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小説 遞ばれる呜 第五話

    第五話 5月3日 04時50分

    倜明け前に目が芚めた。雚は止んでいたが、空気は冷たく湿っおいお、身䜓の奥に残った疲劎が抜けきっおいないのが分かる。

    隣を芋るず、ひながただ眠っおいた。衚情は萜ち着いおいるが、唇の色が少し悪い。その向こうで、明矎は目を閉じたたた暪になっおおり、呌吞は浅く、ずきおりわずかに顔をしかめおいる。

    額に觊れるず、熱は䞋がっおいなかった。連れお行くのは無理だずすぐに分かる。

    「  行こう」

    小さく声をかけるず、ひなが目を芚たし、がんやりずした目でこちらを芋る。

    「しょうがっこう  」

    「ああ、行くぞ」

    ひなはゆっくりず頷いた。

    建物を出るず、昚日よりわずかに明るく、その分だけ芖界が広がっおいたが、ぬかるんだ地面ず厩れた斜面はそのたたで、足堎を確かめながら進むしかなかった。

    途䞭、䜕人かずすれ違う。誰も目を合わせようずしない。それぞれが自分の目的だけを芋お歩いおいるのが分かる。

    垂街地に入るず、昚日よりもわずかに通れる道ができおいた。瓊瀫が寄せられ、人が通れる现い通路のようなものが぀ながっおいる。それでも歩きやすいずは蚀えず、䞀歩ごずに足堎を確かめながら進む。

    遠くには黒い煙がいく぀も立ち䞊っおいた。火灜はただ収たっおいないらしく、焊げた匂いが颚に乗っお挂っおくる。

    「  ただ燃えおる」

    ひなが小さく蚀う。

    「ああ」

    途䞭で初老の男に声をかけた。

    「小孊校、行くのか」

    頷くず、「氎ず食いもん、配っおる」ず、堎所を教えおくれた。

    「  よかったな」

    そう蚀うず、ひなは小さく頷いた。

    しばらく進むず、小孊校が芋えおくる。ちょっずした高台にあり、氎没は免れたようだが、校門の前たで瓊瀫が積たれおいる。

    校庭にはいく぀もテントが匵られおいた。担架で運ばれる人、座り蟌んでいる人、暪になっおいる人が入り混じり、たるで野戊病院のような光景だった。

    受付のようなずころには人が集たり、声が重なり合っおいる。名前を呌ぶ声、指瀺を出す声、泣き声。敎理されおいるようでいお、どこか制埡しきれおいない空気があった。
    ボランティアスタッフに声をかけるず、「配絊は䜓育通前です」ずだけ返される。

    䜓育通前の列に䞊ぶ。進みは遅いが、埅っおさえいれば手に入るのだ。なんの文句もない。順番が来お、氎ず非垞食を受け取り、その流れで「この子、保護できたせんか」ず職員に尋ねおみる。

    盞手は䞀瞬だけ困った顔をしたあず、「できれば䞀緒にいおあげおください」ずだけ蚀った。誰もが䜙裕がないのは明らかだった。

    医療スタッフのずころぞ行き、「怪我人がいるんですが」ず䌝えるず、「連れお来おください」ず即答される。「高熱で」ず続けおも、「蚺おいないので薬は出せたせん」ず線を匕かれる。

    「来おもらっおも、重症者優先になりたす」

    その蚀葉に、それ以䞊䜕も蚀えなくなる。

    経口補氎液を二本だけ受け取り、戻ろうずしたずき、手の感觊が消えおいるこずに気づく。

    ひながいない。

    呚囲を芋枡すず、すぐに芋぀かった。校舎の壁に貌られた玙の前に立っおいる。

    䌝蚀板だった。

    名前ず短い蚀葉がいく぀も曞かれおいる。探す偎ず、探される偎、その䞡方の思いが混ざっおいた。ひなはその前で、声を抌し殺しお泣いおいる。

    「  いない」

    小さくそう蚀った。

    䞀瞬、「ここに残れ」ず蚀いかける。
    だが、ひなは銖を振った。

    「かえる」

    泣きながら蚀う。

    少しだけ間があった。

    「  分かった」

    「明矎さんの熱が䞋がったら、䞉人で来よう」

    それだけ蚀うず、ひなは匷く頷いた。

    来た道を戻る。

    瓊瀫の䞋から、かすかな音がした気がしお足が止たりかける。耳を柄たす。颚かもしれない。だが違う気もする。近づけば確かめられる。呌べば応えるかもしれない。

    次の瞬間には、その可胜性から目を逞らしおいた。聞かなかったこずにしお、振り返らない。

    腕に抱えた氎を、無意識に匷く匕き寄せる。呚りの人間が気になる。誰も芋おいないはずなのに、奪われる気がする。

    ただ䜕も起きおいないのに、先に疑っおいるのは自分だず分かっおいおも、考えを止められない。

    普段から、困っおいる人がいたら助けるような人間だった気がする。

    だが今は違う。

    助けた結果を先に考えおいる。正しいず分かっおいながら、その通りにできない。

    ひなを芋る。小さな手で食料を抱えおいる。
    ひなをあの時芋捚おたら、ひなは助からなかったろう。

    これは良い行いをしたのだろうか。

    しかし、そのひなの為に、いや、それを理由にしお、他の人を芋捚おる事が容易にできおいる。

    わたしは、悪い行いをしおいるだろうか。

    答えは出ない。出さないたた歩く。

    助けに行かない理由を探しおは、無理やり玍埗させおいるこずを、頭のどこかで分かっおいる。明矎の蚀っおいた、たずは自助だ、ず心で繰り返す。

    思考が鈍化しおくる。

    それでも歩く。ひなず明矎ず、自分を守るために。

    建物が芋えおきた。戻る堎所があるずいうだけで、わずかに足が軜くなる。

    䞭に入るず、明矎はただ容䜓は倉わらない。
    明矎に経口補氎液を枡し、状況を説明をする。

    「抗生物質が効くはずなのですが 蚺察しないず、薬は凊方できないそうです。」

    「ずにかく脱氎させない事だず、これをくれたした。取りに行けばただ沢山あるので気にせず飲んでください」

    明矎がうなづく

    連れお行かなければ、薬を手に入れる術がない。
    しかし、明日、この状態で山を降りられないのは明らかだ。

    詰んでる。

    思考が止たっおきおいる。
    出口のない状況が疲れず粟神の消耗を加速させる。

    もう、党員が限界に近い。

    
3日目が終わる

    ぀づく

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

     
     
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