は長く着れるに越したことはありません。しかし、20代の自分が良いと思い買ったものが、30代の自分の自分には全く合わないということは、極普通のことです。趣味が変わることは、自分のファッションの遍歴です。数年でサイズが合わなくなったり趣味が合わなくなったりすることを恐れるよりも、その時心から着たいと思ったものを選び、「自分のファッション史」を作る方が何倍も楽しいことです。

    「質がいいもの」の呪縛
    もちろん質のいい素材を選ぶことは大切です。例えば合皮を選ばずに本革を選ぶ。これには異論はありません。なぜなら、耐久性に明確な違いがあるからです。その一方で、例えば名品として例に挙げられる「カシミアのセーター」。何万円も出して買ったものがワンシーズンで毛玉になった経験はないでしょうか(手入れもしていたのに)。逆に、量販店で買ったポリエステルのセーターが毛玉も出来ず10年持つこともあります。さらには、デザインがあまり好みではない18金の指輪は全然つけずにしまわれている一方で、金メッキでも気に入ったデザインならば多少剥げてもメンテナンスしながら何年も使います。
    質に固執するよりも、直感で好きだと思ったものを選ぶ方が、人は工夫をしながら長く使い続けるものです。買い物の度にありとあらゆるタグをひっくり返して、神経質になりすぎる必要はないのです。

    「着回しが効く」の呪縛
    一生に一度の飛び切り高級なお店でディナーを食べるためのドレスは、買う必要はないでしょうか?一度着て女子会に出かけたら、友達皆に記憶されてしまうようなユニークなスカートは買うべきではないでしょうか?私はそうは思いません。眺めていて自分が嬉しいと思うのならば、たとえ着用回数が一度であろうと買う価値があります。服の価値は、着た回数ではありません。日常で100回着ることより、そのたった1回を着ることが重要な時だってあるはずです。
    初めてのデートに来ていった服であったり、その服にまつわる思い出がかけがえのないもので、その服を見るたびにそれを思い出し、幸福な気持ちになれるのならば、たとえ今後二度と着なくともそれはあなたにとって残すべき価値のあるものです。


    Chapter 3|あなたの持ち物は、あなたの「人格」である


    「一億総ミニマリスト社会」では、基本的に「持たないこと」が美徳と見なされています。そんな中で、物欲が強い、モノに執着をすることは悪いことのように感じる場面も多くあります。しかしモノに執着することは必ずしも悪いことでしょうか?

    私の実体験の話になりますが、私は20代前半から30代前半にかけて、学業、仕事、家庭の理由で8か国もの国々を転々として生活をしました。数か月おきに国を跨いだ引っ越しをすることもあり、当然ながら生活のすべては1、2個のスーツケースに詰め込まなくてはなりません。当然、その土地その土地で買える記念の品も制限されていました。そのころの生活はまさに「ミニマリスト的」だったと思います。生活に必要なものだけを厳選し、無駄のない、ミニマリズムの価値観では、持ち物を減らすと精神的にも余裕が生まれる、とあります。しかし、生活に必要なものはすべて揃っているのにも関わらず、私の心は晴れません。限られたモノしか持てないことは私の心に「余白」を与えるどころか、大きなストレスを生んでいました。泣く泣く日本の実家に置いてきたドレスや皿のことを思い出しては、「ああ、久しぶりにあれ着たかったな」とか、「この料理あのお皿に乗せたら素敵だっただろうな」と思い出すのです。外国を転々とする生活は楽しみましたが、一方で、早く自分の好きなモノで飾った自分だけの空間を持ちたいと思っていました。

    この経験を通して、自分はモノを減らすことで幸福を得るのではなく、モノに囲まれることに幸福を感じる「マキシマリスト」であることを確信しました。

    マキシマリストにとって、モノは単なる物ではありません。

    マキシマリストにとってモノとは、

    ・記憶や思い出の保管場所
    ・自分を表現するアイデンティティ(人格)

    なのです。

    記憶や思い出の保管場所

    私の家には、実用性のまったくない「ガラクタ」がたくさんあります。それは住んでいた国のローカルマーケットで買ったアート作品に、同僚がプレゼントしてくれた小さな動物の置物といった類のものです。

    ミニマリズム的価値観でいえば、これらは「要らないもの」もしくは「せめて1,2個に絞るべきもの」に分類されると思います。しかし私にとっては10個あれば10個すべて違うもので、すべてが大切かつ必要なものです。なぜならばそれらには、私の「思い出」が詰まっているからです。

    私はよく、「モノこそ思い出」という表現を使います。ご存じの通り、某自動車の有名コピー「モノより思い出」のもじりです。モノは、記憶や思い出を移して保管できる媒体なのです。

    遠出した際に「せっかくだから何か買いたい」と感じたことはありませんか?それこそがまさに「モノに記憶や思い出を閉じ込める」行動です。

    人の記憶なんて、本当は全然あてになりません。あんなに感動した2年前のパリ旅行だって、写真を見ずに思い出せるのは、汗だくになって上った凱旋門からの景色と、英語でメトロのチケットを買おうとして売り場のおばさんに舌打ちされた思い出だけ。一昨日の夕飯すら思い出せもしない。人間の記憶力などそんなものです。

    しかし、お気に入りのものが手元にあればどうでしょう。それを手に入れたとき喜びや、その時一緒に過ごした人のことなどを見る度に思い出すことができます。

    さらに、そのモノと一緒に長く時間を過ごしていけば、それだけそのモノにまつわる記憶が増えていきます。そうして人生の相棒のように、色々な思い出や感情を共有することが出来ます。更には、記憶や思い出の詰まったそのモノを他の人に託したり次の世代に引き継いだり出来るということも、モノにしか出来ない素晴らしいことだと思っています。

    自分を表現するアイデンティティ(人格)
    人がモノを所有する理由は何でしょう?単に、「生活に必要だから」、「それを持っていると、人から良く見られるから」。単純に「持っていると嬉しい気持ちになるから」等々、様々理由があると思います。私たち人間は実用性だけでモノを所有しません。好きという気持ちや人からこう見られたいという思惑があって、自分の持ち物を選んでいます。つまり自分の意志に関わらず、持ち物は持ち主の性格やアイデンティティを表示するツールになるのです。

    マキシマリストはよりその意識をより強く持っています。服装は、初対面の人に自分の人となりを端的に伝える名刺代わり、自分の部屋に招待することは「自分はこういう人間です」と自己開示するのと同然。だからこそモノを選ぶ際には、「無難」ではなく、自分の人となりに合致するようなモノを選ぶことが大切なのです。

    「悪趣味」は「無趣味」より良い

    英語圏でよく聞かれる言葉に、「Good taste is better than bad taste, but bad taste is better than no taste.”(趣味が良いことは悪趣味より良いが、悪趣味は無趣味より良い。)」という言葉あります。

    マキシマリストが最も恐れることは、趣味が悪いことではなく、趣味がないことなのです。

    白や黒、グレーといった無彩色で統一され、極力モノを減らしたミニマルな部屋は、極力「個」を廃した「匿名性が高い部屋」とも言えます。よく言えば「シンプルな部屋」、「ノイズの少ない部屋」、そして「真似しやすい部屋」なのですが、マキシマリストにとってこれは「個性のない部屋」です。もっと言うと、「住んでいる人の顔が見えない部屋」とも言えるでしょう。

    マキシマリストにとって部屋は、「自分のパーソナリティと歴史が見える空間」でなくてはいけません。

    時には調和しているとは言い難い柄と柄を組み合わせて、自分でも「うーん、これはイマイチ」かなと思うときもあります。でもこれでいいのです。少なくとも無趣味ではないのですから。モノを買うことに非常にシビアなミニマリストに比べて、マキシマリストの買い物が鷹揚なのは、悪趣味をさほど悪いものと考えていないからかもしれません。


    Chapter 4|「好き」をどう整理するか。マキシマリズムの実践方法

    「マキシマリズムの意味は分かったけれど、どう取り入れればいいの」と思っているかたも多いかと思います。

    基本の考え方は単純です。

    それは、「自分を表現すること」と「大胆に足し算すること」。

    「他人軸」の買い物と「自分軸」の買い物

    冒頭に書いた通り、マキシマリストはむやみやたらにモノを増やす人のことではありません。マキシマリストの美学は「過剰」にありますが、モノは多いけれど、ひとつひとつのモノに意味がある、「意味のある過剰」を良しとしています。意味ある過剰を達成するためには、自分の軸に従ってモノを増やす必要があります。

    モノを増やすか悩んだときは、以下の質問を考えてみてください。

    問1:それは、あなたのパーソナリティに合っていますか?
    問2:それを身に着けている/持っている姿は、自分らしいと感じますか?
    問3:その「欲しい」は自分の意見ですか?
    問4:それを美しく飾ったり(※整理整頓ではなく)、収納したりできますか?
    問5:生活が破綻してしまうほどの出費ではありませんか?

    これらの質問の答えがすべてYesならば、たとえ似たような見た目のものをすでに持っていようが、全く同じ機能のものを持っていようと、買ったら良いのです。

    問1と2は、散々話してきたことなので割愛します。
    問3は盲点ですが、とても重要な点です。「好きなものを買いましょう」と言っても、人は意外と自分の好きなものがわかっていません。その場の雰囲気で買ってしまったり、人が良いと言っていたものを自分も欲しい気がしていたり、人に「似合うよ」と言われたら何となく買う気になってしまったり、こういう買い物を私は「他人軸の買い物」と呼んでいます。マキシマリストは決して「他人軸の買い物」はしません。「自分軸」の買い物をします。「何も買わないで帰るのはちょっと…」と思われるような場所でも(例えば某テーマパーク)、自分の「欲しい」に引っかかるものがなければ買わないのです。「自分軸」の買い物をするためには、問1と問2をひたすらに自分で考える練習を積んでいくしかありません。最初は難しい場合は、「自分軸」が出来たと自信が持てるまでは、「一目ぼれ買いをしない」といったん自分にルールを作ると良いです。「良いな」と思っても、必ず1週間は寝かせる。その間に忘れてしまえばそれまでですし、その1週間の間に、買おうとしているものの置き場所を考えたり、コーディネートを考えたりできれば、絶対に自分の空間には必要なものだ、と確信を持って買いに行けるからです。(ちなみに私は一目ぼれ買いをします。自分の好みに絶対的自信があることと、好きになるものが一点ものだったりするからです)。

    問4に「美しく飾ったり(※整理整頓ではなく)」と訳注が付いているのは、マキシマリストの「美しく飾る」は得てして一般的な目線では「カオス」に見えるからです。オブジェやアートがいくつも置いてあったり、真っ赤なソファにゼブラ柄のラグが敷いてあったり、「整理整頓されている」という言葉には当てはまらないことがほとんどです。しかし自分のテーマに沿って、モノを集め、美しく飾ることが出来れば、「カオス」と「美しい」は両立するのです。それが冒頭で出てきた「キュレーション出来る」という意味です。

    問5については、あまり人が話したがらない、お金の話です。ミニマリストがここまで人の支持を集めるのも、モノに費やすお金がないと考える多くの人々にも取り入れやすい考えだからだと思います。
    マキシマリズムは物質的豊かさを歓迎する考え方です。そのためモノに費やすお金も人より多いことがほとんどです。しかしない袖は振れないし、振るべきではありません。そもそも、「生活が破綻している」と「モノが美しく配置された部屋に住んでいる」はイコールで結ばれることはありません。生活が破綻していると部屋は醜く荒れていくからです。そのため、自分の身の丈に合った買い物ができることもマキシマリストのひとつの条件だといえます。

    さらに具体的に、マキシマリストのハックをご紹介します。

    Do's & Don'ts

    「色」を恐れない。
    大胆な色と色の組み合わせは、マキシマリズム最大の特徴と言えます。それも白、黒、グレー、ベージュといった無彩色とその他の色の組み合わせではなく、有彩色同士の組み合わせです。かつ彩度は、淡いパステルカラーではなくビビッドカラーなどの濃い色の組み合わせがよりマキシマリスト的です。色の組み合わせに自信がない場合のおすすめは、赤と緑、オレンジと青といった補色同士の組み合わせです。

    「柄」を恐れない。
    マキシマリスト的な柄といえば、大柄な花柄やアニマル柄等々、大きくて大胆な柄です。それも空間やファッションにワンポイントとして配置するのではなく主役として配置し、他の柄や色と組み合わせるのも良いでしょう。

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    出展:Wall Street Journal


    「重ねる」ことを恐れない。

    レイヤードはマキシマリストのスタイルに欠かせません。「色」を重ね、「柄」を重ね、「質感」を重ねます。レースのつけ袖をセーターから覗かせる。グリーンのソファにマスタードイエローのクッションを置く。質感のレイヤードとは、例えば「木製」のキャビネットの上に、「ガラス」の花瓶と「メタル」で出来た置物を置く、ファッションならば白のシルクのブラウスの上に、同じ白でもクロシェ編みのベストを重ねる、といった具合です。

    「飾る」ことを恐れない。
    インテリアだったら、オブジェや絵画といったアートや花瓶、ファッションだったらベルト、つけ襟、つけ袖といったアクセサリーや、ジュエリー類。実用性は考えず「飾る」目的でモノを使ってみましょう。それらは「+α」で自分らしさを表現するための重要なアイテムになります。

    自分を表すものを集めよう。
    自分が好きなもの、情熱を捧げているものなど、人にとって自分を表すものはたくさんあります。大量のぬいぐるみやフィギュアでもお皿でも、自分が胸を張って好きだといえるものなら何でも構いません。
    もし難しければ、本はどうでしょう。もちろん、漫画でも雑誌でも構いません。自分が好きだと思う作品や作者の本を並べるだけで、あなたのアイデンティティが表現された空間になります。

    旅をしよう。
    旅それ自体が人生を豊かにしてくれるものです。旅先でお気に入りのモノを持ち帰れば、その土地の空気も一緒に持ち帰ることができます。また、旅先の思い出が染みついたものを少しずつ集めていけば、年とともに自分の歴史を集めていくことができます。
    必ずしも旅先で自分にお土産を買う必要はありません。行った山で拾った石ころ、海岸で拾った貝殻。なんなら旅行先で撮った写真をプリントアウトしてお気に入りの額縁に飾れば、それは立派な自分の「歴史」になります。

    古いものを持とう。
    私は週末は神社などで開催される蚤の市によく訪れます。また、外国に行く時も必ず、事前に蚤の市の情報を調べて足を運ぶようにしています。古いものには「誰かの歴史」がすでに染みついています。古いものにしか出しえない佇まいを、自分の空間にも取り入れてみてください。一気に空間に奥行が出ます。また、街のセカンドハンドショップやリサイクル店を見て回るのも良いでしょう。人とかぶらない逸品が手に入りますし、今では生産されないユニークな柄のお洋服や、面白いインテリアに出会えたりもします。
    また、「古いもの」も必ずしも買う必要はありません。まず手始めに、自分の実家や祖父母の家に行ってみましょう。使われなくなったお皿やカップ、天然素材のカゴなど、意外とあなたの空間にぴったりなアイテムが眠っていたりします。

    手入れをしよう。
    古いものはもちろん、新しいものでも、定期的にメンテナンスをすることは重要です。服ならばブラシをかけたり、クリーニングに出したり、虫よけをしたり。家具ならばホコリを払ったり、ワックスをかけたり。あえて自分に「手間」を課すことで、そのモノをより長く使えたり愛着が湧くだけではなく、そもそも「手間をかけてまで使いたい好きなモノ」しか買わなくなるのです。

    正しく捨てよう。
    「使わないもの=捨てるもの」ではありません。たとえそれが飴の包み紙だったとしても、そこに大切な思い出が宿っているならば捨てずにスクラップブックにしたり、財布のポケットに入れて持ち歩いたりしますよね。
    世の中には、「1年間使わなかったものは捨てる」というハックがありますが、マキシマリストにとってモノの価値は実用性ではないため、当てはまりません。モノを捨てる基準は、

    「自分らしいと思えなくなったもの」
    「そこにあっても嬉しいと感じられなくなったもの」

    です。
    矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、マキシマリストはモノを捨ばっさり捨てます。「自分らしい」と感じられなくなったモノを取っておいては、「好きなモノに囲まれた空間」にならないからです。
    ただし、使用に難のない物はいきなり廃棄にするのではなく、「友人・知人で欲しい人に譲る」or「フリマアプリやリサイクルショップに出す」→「廃棄」の順に考えます。


    Chapter 5|マキシマリストのマインドセット

    ミニマリズムが、単にモノの話ではないのと同じように、マキシマリズムも精神性や生き方に繋がる話でもあります。退屈や無難を嫌い、大胆でユニークなモノを好むマキシマリストは、マインドセット(心持ち)もモノの好みに通ずるところがあります。

    自己肯定とセルフラブ

    マキシマリストのマインドセットの根底にあるのは、自己肯定とセルフラブ(自分を愛すること)。

    Just have a fun!

    「楽しもう!」、マキシマリストの一番のマインドセットはこの一言。大変かも、無駄になるかも、難しいかも、あらゆる「できない理由」が頭をよぎっても、「でも面白そうじゃん」、最後はこの一点でやってしまうのがマキシマリスト。

    失敗したっていい。
    やらないよりはやってみて失敗した方がマシ。「悪趣味は無趣味より良い」と同じ考え方です。失敗を気にしないポジティブさと大雑把さが大事。

    「変」を歓迎する。
    人と同じは嫌。「変わってる」は誉め言葉。ユニークなモノや唯一無二のモノを愛する人間ですから。

    他人の目を気にしない。
    少し変わったものを着て電車に乗ると、何となく人の目が気になる。そんなこともあるでしょう。しかし人は自分が思っているほど人のことを見ていません。自分のために生きましょう。

    楽観的に、お気楽に。
    買ってみてダメならDIYでアレンジしてみる。コーディネートで工夫をしてみる。それと同じように、やってみてダメならプランBに軌道修正すればいい。あまり細かいことを気にしません。


    モノに向き合うことは自分と向き合うこと。マキシマリストは、自分の気持ちを明るくするお気に入りのモノたちを通して、前向きで恐れ知らずなマインドを手に入れているのかもしれません。


    さいごに

    私はこの記事を通じて、「あなたもマキシマリストになろうよ」と言っているわけではありません。なぜならば、モノを選んだり所有したりすることに明確な喜びを感じられない人、逆にストレスを感じる人もいるからです。ミニマルな生き方が私には合わなかったように、マキシマムな生き方が合わない方も大勢います。ただ、ミニマル一辺倒の世の中で、「なんだか自分は好きじゃないな」、「自分向きではないな」と思っている少なくない数の人々に、選択肢のひとつとして「そうじゃない生き方」を知ってもらいたかったのです。それに、ほとんどの人は極端なミニマリストにもマキシマリストにもならず、そのはざまで自分の生活にあったスタイルを両方から取り入れていくのだと思います。そんな風にちょこっと取り入れられるヒントを、この記事で提供できていたら嬉しいなと思います。

    読んでくださり、ありがとうございました!

    参考文献一覧:

    https://www.fastcompany.com/90109697/minimalism-is-dead-hello-maximalism?utm_source=mailchimp&utm_medium=email&utm_campaign=codesigndaily-top&position=2&partner=newsletter&campaign_date=04142017

    https://www.thespruce.com/what-is-maximalist-style-4685629


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