
第6話|降り立った場所にも、春はある
見知らぬ場所の朝は、少しだけ静かでした。
聞き慣れない風の音。
どこか違う空の色。
その地面に、彼女は降り立ちました。
ほんの小さな綿毛。
そこには、
これまでの場所とは違う空気が流れていました。
慣れ親しんだひび割れでもなく、
見覚えのある景色でもない。
ただ、少しだけ冷たい土と、
静かすぎる時間だけがありました。
「ここで、咲けるのかな」
そんな不安が、
ふわりと心に落ちます。
風に運ばれてきた。
でも、それは自分で選んだわけじゃない。
綿毛は、答えません。
ただ、静かに光の方を見ていました。
まるで、
「ここでも、咲いてみる」
と決めたように。

私たちは時々、
「場所」に戸惑います。
思っていたところと違う。
望んでいた環境じゃない。
けれど、この小さな綿毛は、
何も言わずに教えてくれます。
降り立った場所がどこであっても、
そこに意味がないとは限らない。
やがて、
見えないところで、
小さな根が伸び始めました。
ここにも、きっと春は来る。
🌿 この話が伝えたいこと
環境が変わっても、あなたの価値は変わらない
🌿 風は、あなたを遠ざけるだけではない
次回予告
見えない場所で、何が起きているのか。
静かな時間の中で、確かに進んでいるものがありました。
次回:根は見えないところで伸びている
