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物干し棒に縛られた、あの日の私 ②

何がいけなかったのか.
幼い心には分からぬまま
南向きの穏やかな前庭に、二本の物干し棒が
まるで空を支えるように立っていた。
母は、その一本に私を縛りつけた。
母の母は、明治を生き、江戸の残り香を伝える人。
母もまだ若く、厳しさを帯びて子を育てていた。
私は泣かず、ただお尻をつき
縄に囚われたまま、ぼんやりと空を見ていた。
どれほどの時が流れたのか
春の光はやわらかく、麗らかで
影すら穏やかに伸びていた。
学校から帰ってきた姉。
縛られた私を見つけ、駆け寄り
そっと縄を解いてくれた。
そして、私を残し
家の中にいる母のもとへ行き
私のために詫びてくれたのだ。
ほどなく姉は戻り
母に謝りなさいと告げた。
私は母に頭を下げ
その日の騒ぎは
何事もなかったかのように収まった。
けれど、母に叱られた事も
春のやわらかな陽射しも
物干し棒に縛られた心細さも
そして姉のあたたかい手も
四歳の私に刻まれ
いまも色褪せず
胸の奥に息づいている。

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