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社不の形にくりぬかれた

     バイトを始めた。コンビニバイト。

     父親はコンビニバイトをしていたらしい。夜勤で、かっこいい車が止まっていた時に先輩がそれがどれくらいかっこいい車なのか教えてくれたと言っていた。
     別にそれが理由でコンビニバイトを始めたわけではないのだけど。

     バイトはいくつか落ちた。最初は友人が働いているところ。次はレンタルビデオショップ。あと二個くらい。
     落ちた後、求人は出たままでバイト求人サイトから、お誘いが来ていますという通知が何度も届いた。私そこ落ちたんだって、と言いたかったけれど、それに向き合いたくなかったから通知を左に向かってスライドした。見なかったことにした。

     まだ一週間しか働いていないからよくわからないけれど、忙しくないコンビニらしくて、全然大変じゃない。覚えることはもちろんたくさんありそうだし、そのうちの十分の一も覚えられていないけれど。初めてのバイトがコンビニだから、違うところで働いたら大変だと思うのかもしれないけれど。
     今のところタバコをカートンでくださいと言われると、カートンには番号が付いていないからどれかわからないことと、袋詰めが絶望的に下手であることくらいが困るところくらい。今のところ先輩(と言っていいのかな)が助けてくれるから問題なし。
     まああと、一週間でワンオペになるらしいけど。おわた。うける。

     ただ、店長が初見めっちゃ怖くて、面接のときにつんだと思った。結局怖くはあるけど、良い人であることはわかったので、まあ耐えている。ここ落ちたら私働く場所ないから。

     バイトをする理由は、人間としての形を保つためだ。贅沢をしなければ仕送りで生きていけるし、友達が少ないので友人と遊ぶお金もそんなにいらない。中高のときのお小遣いとかお年玉の貯金で遊べちゃう。
     でも、周りの人はバイトをすることで社会と関わりを持っていて、わたしだけすべてに置いて行かれているような気がしていた。バイトが大変でさ、とか客がうざくてさ、とか話しているのを聞くと、わたしだけ社会不適合者なんだろうなと思った。いやだなと思った。

     教員になろうとしているから、今のうちに社会と関わりを持っていないとこのあと社会と触れるのは難しいのかと思う。子どもと学校というコミュニティーのみだったら、なかなか社会と関わっているとは言えなさそう。

     コンビニは小説によく出てくるから選んだ。それだけ身近なんだと思う。
    あとコンビニは何でもできるから、なんにも知らない私にぴったりだと思った。研修中に頑張って色々覚えて、それを私の人生の糧にしていけばよいのだと信じて。
     先輩みんな、そんなに忙しくないから、やらないといけないこと終わったら暇だよって言う。本当かなと思う。そこまで至るまでどれくらいこなせばよいのだろうかなと思う。今でもまだレジが分からなくなることがあるのに。

     今日はコーヒーマシンの清掃を失敗して、手がコーヒーまみれになった。手からずっとコーヒーのにおいがする。そんなこともあるよね。きっと。

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