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正義感

    男は正義感が強かった。

    電車でマナー違反を見れば注意し、
    道にゴミを捨てる者がいれば追いかけて
    説教をする。

    「間違っていることを正すのは当然だろう」

    それが口癖だった。
    最初のうちは、周囲もその姿勢を褒めた。

    だが、いつしか皆は男を避けるようになった。
    正しすぎる人間は、時に息苦しいものだ。

    そんなある日、男は会社を辞めた。

    「不正を見逃す訳にはいかない」

    内部告発により、会社は信用をなくし
    間もなくして倒産。
    多くの社員が職を失った。

    それでも男は胸を張っていた。

    「これで世の中が少しは良くなった」

    数年後。
    ホームレス支援施設で、炊き出しの列が
    長く伸びていた。

    前の方から怒号が飛ぶ。

    「順番を守れ!
     ルールを破る奴は許せん!」

    椀を片手に男は満足そうに叫んでいた。


    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

     
     
    うつ病も今は安定し、与えられた時間を大切に過ごす毎日。 ショートショート小説が好きで、毎日ネタを拾っては書いています。 幸福の裏に潜む代償と倫理を抉る! どうぞお気軽に遊びに来てくださいね🤗

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