
無償の愛は大人に芽生えると思いますか?オリジナル脚本【チグリジア】
あらすじ
依存していた恋人に別れを告げられ気持ちが落ちている時メンズ地下アイドルに出会う、しかしそのメンズ地下アイドルにも裏切られ自暴自棄になり衝動的に5歳の男の子を誘拐してしまう……
登場人物
真島柊(23)メンズ地下アイドルにはまるフリータ
河野日向(5)柊が誘拐した幼稚園児
河野咲(32)日向の母
河野勇(3)日向の弟
真島詩織(47)柊の母
ひなた(24)メンズ地下アイドルをやる柊の推し
渡辺蒼(25)柊の元彼
明日香(21)カフェバイトの同僚
〇歩道橋(夜)(数か月前)
夕日が落ち小さな街灯が光る。楽しそうに階段を上る、河野勇(3)とその手を引く河野咲(32)二人の背中を追うように、少し離れた距離でゆっくりと歩く河野日向(5)の姿。咲、勇、階段を上りきる。風が強く吹き咲が後ろを振り返ると日向の姿がない。
〇道(現在)
清楚な花柄のワンピースを着て楽しそうに歩く真島柊(23)その隣に眼鏡をかけた地味な見た目をしている渡辺蒼(25)。渡辺は愛想笑いをしている。
渡辺「ねぇ、あそこのカフェ入らない?」
渡辺、喫茶店の方に指を指すが柊は見ていない。
柊「えー やだ……」
柊、嫌そうな表情で周りをきょろきょろする。
柊「あ!」
急に走りお店の窓の先にあるデザインが蛇になっているグラス眺める柊。
渡辺「ちょっと待って……」
渡辺、柊を追いかける。
柊「(グラスを指しながら)あれすごいかわいい、ねぇ入ろ」
渡辺「(興味ない)僕は外で待ってるよ」
柊「え、なんで? 意味わからない」
不機嫌な態度をとる柊。
渡辺「(うつむき)ごめん」
〇雑貨屋・店内
少し混みあった店内。柊、商品を眺めながら店内の奥の方へ一人でどんどん進む。ほかのお客さんで進めない渡辺。
渡辺「待ってよ……」
柊、振り返り渡辺を見る。
柊「どんくさなぁ」
渡辺「ごめん」
柊、一人で店内の奥まで進む。渡辺から柊の姿が見えなくなる。
〇雑貨屋・外
渡辺、お店を出て端に立ち、拳を握る。
渡辺「(イラ)……」
柊、お店を出て渡辺を見つける。
柊「外にいるならさ、そう言ってよ」
渡辺「ごめん、でも……」
柊の圧に負けうつむく渡辺。
柊「なに?」
渡辺「なんでもない」
柊「で? この後どうする?」
渡辺「さっきの喫茶店入りたいんだけど」
柊「えー」
渡辺「お願い」
柊「でも気分じゃないし」
渡辺「たまには僕の意見も聞いて」
渡辺、柊をまっすぐに見つめる。
柊「わかったよ、しょうがないな」
渡辺、どこかすっきりした表情で先頭を歩く。柊、その後ろで不満そうな表情を浮かべる。
〇喫茶店・店内
渡辺、ドアを開け鈴の音が鳴り店員がやってくる。
渡辺「二人で」
店員「いらっしゃいませ、こちらの席へどうぞ」
柊「ありがとうございます」
柊、店員に笑顔を向ける。渡辺、どこか不満そうにする。柊、渡辺、案内された席に座る。
渡辺「すみません、コーヒー2つお願いします」
店員「かしこまりました」
店員、去っていく。
柊「勝手に注文しないでよ」
渡辺「ごめん」
柊「自分勝手かよ」
渡辺「ごめん、でもすぐ出るから」
柊「意味わからない」
渡辺「……」
柊「普通さ、聞くでしょ」
渡辺「(あきれる)……」
柊「なに黙ってるの?」
渡辺「(無視)……」
柊「ねぇ、聞いてんの?」
渡辺「……」
柊「そうやってすぐ黙らないでよ、私が悪いみたい」
渡辺のスマホが通知で鳴る、スマホを裏にする渡辺。
渡辺「(覚悟を決める)……」
柊「(舌打ち)」
渡辺「あのさ…… 別れたい」
外で雨が降り始め、雨の音が店になり響く。
柊「うわ、最悪、(外を見ながら)傘持てるよね?」
渡辺「(まっすぐ)真面目に聞いて」
柊「……蒼が私なしで生きていけるわけないじゃん」
渡辺「(圧に負ける)……」
渡辺、うつむく。
柊「いつも言ってるよね!」
渡辺「……」
柊「あんたのことなんて誰も相手にしないよ」
渡辺「柊のことは好きだった、でも……」
柊「(イラッ)でも?」
渡辺「柊といる自分がものすごく嫌いなんだ」
渡辺、まっすぐな目で柊に伝える。
柊「(ため息)……」
渡辺「嫌われるのが怖かった」
柊「さっきから何言ってるの?」
渡辺「気づいたんだ、柊に依存してただけなんだって」
柊「別にいいじゃん、何がダメなの?」
渡辺「僕自身が嫌なんだよ」
柊「蒼は私の言うこと聞いてればいいの!」
渡辺「もうやめたい!」
渡辺、立ち上がる。
柊「!」
渡辺、財布からお金を取り出しテーブルに置く。
柊「ねぇ!」
柊、大きな声で渡辺を引き留めようとする。渡辺、柊に冷たい視線を向ける。
渡辺「そういうところだよ」
渡辺、喫茶店を出ていく。柊、椅子に座ったまま渡辺の背中を目で追う。近くにいる、男女グループの声が響く。
大学生A「そんなやつ別れて正解」
柊「……」
大学生B「ほんとそう」
大学生C「自己中すぎ」
大学生D「相手が自分の思い通りになるわけないのにさ」
柊「……」
大学生A「馬鹿は一人がお似合い」
大学生C「ほんとは好かれてなかったんだろうな」
柊「(耳をふさぐ)……」
大学生B「もう好きな人いたりして」
男女、笑い声。柊、立ち上がる。
柊「やめて!」
店内、ざわつく。
店員「お待たせしました」
店員、恐る恐るコーヒー2つをテーブルに置き去っていく。柊、顔を手で覆い隠し座る、2つのコーヒーを見る。
柊「……」
柊、涙を流す。
〇道(夕)
柊、雨の中傘もささず歩いている。柊、立ち止まり、スマホを手に取り「渡辺蒼」に電話をかけるが出ない。
柊「……」
LINEのトーク画面を開く、メッセージには「電話出ろ」「なんで出ないの?」「どこにいるの?」「ダメなところ直すから捨てないで」「ずっと一緒って約束したじゃん」「柊じゃないとダメって嘘だったの?」「会いたい」「嘘つき」とメッセージと着信履歴が並んでいる。柊、メッセージを打つ。
柊「……」
柊、「ひとりにしないで」と渡辺に送る。
柊「またひとり……」
柊、その場にしゃがみこむ、すると傘を差しだす、ひなた(24)。
ひなた「大丈夫ですか?」
柊、ひなたが手に持っているチラシが目に入る。
柊「ほっといてください」
ひなた「ほっとけないよ、お姉さんびしょ濡れだもん」
柊「あなたメン地下でしょ?」
ひなた「はい!」
柊「(ため息)」
ひなた「?」
柊「優しくされても騙されないから」
ひなた「そうしたらだまされたふりとか」
柊「はい?」
ひなた「使ってください」
ひなた、柊に自分の傘を渡し走り去る。
柊「ちょっと!」
ひなた、笑顔で柊に手を振る。
柊「(何なの)……」
続きはコチラ⬇️10ページからです