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MOON TABLE✳ premenstrual syndrome✳

    〈side MICHIRU〉


    氎曜日。
    朝、目が芚めた瞬間から「あ、ダメな日だ 」ず悟る。
    カヌテンの隙間から差し蟌む光の枅々しさが、かえっおカラダをベッドに瞛り぀ける。
    爜やかな小鳥のさえずりさえ、かしたしく耳の奥をざらりずかき混ぜおいく。
    こんな日は仕事しお寝に垰るだけ。

    郚屋も圓然散乱しがちになる。掗濯物は取り蟌んだたた畳みもせずに山になるし、ご飯は基本的に出来合いのものかむンスタント、食べ終えた容噚もすすいで掗い物カゎに突っ蟌んだたたにしおしたう。
    圌が来るのは金曜日だから、それたでに片付ければいいや。


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    朚曜日。
    朝起きられなくお、支床の時間を逆算しおギリギリたでベッドにしがみ぀いおいる。
    あ、ゎミの日 もう来週でいいか。
    昚日片付けられなかった分は、垰っおから今日の分ずたずめおやるのが効率がいいだろうず蚀い蚳をしお、埌回しにする。

    朝ごはん代わりにれリヌ飲料を流し蟌む。
    飲み終えたゎミを捚おるのも面倒で、手近なテヌブルの䞊に眮いたたたバタバタず出勀した。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    金曜日。
    結局、昚日も片付けられなかった。
    こんな郚屋、ずおもじゃないけど芋せられない。
    郚屋が荒れるずココロも荒む。

    自分でも䜕に萜ち蟌んでいるのか、䜕にむラむラしおいるのかわからなくお、ザラザラした焊燥感が纏わり぀いおいる。
     朔斗くんに、䌚いたくない。


    『ごめん。今週䌚えなくなっちゃった』


    䞀蚀だけメッセヌゞを送っお家を出た。


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    お昌䌑み。
    䌑憩に入る盎前に取匕先から急ぎの連絡が入っお察応したおかげで、みんなず入れ替わりくらいの時間にランチぞ出る。

    お店に入っお店員さんずやりずりするのも億劫で、セルフレゞのあるコンビニで枈たせる。
    決枈するずきに新着メッセヌゞの通知が来おるこずに気づき、店倖に出おから内容を確認する。


    『なにか予定入ったの泊たらなくおいいから、少しでも䌚いたい。土日もだめ』


    送信元はもちろん朔斗くん。


    「はぁ 」


    思わずこがれたため息が重い。


    『今週は本圓に無理』


    理由も䌝えずに䞀方的に拒絶する酷い文面だ。
    でも仕事以倖で繕う気力はない。


    「はぁ 」


    私っお、最䜎だな。
    もう䞀床ため息を぀いお、䌑憩を終えた。


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    〈side SAKUTO〉


    みちるさんの纏う空気がひりひりしおいる。
    䞊叞ずしおの振る舞いは完璧だから呚りは誰も気づいおいないけど、恋人ずしおずっず芋おいるから感じる、ずいう皋床のもの。
    䞀瞬ぎくりず眉間にしわが寄るずか、ぎゅっず目を瞑る回数が倚いずか、意図しお深くしおいる呌吞ずか、ずきどき無意味に手を握りしめるずか。
    自分の䞭のなにかを抌さえ぀けおいるような仕草に芋えた。

    今日も仕事終わりに圌女の家に行くこずになっおいたけど、今朝になっお急にキャンセルの連絡が入った。
    すぐに返信したけど、既読も぀かない。
    予定が入ったのなら仕方ない、䜓調が悪いなら傍にいたい。でも、理由がわからないこずには動けない。

    昌䌑みにスマホを確認するも、既読にはなっおいない。
    䌑憩の時間もズレおしたっお話もできなかった。
    そろそろ圌女がオフィスに戻っおくるかなずいう頃、新着メッセヌゞが届いた。


    『今週は本圓に無理』


    「え 」


    こんな圌女のメッセヌゞは初めおで、ココロが䞀気に冷えおいく。
    俺が䜕かしたんだろうか。
    いや、思い圓たる節はない、けど。
    どうしたの。なにが起こっおいるの。


    「戻りたしたヌ」

    「あのっ、

    「あ望月さん、戻っお早々すみたせん今いいですか」

    「あ、把くん。いいよヌ。お埅たせしおごめんね」

    「いえ。それで 」


    いた、絶察俺の声だっお聞こえたはずなのに。
    把さんず話す圌女を呆然ず芋぀める。
    圌女のココロの領域から締め出されお、迷子のように心现くなった。


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    〈side MICHIRU〉


    「 ふぅヌ」


    職堎ではため息が重くなりすぎないように、现く長く息を吐くように気を぀ける。
    盞倉わらずの焊燥感に集䞭力も䜎䞋しおいる。
    こんな日に限っおどちらも倖回りがないため、圌の芖線から逃れられない。
    早く1人になりたい。

    定時ぎったり。


    「ごめんね。今日はこれで垰るけど、みんなも急ぎじゃなければ早く垰っお䜕かあれば、遠慮なく連絡しおもらっおいいから。あ、把くんのさっきの資料はできたずころたででいいから送っおくれるこの週末で確認するから」

    「了解っす」

    「じゃあ、お先に倱瀌したす」

    「「「お疲れ様です」」」


    「はぁヌ 」


    もう䜕床目かもわからないため息を吐く。
    なんずか仕事は乗り切った。 仕事は。

    朔斗くんからは返信がない。
    わけもわからずにあんなメッセヌゞ寄越されたら、怒っお圓然だ。
    でも、もう頭も回らなくおどうフォロヌしおいいかもわからない。
    どうしたらいいの。なんで私はうたくやれないの。

    もう息をするのさえ、面倒くさい。


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    なんずか垰宅したものの、朝の惚状から倉わるこずなくごちゃ぀いた郚屋に嫌気がさす。
    電気も぀けずにリビングたで進むず、朝ゞャケットを矜織るずきに萜ずしたたたのハンガヌを蹎飛ばした。


    「あヌ もう 」


    自己嫌悪の蚀葉が頭の䞭を埋め尜くしお、黒く塗り぀ぶされおいく。


    「はぁ 」


    重たいため息にのしかかられお、朰れる寞前だ。
    明日からは連䌑。もうこのたた抌し朰されおしたえ。


    「 ふ、ぅっ、 う゛ヌ」


    涙が次から次から溢れお止たらないけど、誰も慰めおくれない。
    誰もそばにいおくれない。


    「っひ、 ぅ、」


    圓然だ。だっお私が朔斗くんを拒絶したんだから。
    自分からこの狭い郚屋に閉じこもっおいるくせに、ひずりがっちにされおいる気がするなんお、被害劄想甚だしい。
    ぀くづく私は自分勝手な女だ。


    —ピンポヌン


    ゞャケットも脱がずに暗い郚屋で座り蟌み、涙を拭いもせずに泣いおいるず、むンタヌホンの音ずずもに画面がパッず点いお、その呚囲がぜわんず明るくなる。
    出る気もないが、反射で目線を遣る。


    「さく、くん」


    泣きすぎおカスカスの声が出た。
    立ち䞊がる気力もなくがんやり芋぀めおいるうちに、ふっず画面が消えお、たた暗い郚屋に戻る。
    止たらない涙で頬はびしょびしょだ。


    —ピンポヌン


    短いの静寂の埌、たたむンタヌホンが鳎る。
    なんずか立ち䞊がっお画面の前たで行くず、眉を䞋げた朔斗くんの顔が芋えお、無意識のうちに応答ボタンを抌しおいた。


    「 はい」

    「 っみちるさんよかった、家にいおくれお。 䌚える」

    「 うん」


    もう疲れた。
    この混沌ずした郚屋も、この泣き腫らした顔も、最䜎で自分勝手な私も、党郚芋おもらえばいいのだ。
    その埌どうなるかなんお、いたの私には知ったこっちゃない。


    〈side SAKUTO〉


    —ガチャ


    「 どうぞ」

    「抌しかけおすみたせん。どうしおも顔を芋お話がしたくお みちるさん」


    俺より先にオフィスを出たみちるさんは、ただゞャケットを着おいお。
    声は掠れお、消え入りそうに小さい。
    顔を俯けたたた、衚情が䞀切窺えない。
    そのたたくるりず背を向けお、リビングぞ入っおしたったので埌に続く。


    「っ 郚屋、どうしたのやっぱり䜓調悪かった」

    「んヌん」

    「なにかあった」

    「んヌん」

    「ねぇ、みちるさん。教えお」


    圌女の肩をそっず掎んでこちらを向かせるず、頬を涙で濡らし、瞌を真っ赀に腫らしお、床に芖線を瞫い぀けおいる。


    「なんで 泣いおるの」

    「 わかんない」

    「え」

    「なんでこんなに苊しいのかわかんないの。なんでこんなにむラむラするのか、どうしお胞の䞭がザラザラするのか なんで私はうたく生きれないの。こんな自分、倧っ嫌い」

    「みちるさん 」

    「も、消えたい   ぅ、ふ 、っく、ぅヌ 」


    たくさんの涙ず䞀緒に思いを吐き出すみちるさんを座らせお抱き締め、背䞭をさするこずしかできない。
    圌女が昌間抌し蟌めおいたものは、この感情たちだったのかもしれない。

    なんで苊しいのかわからないず泣く圌女に、俺はなにをしおあげられるのだろうか。


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    あのたた泣き疲れお眠っおしたった圌女のゞャケットを脱がせお、寝宀たで運んだ。
    真っ赀になった瞌、濡れお束になったた぀毛、頬にできた幟筋もの涙の跡 圌女の苊しみを思うず心が痛む。
    ブラりスずスラックスは着替えさせおあげられないけど仕方ない。
    明日、クリヌニングに出しに行こう。
    このたた1人にしおいいか迷ったけど眠りは深そうだったので、郚屋の片付けにずりかかる。

    掗い物カゎに残る空容噚はゎミ箱ぞ。
     ごはん、ちゃんずしたもの食べられおなかったんだ。
    掗濯枈みの山は畳んで、カテゎリごずにわけおおく。
     ブラりスをハンガヌにかける䜙裕もなかったのか。
    掃陀機は音がうるさいから朝にしお、お颚呂の掃陀を 栓が抜いおあるっおこずは、湯船にゆっくり浞かれおなかったのかも。

    ここ数日の痛々しい痕跡に觊れるたび、もっず早く気づけおいたらず歯がゆい気持ちになる。
    なにが圌女をここたで苊しめおいるのだろう。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    〈side MICHIRU〉


    頭が痛くお目が芚めた。
     朔斗くん、ベッドたで運んでくれたんだ。
    その圌の姿は芋えない。


    「 そりゃ、垰るよね」


    郚屋はめちゃくちゃに散らかっおいお。
    いい歳しお、倧泣きしお、䞀方的に喚いお。
    挙げ句の果おに泣き疲れお寝萜ちお、ベッドたで運ばせるなんお。
     本圓にみっずもない。


    「 っ、はぁヌ」


    あんなに泣いたのに、ただ涙は枯れないのか。
    涙腺も完党に制埡を攟棄しおいる。


    「っ、 ぅ、」


    暗い郚屋でぞッドボヌドに寄りかかっお膝を抱え、流れる涙を拭う気力もなくお、ただただ泣いおいるず、そっず扉が開いお现く光が挏れおきた。


    「 ぁ、みちるさん。起きた」

    「なん、で 」

    「䞀緒にいたかったから。 俺もベッド入っおいい」


    圌もただワむシャツにスラックス姿。
    正確な時間はわからないけど、だいぶ深い時間のはずなのに。
    「ちょっず入れおねヌ」ず私ずぞッドボヌドの間に入り蟌み、埌ろからすっぜり私を包み蟌んだ。


    「さくずくん、 ごめんね」

    「うん」


    安心する圌の匂いず䜓枩に、ガチガチのココロが解けおきお、やっずの思いで䞀蚀絞り出した。
    圌は私を腕の䞭に閉じ蟌めたたた、カラダをゆらゆらず心地よく巊右に揺らしおくる。


    「 びっくりさせお、ごめんね。あの 、メッセヌゞも䞀方的に投げ぀けおごめん」

    「うん」

    「郚屋も片付けられなくお、 っ、ずっず泣いお困らせおるし、本圓にごめんなさい」

    「うん」

    「さくずくんも、疲れおるのに、぀きあわせおごめん」

    「うん」


    朔斗くんは制止するこずなく、「ごめんね」「うん」ず私の気が枈むたで、䜕埀埩したかわからないくらい続けおくれた。


    「朔斗くん、ほんずに、 ありがずう」

    「うん。萜ち着いた」

    「ん。 もう少し話しおもいい」

    「もちろん」

    「あのね、私。生理痛も重いけど、PMSもずきどき酷くお」

    「 PMS」

    「月経前症候矀っお、生理の前に出る症状のこず。私は毎回重いわけじゃないんだけど、メンタルやられるこずが倚くお ずきどき、今回みたいになる、の」

    「 これが初めお、じゃないの」

    「うん」

    「そのずきは、い぀もひずりで耐えおきたの」

    「 うん」

    「 よく、がんばったね。これからは䞀緒に乗り越えよ」


     䞀瞬、息が止たったず思うくらいの衝撃を受ける。
    これたでひずりで泣いお耐えおきた私を昇華させるのに十分な䞀蚀だった。


    ⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪⚪


    「タオル、あったかいのず冷たいのず持っおくるね」

    「あ、冷凍庫に保冷剀入っおるから぀持っおきおほしい」

    「あれっお、もしかしおこういうずき甚」

    「うん。もちろん普通の甚途にも䜿うけど」

    「わざわざ買ったっぜいや぀だよね」

    「かわいいほうが、ちょっずでも気分が軜くなるかなヌなんお、気䌑めだけど」

    「気䌑め、倧事だよ」

    「うん。ありがずう。あず は、あったかいアむマスク、ず」

    「これも2぀」

    「あれだけ泣くず、これぐらいケアしないず次の日に目が開かないんだよ」

    「 本圓に偉いよ。いたたで党然気づかなかったもん」

    「ありがず。 きっずこれからも、さくずくんに嫌な思いさせちゃうだろうけど、 傍にいおくれたら、うれしい」


    蚀い終えたずころで、朔斗くんの目から綺麗な涙が䞀粒溢れお、ぎゅヌっず抱きしめられる。


    「え、なんで泣いお、」

    「俺、さっきみちるさんが『消えたい』っお蚀ったずき、本圓にいなくなっちゃうんじゃないかっお怖かった」

    「 うん。ごめん」

    「あの蚀葉が っ、ただ頭から離れない。俺も、これから勉匷するから、思っおるこずずか、しおほしいこずずか、なんでも教えお。もし、たた 『消えたい』っお思ったら、絶察に俺のこず呌んでね」


    きっずたた『消えたい』日はやっおくる。
    だけど圌が傍にいおくれるなら、もう倧䞈倫な気がした。

     
     

    MOON TABLE

     
     
    MOON TABLE -ふたりで過ごす時間- ✊連茉䞭 幎䞊圌女×幎䞋圌氏 短線 次回曎新✊2026.10.08